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オークションウォッチ 日本海軍[擇捉型(310号 艦型)海防艦 艦型図]青図

2020年05月05日 14時28分52秒 | 03陸海軍電探開発史

オークションウォッチ 日本海軍[擇捉型(310号 艦型)海防艦 艦型図]青図
断捨離中につき入札ご法度の身でありますので、入札に参戦できず下記Yahooオークションの推移を見守り、記録するだけとしました。
戦前/日本海軍[擇捉型(310号 艦型)海防艦 艦型図]青図/検)択捉型海防艦/マル急計画/大阪鉄工所桜島工場
商品情報
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オークションID:k462699230
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戦前、日本海軍『擇捉型(310号 艦型)海防艦艦型図』青図です。  
◆◆ 折れ、縁に小切れ有り。  
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参考資料 択捉型海防艦
択捉

 
同型艦 福江

 

同型艦 笠戸

出品の写真をよく見ると、青図というか青焼きに「擇捉型(310号 艦型)海防艦 艦型図 レーダー装備のものを示す」と明記されており、艦図をよく見ると、確かに前檣(ぜんしょう;ほばしら)に22号レーダーの絵が描かれています。
戦時において日本海軍が自ら「レーダー」という用語を使用しないので不信に思い、詳細に観察すると製作年月として26.9.1956と記載されていることから、昭和31年9月26日に何かの目的で再作成されたものと思われます。
作成者はY.Higuchi(判別不明確?)、縮尺は1/200のようです。
興味を引いたのは、択捉型海防艦の設計図であり、前檣(ぜんしょう;ほばしら)に22号電波探信儀の空中線である電磁ラッパが描かれている点です。
日本の艦船のレーダーについては、ほぼ艦上のアンテナ(空中線)のみで艦内のレーダー装置の実体・配置を示した資料はほとんどありません。

今回は手元の資料を整理し、22号電波探信儀レーダーの実体を示す事とします。
戦記では、海防艦「占守(しむしゅ)」電探室異状なしと誇り高きオンボロ駆逐艦「神風」電探戦記などがあります。
少し、“海防艦「占守(しむしゅ)」電探室異状なし”から重要項目を抜粋します。
「占守」は排水量1020トン、全長78m、最大幅9.1m、喫水3.05mの小型艦ながら、艤装、構造ともにこったものであり、建造時には軍艦ということで船首には菊の御紋章がかがやき、外観も風格を備え、艦長室の造作も、他の艦とかけはなれた立派なものだった。
艦橋塔は3層になっており、1層目に通信室、2層目に海図室、電探室、3層目が艦橋となっており、その後部が旗甲板で、上部には3mの測距儀が装備されていた。
上甲板全部には艦長室と士官室があり、兵員室は下甲板前・後部が当てられ、荒天通路に接して烹炊所、医務室、浴室などがあり、中部最下甲板は機関室で、デーゼル機関2基、発電機があった。
6m内火艇1隻、カッター2隻、通船1隻がそれぞれ両舷に搭載され、前檣に電探のラッパ管、その後部に探照灯などが設けてあった。
・・・・・・・・・
22号電探は、電気的振動を発振・増幅されて、それを電波にかえて檣楼(しょうろう)にあるラッパ管内の送信アンテナより発信する。
波長8cm(誤記で実際は10cm)といわれる極超短波は光のように直進して、物体に当たると、山ビコと同じ原理で、ハネ帰ってくる特性を利用し、受信用のラッパ管内のアンテナで受けて、ブラウン管に映し出す。
その波型で距離、ラッパ管の奉公で物体の方位を知るものである。
このため、発振器・増幅器・整流器・送信器・受信器・受像器など、20もの機械があり、電探室は足の踏み場もない。
それらの器械には、今日のようなICも半導体もない。
すべて真空管・抵抗体で、その種類も何十種類、数も百ちかく、機内は電線が縦横に走っている。
機械を作動すると真空管に火がともり、それから発する熱気で、頭が痛くなってくるしまつ。
そして無理な作動を繰り返すと、真空管や抵抗体が「ボー」と燃え切ってしまうといった具合で、まったくむりがきかない。
※参考資料 866A 水銀整流管の電源投入時の管面変化   https://www.youtube.com/watch?v=V_DZO6d0B-I
・・・・・・・・・・
「占守」は僚艦とともに商船を護衛し、占守島の片岡湾をめざして大湊を出港した。
水中探信儀、電波探知機の性能を発揮し、見えない島嶼あるいは海底の起伏を精測して艦位の測定に大きい役割を果たした。
艦長はとっさの敵潜にそなえ、防寒服をまとって、つねに艦橋の椅子に待機していた。
目的地に着くという前夜、電波探知機のブラウン管に味方艦艇以外に、1隻の映像を右30度、距離5000mに発見、直ちに艦橋に報告する。

※参考資料 海軍航空機搭載 3式空6号無線電信機4型(H-6) レーダー
使用周波数150MHzであるが、航空機から島嶼の距離、方向を当時のレーダーで確認することができる。
さらにこの空中線を回転できれば、平面図いわゆるPPIレーダーとなります。
ただし、150 MHzなどのVHFでは解像度が荒く、22号レーダーで使用しているセンチ波の極超短波が必要となります。

 
・・・・・・・・・・・
「占守」はその後も引揚船として、武器は全部とりはずされ、甲板上に木製のデッキを急造して、五、六百人くらい乗艦できるように改造した。
そして、南方の島々に残留の旧陸軍部隊の復員艦として涙の汗を流し活躍したが、昭和22年7月に賠償艦としてソ連に引き渡された。

占守竣工時(レーダーなし)


 
戦後の占守(引揚船用に改造、22号レーダーあり)


 


2号2型(Mark 2 Model 2 )電波探信儀(レーダー)
戦時中におけるマイクロ波レーダーの実用化の最大の問題点は、マイクロ波の搬送波からベースバンドの信号をいかに取り出すかという課題を克服することだった。
初期の二号電探二型では、昭和18年初旬に問題はあるが超再生検波方式のもので実用された。しかし、受信機方式の本質的な欠陥に対してはさしたる対策のないままだった。
同年春には、ドイツから英軍が九センチ波のレーダーを使用し始め、その受信方式にマグネトロンを局部発振に、鉱石を検波に使ったスーパーヘテロダイン方式が用いられているという情報が入っていたが、わが方の研究開発陣に特別な動きはもたらさなかった。
次に、昭和19年3月頃に検波方式を改良し再生式検波方式とした二号電探二型受信機改一が実用化されたが、依然運用面では不安定であることの課題は残っていた。
このため、菊池教授門下の霜田氏は、さらに同教授の指導で二号二型電探の受信機の第一検波にも鉱石検波器を使用する研究に着手し、昭和19年9月に二号電探二型受信機改二としてスーパーヘテロダイン方式が実用化され、やっと安定運用することが可能となった。
なお、鉱石検波器は混合部である空胴共振器内でマイクロ波から中間周波数を取り出すために使用された。
一方、米国では、レイセオン社がSGレーダーを開発した。波長10センチメートル(周波数3ギガヘルツ)帯のPPIスコープ方式の2次元レーダーである。
1942年(昭和17年)10月11日のサボ島沖海戦では、SGレーダーの情報に基づく夜間射撃により、日本海軍が苦杯をなめることとなった。
また11月の第三次ソロモン海戦およびルンガ沖夜戦では、駆逐艦「フレッチャー」において、本機によって得られた高精度の情報が艦長の戦闘指揮を大いに助けた。
昭和18年春のドイツの情報をレーダー開発に即座に反映しなかったことがこの技術差を更にひらく結果となったことは残念でならない。

駆逐艦花月における2号2型改4Sレーダー配置を以下に示す。



セルシンによる方位角の測定




参考文献
Reports of the U.S. Naval Technical Mission to Japan, 1945-1946
「日本無線史」10巻 1951年 電波管理委員会
仮称2号電波探信儀2型昭和17.11.26 海軍技術研究所電気研究部 防衛省戦史資料室
「元軍令部通信課長の回想」昭和56年 鮫島素直
海防艦「占守(しむしゅ)」電探室異状なし 北村栄作 1990年6月 光人社
丸スペシャル 海防艦 1979年6月 潮書房
3式空6号無線電信機4型取扱説明書 昭和18.9.1 海軍航空技術廠支廠 防衛省戦史資料室
ラジオライフ 1984年6月号
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