韜晦小僧のブログ 無線報国

真空管式ラジオ、軍用無線機やアマチュア無線機の修復の記録
手製本と製本教室の活動の記録
田舎暮らしの日常生活の記録

1式空3号隊内無線電話機改2の修復作業記録 その1 (2018年10月27日) 再塗装作業

2018年10月28日 11時40分43秒 | 02海軍無線機器

1式空3号隊内無線電話機改2の修復作業記録 その1 (2018年10月27日) 再塗装作業

本機についても、再塗装と欠落部品である受信部の同調ダイヤルと水晶ホルダーを装着し、見かけ上の整備を行うこととする。
内部については、送信部はほぼオリジナルであるかぜ、受信部はすべての部品が欠如しており、あるのはソケットのみという実態である。
残念ながら完全なる復元は困難であることから、受信部は改以前のオリジナルの1式空3号隊内無線電話機の金属管の構成で再構築を目指すこととする。
なお、銘板のとおり松下電器無線製作所製の昭和20年2月製造とあり、この敗戦間際ではさすがに物資不足が影響したのかアルミの精錬度も悪化し、アルミが酸化しアルミの白い粉が噴き出す事態となっている。
また、一部の部品名のプレート板も、アルミ製から精巧な紙製に変更されていた。
このため、再塗装のため塗装の粘着性の保護シートを各部品に張ったが、剥がすと紙製のものは当然表面がはがれてしまう結果となった。
ネームプレートが紙製であるがアルミ製のような精巧さが逆に災いとなった。
再塗装作業は、部品が外れなかったりしたので不細工な結果となってしまった。
ケースの上蓋に、操作説明書が極細文字で印刷されているが、虫眼鏡を以ても機上員には読めそうもないが、ここで少し解読できるところを紹介してみよう。

一式空三號隊内無線電話機改二使用法
一 空中線
空中線ハ送受兼用単条空中線ヲ用フ
使用周波数ト空中線長
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
送信周波数(kc) 三〇、〇〇〇 三五、〇〇〇 四〇、〇〇〇 四五、〇〇〇 五〇、〇〇〇 
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
空中線長(米)   五、〇    四、五    四、〇    三、〇    三、〇
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

二 送信機
注意 特に(二)(三)項ニ注意セザレバ所要周波数ノ5/4倍トナルコトアリ
(一)送信用周波数発信子(1/8ト記銘)ヲ挿入ス
  (本機ハ水晶発振以外ハ不能ナリ)
(二)周波数曲線ニ依リ発振同調目盛板ヲむ調定ス
(三)電源接断器ヲ「接」トナシ約三〇秒後調整接断器ヲ「調整」トシ
 「発振同調」目盛板ヲ緩カニ回転シ「発振標示」用ネオン菅ノ点火スル
  点ヲ求ム
  ネオン菅ハ二箇所ニテ点スルコトアルヲ以テ曲線ニ依ル目盛附近ノモノヲ用フルヲ要ス
(四)「平衡蓄電器」ノ各目盛ニ対シ「空中線同調」目盛板ヲ回転シ空中線電流ノ最大点ヲ求ム
  但シ三〇、〇〇〇kc付近ニ於テハ「平衡蓄電器」ハ短絡
  (目盛一〇度(赤字を附ス))ノ位置ニテ使用ス
(五)「発振同調」「空中線同調」目盛板ヲ反復調整後固定シ調整接断器ヲ「送受」トス
  ((四)又ハ(五)項ニ於テ空中線回路ノ同調ニ依リ「発振標示」ネオン菅消ユルコトアルモ空中線電流計振レバ差支ナシ)
(六)電鍵操作及送話口接続器ノ押○ニ依リ電波ノ輻射及変調情況ヲ検ス又受聴器ニ依リ側音情況ヲ検ス
  備考一、送話口使用ノ場合ハ二個ノ送話口素子ヲ咽頭ノ両側ニ軽
  ク密着セシメ送話ハ一語一語ヲ区切り専ニ明瞭ニ話ス様
  留意スベシム音声ハ普通ノ会話ヨリ○高キ程度ガ適当ナリ
  ニ、送信セル場合普通ハ空中線電流計指度少シク増加スルモ
  周波数五〇、〇〇〇kc附近ニ於テハ僅減少スルコトモアリ
  但シ甚シク現象スル時ニ概ネ真空管ノ不良ニ因ル

三 受信機
(一)受信用水晶発振子(D/8受ト記銘)ヲ挿入ス
  (本機ハ水晶受信以外ハ不能ナリ)
(二)周波数曲線ニ依リ「受信同調」目盛板ヲ調定ス
(三)電源接断器(送受信機及較正装置)ヲ「接」トス
(四)較正装置ニ該周波数ノ送信用水晶発振子ヲ挿入シ発振セシ
  ム較正装置空中線ノ先端金具ニテ送受信用空中線ノ「キャプタイヤー」板覆部ヲ挟ムモノトス
(五)「微調蓄電器」ノ各目盛二対シ「受信同調」目盛板ヲ緩カニ回転シ
  受信音ノ最大点ヲ求ム
(六)「音量調整器」ニテ音量ヲ減少シ各蓄電器ヲ正確ニ同調点ニ反
  復調製後固定ス
(七)較正終了セバ全用接断器ヲ「断」トス

四 管制器
(一)送受信機調整終了セバ電源接断器ヲ「断(菅)」トシ管制器制御状態トス
  備考 送受信機ノ団厳接断器ヲ「接」トナシタルママ主管制器ニテ操作ヲ行ヘバ送受可能ナルモ主又副管制器ノ
  音量調整器ハ作動セズ
(二)主(後席)管制器ノ電源接断器ヲ「接」トシ約三〇秒後電鍵及送話口ニ依リ各作動ヲ検ス
(三)副(前席)管制器ニ就キ前項ニ準ジテ検ス
  但シ主管制器ノ音量切換機ハ副(前席)ニ○スモノトス


1式空3号隊内無線電話機
http://minouta17.web.fc2.com/navy_1-ku-3.html

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿