一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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欠陥住宅を判断する基準は?

2007年06月09日 16時45分58秒 | 住宅検査・トラブル相談
▲ 「例えば、この断熱材の張り方は間違っています」と以前、全国版の雑誌の特集に私のコメントと、こういった間違った工事方法の数々の写真を提供したものが掲載されました。クレームを含めて大変な反響となってしまいました。なぜ間違っているかわからない、いつもこうやっている業者が関東以南では多いからです。


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

住宅のトラブルに関して、一体何が判断の基準になるのでしょうか?

欠陥だとか瑕疵だとかを判断する基準です。

建築基準法だと思いますか?

それは正しいのですが、建築基準法は、皆さんの家の欠陥を防いでくれる法律というより、どちらかといえば近隣とのトラブルや地域環境を考えての法律に近いと考えると明確になります。

もちろん、構造面などでこの建築基準法に違反していれば、話は早いので簡単なのですが、

一般の住宅を考えると、この建築基準法だけを照らし合わせての判断では、どんなにひどい家でも、具体的に欠陥住宅と断定できない内容が多いのです。


ですから、裁判は長引きますね。法律家である裁判官は、法の解釈を考えますがあまりにも適用できる内容が少な過ぎて判断できない。専門家の意見やそれぞれの言い分を聞いて判断することになるのです。


では、裁判や調停で建築基準法や民法などの法律以外で基準になるものはあるのでしょうか?

あります。

契約書や設計図書もそうですが、共通認識として以下のようなものがあげられます。

(A)住宅金融公庫の仕様書

(B)日本建築学会の仕様書

(C)住宅紛争処理技術ハンドブックなどの指針

(D)材料メーカーの施工仕様書

(E)その他


この中で、一番知っておきたいのは(A)です。

(B)は、一般住宅では業者がその存在さえ知らないことが多く
何十冊にもまたがりますので、一般住宅ですべてをクリアーしなければならないというのは、酷でしょう。ビルなどの鉄筋コンクリート造や重量鉄骨などでは、これから引用されることも多いです。


私が、こういった内容のお話をするときは、私が実際に相談や調査を行っているときなのです。現在進行中のことを具体的に書くことはよろしくありませんから、一般論や以前あったトラブルでヒントになる内容を書いています。


報告書を書いて指摘しても、その根拠を言わないと業者は納得しません。個人的な意見や、それが当たり前だと言っても、「法律上は問題ない」ということになるからです。

また、この公庫の仕様書が、「公庫を使っていない場合でも有効か?」という疑問を持たれるかと思いますが、裁判や調停では有効な判断になります。

住宅金融公庫の仕様書は、日本で一番普及していて、国民の財産である住宅を良質なものにするため最低限守るべきという視点で作成されているからです。公庫を使っていなくても、この内容が客観的な判断基準になりやすいのです。



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