読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

地方の一高校生が見た『知られざる世界』伝説 (中)

2014-04-23 23:01:03 | ドキュメンタリーのお噂


かつて日本テレビ系列で放送されていた、主に科学的なテーマを扱っていたドキュメンタリー番組『知られざる世界』とは、一体どんな感じの番組だったのか?ということを、わたくしの高校時代の日記を引用しつつ振り返ってみよう、という記事の後半であります。
前半を書いていて、これは単に高校時代のオノレのバカぶりを白日の下に晒すだけのことなのではないのか、との思いがフツフツと湧いてきたのでありましたが、もうあれだけ書いたのだから今さら止めたところで仕方がありませんし、このまま最後まで突っ走っていこうと思います。
まあ、(上)同様どなたかのお役に立てるとも思えないような駄記事になるかとは存じますが、よろしければご笑覧いただければ幸いであります。
日記からの引用は、このような斜体文字 で記します(誤記も含めてすべて原文どおりです)。また、宮崎では日本テレビと同時ネットで放送されておりましたので、放送月日はすべて日曜日であります。

1986年(つづき)

3月8日
10時から「知られざる世界」を見た。人間の消化器のはたらきをわかりやすく解説していた。特に口の中や食道、胃の中をカメラで撮影した映像はすごかった。また、番組の中で、おいしそうなフランス料理が出てきて食いたくなった。


またも、せっかく番組を見ておきながら、別のことに気を取られたりしておるわ、フランス料理に(苦笑)。

3月16日
10時から「知られざる世界」を見た。男女の性について。精子は一日に2億匹生まれ、そのうちの一匹だけが生き残って卵子と結合する。この世界もなかなかキビしい。


3月23日
10時から「知られざる世界」を見た。韓国と日本のチャンスン(トーテムポールに似た道祖神のようなもの)伝説のレポート。東北かどっかの田舎で今もつくられているわら製のチャンスンは、あれがやたらでかかった。


「あれ」の部分には傍点打った上に、ごていねいに赤線まで引いてやんの(苦笑)。ほんっと、高校時代のオレってバカ。でも、これも科学というより民俗学という感じのテーマだよなあ。

3月30日
10時から「知られざる世界」を見た。オーストラリアの原住民アボリジンの現状のレポート。かつては狩猟民族だったアボリジンにも、近代化の波はおしよせていた。


「アボリジン」とはいうまでもなく「アボリジニ」のことですね。

4月6日
10時から「知られざる世界」を見た。西表島の動物たちのこと。ヤエヤマオオコウモリはかなりでかいコウモリで、こちらのほうはなんとなく愛敬があったが、洞窟の中にいた小さいコウモリは不気味だった。蟻道をつくるシロアリの生態もおもしろかった。


4月13日
10時から「知られざる世界」を見た。イギリスの高速道路のそばに住むいろいろな動物の生態の話。ノネズミやアナグマ、ヤゴ、トゲウオ、アリ、ハチ、ハエなどの小動物が、うまいぐあいに高速道路の環境に適応しているのが興味深く、おもしろく、また考えさせられた。トゲウオが、高架道路の下の運河(現在は使われておらず、水底にはゴミがいっぱいであった)の底にベッドをつくり産卵する様子はおもしろかった。


この、高速道路のそばに生きる動物たちを扱った回、なんだかもう1回観てみたいような気がしますね。面白そうです。

4月20日
10時から「知られざる世界」を見た。日本や太平洋側のアメリカ沿岸などの環太平洋火山帯は、以前南のほうにあったパシフィカ大陸が、だんだんと北上、分裂し、大陸にぶつかってできた、という興味深い話だった。マントル対流のあとや、海底だった場所が陸上にあるのはおもしろい。


5月4日
10時から「知られざる世界」を見た。ベニスの地盤沈下の話。近年のベニスは地盤沈下がひどく、一階はもはや住めなくなっているという。また、高波の害もひどく、去年は死者も出たという。もともとベニスの地盤はかなり軟弱だとか。そんなところに住むのが本当はまちがっているのだ。


「そんなところに住むのが本当はまちがっているのだ」って。言うに事欠いてそこまで言うこたないでしょ、ああた。

5月11日
10時から「知られざる世界」を見た。人間の体温調節についてのこと。


5月18日
10時から「知られざる世界」を見た。ネコの生態のこと。


5月25日
10時から「知られざる世界」を見た。温泉の効能を科学していた。リュウマチで歩くのがおぼつかなかったおばあさんが、温泉で2週間療養したらしっかりと歩けるようになっていたのはすごい。こういった温泉の効能は、ラジウムやゲルマニウムによるものという。


ううむ。いま思うに、2週間程度の療養で、そこまで劇的に変わるもんかねえ、という気が少々。

6月1日
10時から「知られざる世界」を見た。アメリカのステレという居住区は、2000年に地球に大異変が起こり人類の90%が滅亡する、というある博士の予言を信じる人々が百人余り集まってつくった居住区だが、生き残るためのさまざまな科学的施設があるほか、教育施設、小さい電話局などがあるというすごい所。前述の予言、ぶっそうな予言だが全く信じないわけにはいかないようだ。しかし、そんな事起こってほしくはない。


•••で、2000年に人類の90%が滅亡する、という「ぶっそうな予言」は見事にハズレて今に至るわけですが、大マジメに信じていた「ステレ」の住人の皆様は、今も達者に暮らしておられるのでありましょうか。

6月8日
10時から「知られざる世界」を見た。5日間にわたってタバコを吸いながら、タバコがやめられるという禁煙コースのレポート。せまい部屋の中で1時間ほど、タバコをたくさん、何本もふかすのである。中は煙でもうもう。なるほど、これを5日も続けりゃ、タバコもイヤになるだろう。5日コースが終ると、質素な「卒業式」をするところがなんともいえない。ぼくはタバコなんぞ吸うつもりはないので、そんな苦労はしなくてもすむ。


で、今に至るもわたくしはタバコを吸うことはなく、禁煙との闘いという苦労は味わわずにすんでおります。

6月15日
10時から「知られざる世界」を見た。ブラジルの心霊手術のレポート。ブラジルのある医者に、死んだこれまた医者の霊魂がのりうつって、週に一日だけ心霊手術を行うという。「人間と霊界を結ぶため」と称してケツや目に針を刺すところにはゾクっとした。痛くないのだろうか。心霊手術の場面はたしかにすごかったが、「これはひょっとしたら特殊メイクかもしれんな」とかんぐった。


ほーら出てきたぞ出てきたぞ、心霊手術が(笑)。とはいえ、面白がって観ながらもどこか「かんぐって」いるふしが窺えるあたり、何も知らないウブなショーネンだったわたくしも、ちっとは学習してきていたのでしょうか。
思えば、当時は特殊メイクを駆使したホラー映画、スプラッター映画がいろいろ溢れるようになっていた時期で、わたくしもそのテの映画をたくさん観ていました。それゆえ、「特殊メイク」なるコトバを持ち出していたのでありましょう。

6月22日
10時から「知られざる世界」を見た。植物と虫の静かな戦争について。葉を虫に喰われた木が、有害物質を出して自分を守るだけでなく、何らかの方法によって他の木々にも危険を知らせて、同じ有害物質を出させる、というメカニズムには大いに驚いた。


6月29日
10時から「知られざる世界」を見た。酔っぱらいの心理について。


7月6日
10時から「知られざる世界」を見た。富士山のさまざまな角度からのレポート。神社と国の間での山頂所有権紛争のことがあったが、雄大な自然のものである富士山の山頂を、あさましい人間どもが所有権うんぬんというのは実におこがましい。


「人間ども」は「実におこがましい」って。今にして思えば気恥ずかしくなるような、この上から目線。いわゆる若気の至りってやつだったのでありましょうから、どうか許してやってくださいませ。もう2度と言いませんから。

7月13日
10時から「知られざる世界」を見た。女性の下着の歴史。むかしのヨーロッパのコルセットは、主に上流階級が使っていたものだが、かなりきついものだったようで、腰の骨に変形をきたしたという。


7月20日
10時から「知られざる世界」を見た。アルプス山中に住むアカヤマアリの生態。彼らは、実にうまい仕組みで森を守っていた。しかし、ウジャウジャと群れをなすアリは少々気色悪かった。


7月27日
10時から「知られざる世界」を見た。カナダで開かれている交通万博のことと、そこでも話題になっているリニアモーターカーのこと。この交通万博には、前述のリニアモーターカー(450mをノロノロと走る)のほか、宇宙ステーションや、日本の都市における交通状況を表したミニチュア(この出来がすごい。ミニカー《トミカのようだった》が走り回り、新幹線などの鉄道もガーガー走っていた)などがあり、面白そうだった。


上の文章ではいささかわかりづらいのですが、おそらくは交通万博の日本パビリオンにおける展示のことを綴っていたものと思われます。それにしても、かつては夢のまた夢であったリニアモーターカーも、もう実用段階まできてるんだよなあ(遠い目)。

ああ、こうして書き出しているとまたも長くなってきましたね。これはあと1回費やさなければいけなくなりました。
あまり熱心には観ていなかった1985年から一転、86年はけっこう熱心に『知られざる世界』を観ていたようでした。この頃は、科学的な事柄に興味関心が向いてきていた時期で、それゆえ番組も熱心にフォローしていたということなのでしょう。
何はともあれ、この続きはまた次回に。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿