読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その8】第81回〜第95回

2022-06-17 23:48:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は8回目をお届けいたします。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第81回から第95回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。

なお、およそ8年ぶりとなるシリーズの最新作が、本日(6月18日)「サイエンスチャンネル」の公式サイト、およびYouTubeチャンネルにてめでたく公開されました(第318回「ミルクレープができるまで」)。どうやらこの一回だけでなく、今後も継続して製作されるようですので、それらがまとまったらここでも紹介したいと考えております。


(81)鍵盤ハーモニカができるまで

小学校のとき「ピアニカ」という名前で親しんでいた懐かしいアイテム、鍵盤ハーモニカ(懐かしいとはいっても、わたしはまるっきり演奏するのはヘタでしたけど)。外見こそ鍵盤がついているものの、内部構造や音を出す原理(「リード」という金属でできた小さな弁が鳴ることによって音を出す)は名称どおりにハーモニカとまったく同じであることが、この動画でよくわかりました。まさしく、「ピアノのようなハーモニカ」ってわけなんだなあ。リード弁が正しく鳴るかどうかを検査するくだりは賑やかでいいねえ。

(82)グミキャンディーができるまで

ゼラチンをベースとしたシロップから、グミの独特な食感が生み出されていく過程。型に直接、原液を流しこんで成型するかと思いきや、型によってプレスされて固められたスターチ(粉)の窪みにシロップを注ぎこむことによって、キャンディの形に成形するんだねえ。流しこんだシロップを冷却・乾燥させるのには24〜48時間と、意外に時間がかかるんですねえ。

(83)釣竿(ロッド)ができるまで

カーボンシートにアイロンで熱を加えて芯に固定して仮止めしたり、「ガイド」と呼ばれる部品を糸で巻いて固定するなど、意外と細かな手作業が多い釣竿の製造工程。穴を開けたゴムに釣竿を突き通して行う塗装法の名称が「シゴキゴム」というのもなかなかスゴいですな(この動画のコメント欄にも、それに反応するものが多く見られて笑えます)。

(84)卓球ラケットができるまで

材料となる木材の質(木目が均一であるかどうか)によってクラス分けがなされるということを、これで初めて知りました。ラケットの側面をきれいに削って仕上げをする機械の名前が「ナライサンダー」という、なにかのヒーローみたいなネーミングなのがイイねえ。

(85)メガネフレームができるまで

わたしも日々お世話になっているメガネフレームの製造工程(撮影地はもちろん、メガネフレームの特産地として有名な福井県鯖江市)。細かな部品を精密な技術で加工する工程の中で、とりわけ金型と電極の間で放電を繰り返し、金属を溶かしながらの金型を作る放電加工機や、コンピュータに入力された形状通りにチタンを巧みに折り曲げて裁断する、リム成形のくだりには見入りました。

(86)野球グラブができるまで

材料となる牛革を、高圧の水による「ウォーターカッター」で裁断するということを知って驚きました。牛革は繊維が複雑なため、ナイフなどよりも高圧の水のほうが素早くきれいに裁断できるとか。いやー、このシリーズはほんと、勉強になります。同じく裁断のとき、それぞれのパーツを皮の大きさに合わせて配置して、牛革をムダなく使うという工夫もいいですねえ。

(87)手袋ができるまで

寒い時期にはまことに重宝する手袋の製造過程。染色に使う染料の計算・調合から糸の染色、コンピュータのデータをもとにした自動編み上げに至るまで、かなりの部分が機械化されている毛織り手袋。それに対して、革の裁断からミシンを駆使しての丁寧な編み上げなど、ほとんどを手作業で行っている革手袋。なかなか対照的な製造風景でありました。

(88)ボウリングの球ができるまで

球の中心に入れる核(ウェイトブロック)の形状によって、球の重心や曲がりかたが違ってきたり、曲がりかたに個性を出すこともできるということを、これを見てはじめて知りました。また、そのウェイトブロックを包み込む「中球」の樹脂の種類によって、球の重さが決まるのだとか。精度を高めるために、さまざまな調整やテストの数々が行われていることにも感心させられます。

(89)金属バットができるまで

外径自体はおんなじでも、打撃部分は厚く、握り(グリップ)の部分は薄くなるように、原材料のアルミパイプを成型するということを、これで初めて知りました。その違いを出すための肉厚調整や、丈夫さを生み出す熱処理工程など、一見シンプルな金属バットにも独自の工夫がされていることもよくわかりました。

(90)硬式野球ボールができるまで

芯となる丸いゴムに、ムラなく均一に糸(羊毛)を自動で巻いていく機械の動きに、まず驚かされました。裁断したあと、接着剤を塗って乾燥させた革をアームでつかんで芯に包み込む機械の動きもまた見事。でも、自動化できない縫い合わせ工程はひとつひとつが手作業。108ヶ所もの孔に、しかも革によって糸を締める力を変えながら(牛が育った場所などで、革の質がそれぞれ違うため)縫い合わせていく方々の根気と手技は、さらにお見事なのでありました。

(91)しょう油ができるまで

しょう油の発祥地といわれる、和歌山県湯浅町での伝統的なしょう油造りの現場。長いあいだ使いこまれた桶が並んだ仕込み蔵で、約1年半かけて発酵、熟成させて醸し出されるしょう油が美味しそうです。とりわけ、熱処理をせずに麹菌や酵母を生かす「濁り醤」(にごりひしお)は色合いからしていかにもコクがありそう。一度賞味してみたいものですねえ。

(92)プラモデルができるまで

大手プラモデルメーカー、ハセガワでの製造風景。コンピュータを使って行われる設計では、一部分を誇張することによって本物らしく見えるようにするのがポイント、なのだとか。
でもこの回で一番楽しいのは、現場で働く皆さんの姿そのもの。資料を前にした企画会議の場に参加した人たちの笑顔混じりの表情といい、パッケージ用の完成モデルを組み立てる方の姿といい、仕事でありながらも実に楽しそうで、見ていて気持ちが和みますねえ。金型を手作業で磨き上げる係の男性のヘアスタイルも、バッチリ磨きがかかっていて最高ですねえ。

(93)電球ができるまで

部品の製造から梱包に至るまで、まったく人を介さず流れるようにこなしていく、製造ラインの機械の巧みな動きがまことに圧巻でした。とりわけ、加熱して口の部分を広げたガラスチューブに導入線やガラス排気管を挿入し、さらにワイヤーやフィラメントをつけていく一連の動きには感嘆するばかり。電極をつくって塗料を引きつけることで、ムラなく均一な塗装ができる「静電塗装」という塗装法についても勉強になりました。


(94)スピーカができるまで(欠番)


(95)ビデオテープができるまで

今ではすっかり過去のものとなってしまったビデオテープの、ある意味では貴重な製造工程の記録であります。中身の磁気テープって、先に外側のカセットを組み立てた後で巻きこんでいたんだねえ。細かい部品を正確に配置していく機械の動きもなかなかのものでした。製造工程を撮影しているスタッフが映っている珍しい回でもあります。


これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。以後、新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。



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