■Jim Woodyard / Basement Suite■
中古の輸入盤を買うと、ジャケットのクレジットにボールペンでマークがついたりしていることがあります。 それは自分のお気に入りの曲に出会った喜びの表れなのでしょう。 そんなマークも人それぞれで、小さな★くらいならば気にならないのですが、話題のミシュランみたに★★★とあったりすると、過剰に感じてしまいますね。 さて、今日取り上げるこのレコードにはそんな★マークが、たったひとつだけありました。
今日の主人公 Jim Woodyard はカナダのバンクーバー出身の SSW です。 このデビューアルバムは、1977 年に発表されたもので、レコーディングはナッシュビルとバンクーバーの 2 ヶ所で行われています。 セピア色のジャケットや 1977 年という年代からも想像できるように、このアルバムは古き良きアメリカンな雰囲気と西海岸特有のアダルトなサウンドが適度に混在している内容となっています。
サウンドの傾向としては、カントリー調、同時代のポップサウンド、心温まる SSW 系のサウンドとの 3 つに大別できます。
「She Loves Me Like A Baby」、「Hello April」、「Pennsylvania Flower」、「Organic Annie」といったカントリー系の曲には、ドブロやスティールギター、バンジョーといったお決まりの楽器が入ってきますが、どの曲がお薦めかと言われれば、Hans Staymer がハーモニカで参加している「Pennsylvania Flower」です。
ポップサウンドの代表格は「Movin’ On」です。 この曲は Denise McCann とのデュエット。 ポップ・フィールドの彼女とのデュエットだけに最もコンテンポラリーな仕上がりです。 他にもアップな「Circle Of Friends」や、無骨な印象の「Lioness In Sheeps Clothing」などが 70 年代のいなたいポップという感じです。
残るは、SSW 的な楽曲ですが、耳に残るのは「In Her Arms To Stay」です。 この曲は一瞬ニルソンの「Everybody’s Talkin’(うわさの男)」のカバーかと思えるほどニルソンに似ています。コード進行はほぼ同じ、メロディーもアレンジも似通っていて、意識していないといえばウソになると思いますね。 バラード系もいい曲があり、B 面の「Time For Me To Go」は落ち着いた印象。もう少しメロディーが立っていたら最高なのにという惜しい曲ですが、その分歌詞が良かったりするのでしょう。 ラストの「Sail Away」しっとり系。 男らしさと寂しさが同居するようなサウンドと ♪Sail Away♪ のリフレインにより、遠い山並みに日が暮れるようにアルバムの幕が閉じられていきます。
さて、こうなると残る 1 曲が★マークになりますがどの曲なのでしょうか。 いきなり回答しましょう。その曲はアルバム 1 曲目の「Heaven Only Knows」です。 この曲は、ひんやりとした森の空気感やミントの香りのする美しいナンバー。 他の曲と空気感や湿気がまったく異なって聴こえるのですが、この曲がA面1曲目にあることを考えると★をつけた最初の持ち主のこのアルバムへの期待はさぞ期待は高かったことでしょう。 僕もちょうどカナダやミネソタの良質なアルバムを連想したものです。 しかし、このアルバムはそこまで一貫性のあるものではありませんでした。 予想以上にバラエティに富んでおり、カントリー色も強く、バンクーバーというよりはもっと南の西海岸にいそうな感じがします。
とはいえ、「Time For Me To Go」や「Sail Away」などの良質な曲も点在し、安定したサウンド、とくにストリングス・アレンジにセンスの良さを見出すこともでき、なかなか捨てがたいアルバムになっていると思います。
★を付けたこのレコードの最初の持ち主は、どんな理由でこのレコードを買い求め、どのような理由で手放したのでしょうか。 そして、誰の手を経て僕が手にしたのでしょう。 そんなことばかり考えていると、あっという間に来年になってしまいそうです。
■Jim Woodyard / Basement Suite■
Side-1
Heaven Only Knows
Circle Of Friends
She Loves Me Like A Baby
Hello April
Movin’ On
In Her Arms To Stay
Side-2
Lioness In Sheeps Clothing
Time For Me To Go
Pennsylvania Flower
Organic Annie
Sail Away
Produced by Terry Frewer
Co-Produced : Jim Woodyard
All songs written by Jim Woodyard except ‘Organic Annie’ which was written by Marc Strange
Strings Arranged by Terry Frewer
Jim Woodyard : vocals , strings guitar , background vocals
Terry Frewer : electric guitar , organ , background vocals
Steve Pugsley : bass
Kat Hendrikse : drums , percussion
Tim Williams : acoustic guitar , harmonica
Stu Mitchell : drums
Tom Hazlett : bass
Bob Dalrymple : steel guitar
Bobby Seymour : steel guitar
Denise McCann : vocals
Paul Woodyard : electric piano
Doug Robertson : bass
Brady Gustafson : drums . percussion
Brett Wade : background vocals
Al Wold : piano
Hans Stymer : harmonica
Dyna-West Records DWLP-77102
中古の輸入盤を買うと、ジャケットのクレジットにボールペンでマークがついたりしていることがあります。 それは自分のお気に入りの曲に出会った喜びの表れなのでしょう。 そんなマークも人それぞれで、小さな★くらいならば気にならないのですが、話題のミシュランみたに★★★とあったりすると、過剰に感じてしまいますね。 さて、今日取り上げるこのレコードにはそんな★マークが、たったひとつだけありました。
今日の主人公 Jim Woodyard はカナダのバンクーバー出身の SSW です。 このデビューアルバムは、1977 年に発表されたもので、レコーディングはナッシュビルとバンクーバーの 2 ヶ所で行われています。 セピア色のジャケットや 1977 年という年代からも想像できるように、このアルバムは古き良きアメリカンな雰囲気と西海岸特有のアダルトなサウンドが適度に混在している内容となっています。
サウンドの傾向としては、カントリー調、同時代のポップサウンド、心温まる SSW 系のサウンドとの 3 つに大別できます。
「She Loves Me Like A Baby」、「Hello April」、「Pennsylvania Flower」、「Organic Annie」といったカントリー系の曲には、ドブロやスティールギター、バンジョーといったお決まりの楽器が入ってきますが、どの曲がお薦めかと言われれば、Hans Staymer がハーモニカで参加している「Pennsylvania Flower」です。
ポップサウンドの代表格は「Movin’ On」です。 この曲は Denise McCann とのデュエット。 ポップ・フィールドの彼女とのデュエットだけに最もコンテンポラリーな仕上がりです。 他にもアップな「Circle Of Friends」や、無骨な印象の「Lioness In Sheeps Clothing」などが 70 年代のいなたいポップという感じです。
残るは、SSW 的な楽曲ですが、耳に残るのは「In Her Arms To Stay」です。 この曲は一瞬ニルソンの「Everybody’s Talkin’(うわさの男)」のカバーかと思えるほどニルソンに似ています。コード進行はほぼ同じ、メロディーもアレンジも似通っていて、意識していないといえばウソになると思いますね。 バラード系もいい曲があり、B 面の「Time For Me To Go」は落ち着いた印象。もう少しメロディーが立っていたら最高なのにという惜しい曲ですが、その分歌詞が良かったりするのでしょう。 ラストの「Sail Away」しっとり系。 男らしさと寂しさが同居するようなサウンドと ♪Sail Away♪ のリフレインにより、遠い山並みに日が暮れるようにアルバムの幕が閉じられていきます。
さて、こうなると残る 1 曲が★マークになりますがどの曲なのでしょうか。 いきなり回答しましょう。その曲はアルバム 1 曲目の「Heaven Only Knows」です。 この曲は、ひんやりとした森の空気感やミントの香りのする美しいナンバー。 他の曲と空気感や湿気がまったく異なって聴こえるのですが、この曲がA面1曲目にあることを考えると★をつけた最初の持ち主のこのアルバムへの期待はさぞ期待は高かったことでしょう。 僕もちょうどカナダやミネソタの良質なアルバムを連想したものです。 しかし、このアルバムはそこまで一貫性のあるものではありませんでした。 予想以上にバラエティに富んでおり、カントリー色も強く、バンクーバーというよりはもっと南の西海岸にいそうな感じがします。
とはいえ、「Time For Me To Go」や「Sail Away」などの良質な曲も点在し、安定したサウンド、とくにストリングス・アレンジにセンスの良さを見出すこともでき、なかなか捨てがたいアルバムになっていると思います。
★を付けたこのレコードの最初の持ち主は、どんな理由でこのレコードを買い求め、どのような理由で手放したのでしょうか。 そして、誰の手を経て僕が手にしたのでしょう。 そんなことばかり考えていると、あっという間に来年になってしまいそうです。
■Jim Woodyard / Basement Suite■
Side-1
Heaven Only Knows
Circle Of Friends
She Loves Me Like A Baby
Hello April
Movin’ On
In Her Arms To Stay
Side-2
Lioness In Sheeps Clothing
Time For Me To Go
Pennsylvania Flower
Organic Annie
Sail Away
Produced by Terry Frewer
Co-Produced : Jim Woodyard
All songs written by Jim Woodyard except ‘Organic Annie’ which was written by Marc Strange
Strings Arranged by Terry Frewer
Jim Woodyard : vocals , strings guitar , background vocals
Terry Frewer : electric guitar , organ , background vocals
Steve Pugsley : bass
Kat Hendrikse : drums , percussion
Tim Williams : acoustic guitar , harmonica
Stu Mitchell : drums
Tom Hazlett : bass
Bob Dalrymple : steel guitar
Bobby Seymour : steel guitar
Denise McCann : vocals
Paul Woodyard : electric piano
Doug Robertson : bass
Brady Gustafson : drums . percussion
Brett Wade : background vocals
Al Wold : piano
Hans Stymer : harmonica
Dyna-West Records DWLP-77102
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