韜晦小僧のブログ 無線報国

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オークションウォッチ 「陸軍ム62型受信機」戦後のご奉公について(令和4年06月05日)

2022年06月05日 15時40分15秒 | 10オークションウォッチ

オークションウォッチ 「陸軍ム62型受信機」戦後のご奉公について(令和4年06月05日)

断捨離中につき入札ご法度の身でありますので、入札に参戦せず下記Yahooオークションの推移を見守り、記録するだけとしました。

当時物 ム62型受信機 整流装置 無線機 現状品 詳しい方よろしくお願いします!
商品情報
個数:1
開始日時:2022.05.30(月)11:36
終了日時:2022.06.05(日)11:40
自動延長:あり
早期終了:あり
返品:返品不可
入札者評価制限:あり
入札者認証制限:なし
落札者:c*2*4*** / 評価 875
開始価格:1,000 円(税 0 円)
オークションID:v1052983394
現在17,000円(税 0 円)
ウォッチ 63人が登録
詳細
出品地域:山形県
入札件数39件履歴
残り時間終了詳細
出品者情報
落札率が高いkomworks3さん
総合評価: 982
良い評価 99.6%
出品地域:山形県
出品者へ質問 回答済み1 件
商品説明
カテゴリ  ホビー、カルチャー アマチュア無線 受信機
状態   傷や汚れあり (詳細) 
ご覧いただきありがとうございます。
ム62型受信機などの一式を出品いたします。
動作確認などしていません。
現状品、ジャンク扱いでの出品です。
詳しい方の入札をおねがいします。
当方専門知識がなく完全に把握できておりません。
状態は画像をご参考下さい。
出てきたままの状態で出品しておりますので、古い物にご理解の有る方のみ入札をお願い致します。
送料負担:落札者
発送元:山形県
海外発送:対応しません
発送までの日数:支払い手続きから2~3日で発送
送料:東京都は1,750円(離島を除く) 詳細

質問一覧
 質問1 投稿者:6*b*c*** / 評価:886
5月 31日 12時 11分
発送はどの様にされる感じでしょうか・・・
  回答
5月 31日 12時 18分
ゆうパックで発送しようと思ってます。 重いので二口に分けるかもです。 二口に分けた場合の送料は自分がもちます。 落札者様は1つ分の送料だけで結構です
1ページ中 1ページ目を表示 (質問合計:1件)

入札者の順位   すべての入札履歴
1ページ中 1ページ目を表示 (入札合計:12件)
入札者 / 評価   入札額 個数 最後に手動入札した時間
  c*2*4*** / 評価:875 最高額入札者 17,000 円 1 6月 5日 11時 34分
  4*c*7*** / 評価:81  16,500 円 1 6月 5日 11時 31分
  2*c*0*** / 評価:321  12,000 円 1 6月 5日 11時 30分
  d*0*5*** / 評価:1294  10,500 円 1 6月 5日 11時 14分
  8*c*c*** / 評価:591  5,000 円 1 6月 4日 20時 21分
  d*0*8*** / 評価:1651  4,900 円 1 6月 2日 22時 41分
  6*b*c*** / 評価:886  3,800 円 1 6月 2日 20時 54分
  e*e*2*** / 評価:13776  3,600 円 1 6月 1日 20時 48分
  6*b*3*** / 評価:2274  3,400 円 1 5月 31日 19時 14分
  2*8*3*** / 評価:108  1,300 円 1 5月 31日 18時 16分
  7*e*e*** / 評価:91  1,200 円 1 5月 31日 9時 58分
  9*4*e*** / 評価:834  1,000 円 1 5月 30日 21時 36分
1ページ中 1ページ目を表示 (入札合計:12件)



【コメント】
「当時物 ム62型受信機 整流装置 無線機 現状品 詳しい方よろしくお願いします!」のタイトルで出品がありました。
写真を拝見すると陸軍航空隊が使用していたム-62受信機(地2号無線機受信機の後継機)を戦後アマチュアが無理やりアマチュア無線機用として改造したものに見えたのですが、銘板をみると高橋電気株式会社によりご丁寧にも「ム62型受信機」の名称のまま、昭和32年2月に改造とありました。
戦時中の無線機については、戦後になってから廃棄を免れた無線機が公官庁用として、特に警察庁などが通信確保のために戦後一時期だけ使用したとの記録があるだけで、このように昭和32年あたりで旧軍の無線機を改造して業務用に活用していた事実がこのオークションの出品により判明しました。
この背景には、昭和32年ごろに旧軍の無線機が大量に市場に放出されたことを意味します。
1台や2台の受信機を今回のような大規模な改造し民生用に使用するのであれば、コストが合わないのは明らかです。
放出元を考える、警視庁は戦後すぐに必要な通信確保のための臨時に旧軍無線機を運用し、世の中が落ち着くと新設無線機の導入を開始しており、1950年(昭和25年)に陸上自衛隊の前身である「警察予備隊」が創立されたのを機会に予備隊に旧軍無線機を引き継がせたのではないだろうか。
勿論、警察予備隊も米軍の無線機の中古の配給が主体であり、旧軍無線機は結局倉庫で眠っていたのだろう。
そういった旧軍無線機の山になった倉庫の話を昔あるOMから聞いたことがありました。
丁度昭和32年ごろといえば、公官庁でも不用品の資産除却のため旧軍無線機の廃棄を始めたのだろう。
それでは、誰がこのような旧式の旧軍無線機を購入したのだろうか。
屑鉄業者ではあれば、分解してアルミ材としてどこかに売却すれば、それでおしまいです。
昭和32年頃、10から20台の大量の通信型受信機を組織的に必要なところは誰だろうか。
しかも、格安の無線機であることが重要です。
昭和32年ごろではあれば、社会も安定したおり本来ならメーカー製の最新型の通信型受信機ならそれなりの費用をかければ容易に調達できます。
一番可能性がある業界は、資金が脆弱な遠洋の漁業船団の無線機ではないでしょうか。
仕入れ値段は屑鉄価格であり、旧軍の受信機は真空管をST管からGT管への換装を主体に改造するだけですので、新品の通信型受信機の1/3ぐらいの価格でペイするのではないだろうか。
また、無線機の筐体も船舶用無線機で一般的に使用されている色に着色されているのも根拠の一つです。
しかも、改造を実施した高橋電気株式会社(詳細は不明ですが現在も存続会社があるようです)の所在は仙台市ですから、この近辺の漁業関係者からの改造依頼があったのではないのでしょうか。
また、添付写真から昭和32年の改造から丁度5年目の昭和37年3月「ム62型受信機修繕」の試験成績表が添付されているので、大量の無線機の長期の維持管理が可能な事業者であることがわかります。


高橋電気株式会社について
ネットで検索すると、高橋電気株式会社は現在でも宮城県仙台市太白区長町で活動されているようですが、事業活動内容などは不明です。
なお、関連企業である株式会社 東北テレコム情報には下記の記述がありました。
昭和28年5月 仙台市茂市ヶ坂26番において、高橋電気株式会社内に有線部設置、営業開始する
昭和32年3月 高橋電気株式会社より分離独立し、新会社高橋電気通信株式会社に組織変更、代表取締役に高橋 見勇が就任する。
昭和53年9月 業務拡張のため仙台市伊在字白山前38番地に移転。社名を「株式会社 東北テレコム」と改称する。
平成17年8月 業務効率化のため、本社機能を南郷工場に統合する。
上記内容から、高橋電気株式会社は無線部門を主体として、例えば主力事業として船舶無線機の設置工事や無線機の保守管理などを行っていたのではないかと推察する次第です。


ム62型受信機の改造点について
本体部正面
フリクション型のバーニアダイヤルから周波数直読のダイヤル方式に変更しています。
旧軍の受信機の一番弱い運用の弱点を見事に改修しています。
なお、AVCの機能追加が見られます。

 
本体部上部
真空管をST管から当時では最新式のGT管に換装するとともに、IFT部のコイルパック群を撤去して、IFを455Khzに対応したコイルに変更しています。

 
電源部正面
旧軍の電源部は入力を100Vと200Vの対応が可能であり、正面パネルに現在の入力電圧を表示するための表示窓がありましたが、100V対応単独とし、表示窓をつぶすために銘板位置を変更しています。

 
電源部上部
電源トランスは新規作成したトランスに換装していますが、2つのチョークコイルは旧軍時代のものをそのまま使用しているようです。
整流管も同様に変更せずにST管(80)を使用しています。


参考文献
地2号無線機    https://minouta17.hatenablog.com/entry/2019/07/02/091642

 

広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/