92式特受信機の定期点検記録 その4 (2015年12月21日)
故障調査について
①第一、第二高周波増幅段の真空管ソケットの電圧測定を行い異常値があるかの検討を行う。
②第一高周波増幅段なのか第二高周波増幅段の故障なのか故障個所を特定する。
③SSGによる信号注入によるオシロでの波形調査を行う。
以上大まかな故障調査ですが、問題は大きな信号では短波帯でも受信することができることです。
逆にこのため、故障個所の特定が困難であるという点です。
なお、故障個所が特定できれば、故障部品の交換を実施します。
まず、「①第一、第二高周波増幅段の真空管ソケットの電圧測定を行い異常値があるかの検討を行う。」ですが、
動作時の測定が無理なので、真空管を外し、静的に各電極の電圧を測定しましたが、異常値はありませんでした。
次に、「②第一高周波増幅段なのか第二高周波増幅段の故障なのか故障個所を特定する。」ですが、
周波数変換段の6A7のグリッドにアンテナを接続すると、5球スーパーとして受信することが可能です。
更に、第二高周波増幅段6D6のグリッドにアンテナを接続すると、受信機能が大幅に低下します。
また、第一高周波増幅段6D6のグリッドにアンテナを接続すると、同じく受信機能が大幅に低下します。
この結果、最低第二高周波増幅段6D6に問題があると判断されます。
最後に、「③SSGによる信号注入によるオシロでの波形調査を行う。」ですが、
空中線ターミナルに信号注入すると、明らかに第二高周波増幅段6D6のグリッド部で信号が大幅に低下しています。
この結果から、まず、第二高周波増幅段6D6の回路の怪しいところの電解コンデンサー(全て0.5μF)から交換することとします。
製造して70年以上経過していますので、電解コンデンサーのほとんどは正常とは思われませんが、怪しいものから取り換えては、上部と下部構造部を接続して試験を行います。
この作業は大変手間がかかりますが、特定の故障部品が判明するまで継続するしかありません。
そうこうしていると、第二高周波増幅段6D6の回路の関連する電解コンデンサーを全て交換しましたが、受信機能は回復しません。
それではと、意地となり、今度は第一高周波増幅段6D6の回路の怪しいところの電解コンデンサーを交換しだし、挙句の果て全部交換しましたが、受信機能は回復しません。
修復コンセプトとしてはオリジナル部品は手を加えないことを信条としていましたが、これでは修復コンセプトはなんだったのか反省しきりです。
この作業で電気的特性に関する部品には問題がないことになりますが、それでも受信機能に問題があるということになります。
よくよく考える、上部と下部構造部を接続するバリコンの接続が本当に正常に行われているのかが疑問が残ります。
目視では、確認できないので余計に気にかかります。
次回は、少し故障個所を別の観点から調査するこことします。
ここまで、部品交換しましたので、徹底的に故障原因の特定に努めます。
広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
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