読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

地方の一高校生が見た『知られざる世界』伝説 (上)

2014-04-21 22:29:57 | ドキュメンタリーのお噂
ひょんなことからYouTubeで見つけたこの動画に、わたくしの目はくぎ付けになりました。

『知られざる世界』オープニング旧Ver.








ぎゃー!懐かしいー!もう20ウン年ぶりぐらいでしたよ、この『知られざる世界』のオープニング映像を目にしたのは。少年時代に、この番組を観ながら味わっていたワクワク感が一気に蘇ってきました。

『知られざる世界』といっても、もうお若い年代の方々にはご存知ない向きが多いのではないかと思われます。
『知られざる世界』は、1975年4月から1986年12月にかけて、日本テレビ系列で日曜日の夜10時(一部地域を除く)に放送されていた、主に科学的なテーマを扱った30分枠のドキュメンタリー番組であります。冠タイトルは『トヨタ日曜ドキュメンタリー』。そう、トヨタ自動車をはじめとしたトヨタグループの単独提供番組でした。
大島渚・土本典昭といった映画監督をディレクターに起用し、数々の傑作問題作を生み出した伝説の番組『ノンフィクション劇場』(1962~1968年)や、24年の長きにわたって放送され続けた民族&民俗ドキュメンタリー番組の金字塔『すばらしい世界旅行』(1966~1990年)を手がけたテレビドキュメンタリスト、牛山純一さんが率いていた日本映像記録センター(映像記録)が製作。いま聞いてもなんだかワクワクしてくるような、重厚にして高揚感のあるテーマ音楽を手がけたのは山本直純さん(なぜか番組ではクレジットされていなかった記憶があるのですが)で、ナレーションは鈴木瑞穂さんや佐藤慶さんらがつとめておりました(佐藤慶さんの渋い語り口は特に好きだったなあ)。
放送当時は小学生から高校生だったわたくしは、けっこうこの番組が好きでありました。テレビに映し出される、さまざまな未知の世界や驚異の現象には、子どもごころにワクワクさせられておりましたね。
とはいえ、基本的に科学をテーマにした番組なのにもかかわらず、なぜか超能力だの宇宙人だの心霊手術だのといった妙な物件を取り上げていたりもしていたのですが、当時のわたくしはソレはソレで「おお~すげ~」などと言いつつ観ておったわけでありまして•••。まあ、何も知らないウブなショーネンの頃のことでございます。

この『知られざる世界』、放送終了後は再放送されることもなく、なかなか顧みられる機会がございませんでした。調べてみると、Wikipediaに番組についての項目がある他は、神奈川県川崎市の「川崎市市民ミュージアム」に、一部の回が保管されていて館内で視聴もできることがわかりました。が、その他はいくつかの個人ブログが番組について触れているのを見るくらいで、なかなか詳細を窺い知ることができません。どのような番組だったのか、何か振り返るための手だてはないものだろうか•••。
などと考えていて思い出したのが、高校生の頃(1985~1987年)にせっせとつけていた我が日記。これには、当時観ていたテレビ番組の内容や感想もマメに記していて、『知られざる世界』についても、ちょこちょこと触れていたのでありました。ほんの一時期ではありますが、それらを抜き出していけば、『知られざる世界』という番組がどういうことを取り上げていたのか、その一端が見えてくる、かもしれない•••。
というわけで、今回から2~3回に分けて、高校生当時の日記から(ところどころ注釈を加えながら)番組についての記述を抜き出していくことで、わたくしが目にしていた『知られざる世界』の世界を振り返ってみよう、と思います。
正直、どなたかのお役に立てるとも思えないようなお恥ずかしい内容になるかと存じますが、まあこういう妙な記事も時にはよかろう、と勝手に独り合点しつつ、見切り発車で綴っていくことにいたします。
なお、ここに引いていく時期はあくまでも番組末期、しかも観ていなかった回も多々ございますゆえ、『知られざる世界』の全容を知るためには、あまりにも不十分過ぎるということをお断りしておきます。
日記からの引用は、このような斜体文字 で記します(誤記も含めてすべて原文どおりです)。また、宮崎では日本テレビと同時ネットで放送されておりましたので、放送月日はすべて日曜日であります。

1985年

6月23日
10時から「知られざる世界」を見る。サルバドール・ダリの贋作作家の話。その人の描いた絵が、何百万円もの高値で取り引きされているとは驚いた。しかも本物ということを証明する鑑定書までついて。


•••で、いきなりなのですが、ここから3ヶ月あまり『知られざる世界』についての記述が見られなくなってしまいます。いやはや、なんという不十分な記録なんだか。この頃は番組も末期ということで、あまり観なくなってしまっていたのか。あるいは観ても印象には残らなかったのか。

9月15日
10時から「知られざる世界」を見た。桜島の降灰のレポート。ものすごい量だなと思った。なにしろ、空から見ると鹿児島が灰色に見えるほどだった。ヤケクソで、「灰だるま」や「ミニ桜島」を灰で作ってしまうのは面白かった。と同時に、大変だなと思った。活火山のそばに住むのも楽じゃない。


•••で、またしばらくは番組についての記述は出てきません。この頃の日記を見ると、書くのを手抜きして1行で済ませてしまっていることも多く、我ながら情けなくなってくるのであります。高校の頃のオレのバカ!

12月22日
10時から久しぶりに「知られざる世界」を見た。サケの川上り、産卵、そして死をとらえていた。最後、サケの死体(ほっちゃれ)が川を流れる所は、さながら「濡れた男」(幸田文)の世界だった。


上の引用にある幸田文『濡れた男』の内容はすっかり忘れてしまっておりますが、確か国語の教科書に載っていたのを読んだのではなかったかと思います。

1986年

1月5日
10時から「知られざる世界」を見た。地中に穴を掘って住むというネコ科の動物ミーアキャットのことだった。日本にある飼育施設の地下観察の記録だった。ミーアキャットの「地下宮殿」を見てみたい、という一人の飼育係の女の子(まだ17歳だ)の願いで、仲間たちが力を合わせて地下観察のできる飼育場が完成し、地下の生態が明らかになった。専門家の研究ではなく、一人の女の子の熱意によって生態が明らかになったのは感動的だ、とはリポーターの弁。


えー、正しくはミーアキャットは「ネコ目マングース科」でありまして•••。あーこっぱずかしいわ。一体何を見ておったのか。なお、文中「リポーター」とありますが、番組は毎回ではなかったものの、リポーター役を立てて取材、進行していくという体裁がとられることも時々ありました。

1月12日
10時から「知られざる世界」を見た。遺跡の中の宇宙人伝説のこと。


ほーら出てきたぞ出てきたぞ、宇宙人が(笑)。

1月19日
10時から「知られざる世界」を見た。先週の「日本の宇宙人伝説」の続き。


1月26日
10時から「知られざる世界」を見た。サンゴのこと。サンゴは無性生殖といわれていたが、有性生殖もやる種類もあった。また、サンゴが触手を動かして、小動物を捉える所はすごかった。サンゴも立派な動物だということを認識した。オニヒトデにやられたサンゴが累々と並ぶ海底の光景には鬼気迫るものがあった。オニヒトデが異常繁殖した理由には2つの説があり、一つは自然の摂理、もう一つは公害などの人為的なもの、というものだ。人為的なものだったら何かせねばならない。


2月2日
10時から「知られざる世界」を見た。アフリカの火山大地溝帯、グレート・リフト・バレーを中心に、火山活動について紹介。5000万年後には、なんと日本列島は、地かく変動によりアジア大陸の下にもぐりこんでしまうという!さらに1億年後には、再び全ての大陸が一つにつながってしまうともいうのだ‼︎しかし、そのときにはとうに我々は存在していないので、見ることはできないのだが。


2月10日
10時から「知られざる世界」を見た。先週の続きで、グレート・リフト・バレーの動物たちについてだった。


2月16日
10時から「知られざる世界」を見た。北極のオーロラの話。オーロラはファンタスティックだったが、解説がややわからなかった。


2月23日
10時から「知られざる世界」を見た。オホーツク海の流氷のこと。仕事とはいえ、あんな冷たそうな海に潜るのは大変だろうと思った。


•••ったく、せっかく番組観ておきながらそんなとこしか印象に残らなかったのか(泣)。高校時代のオレのバカ!

3月2日
10時から「知られざる世界」を見た。先日起こった熱川のホテル火災を科学的に検証していた。実験によると、一人よりもグループで避難するほうがいいようだ。さらに、その中の一人がリーダーとなって適格な指示をすれば、かなり高い成功率で避難できるともいう。


上の場合だったら「適格」ではなく「的確」でしょう。なお、「熱川のホテル火災」とは、この放送の前月に熱川温泉のホテルで発生し、24人が焼死したという火災のこと。このように、時には直近のニュースを題材にしたテーマが取り上げられることもありました。

もうだいぶ長くなってきましたので、続きは次回に。


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