■Mirth / First Borne■
1977 年にカナダからほぼ自主制作に近いマイナーレーベルから届けられたアルバムをご紹介します。 グループ名は、Mirth なのか First Borne なのかしばらく判らなかったのですが、CANOE のサイトを見て Mirth だということが判明しました。 この言葉は「歓喜」とか「陽気」、「浮かれ騒ぎ」といった意味のようですが、それにしては地味なジャケットですね。 メンバーは、男性 1人 David James Bowen に、女性 2人 Alison Reynolds に Pat Watson という構成です。
アルバムは名曲と言えるナンバーや印象的な傑作がある一方、かなり凡庸だったり、興醒めしてしまう曲もあり、それがどちらかというと後半に寄っているので、このアルバムはどうしても曲を選んで聴きたくなってしまいます。
印象的な曲を 4曲ピックアップしてみました。 この 4曲がいずれも全く異なる趣きである点がこのアルバムをひと言では表現しにくいものにしています。
まずは、1 曲目の「Sometimes I Wonder」。 このアルバムから1曲と言われれば、迷わずにこの曲でしょう。 David James Bowen の手によるこの曲は、軽快なライトグルーヴ感が全面に漂う 今風の DJ 好みのサウンド。 シンセの音が安っぽいのが玉に瑕ですが、そんなところも包含して名曲と言えます。
3 曲目の「Going Away」は一歩間違えれば凡庸なカントリーなのですが、メロディーが親しみやすく、曲を書いた Pat Watson の優しいボーカルも楽しめます。
続いては、5 曲目の「Renaissance Man」です。 この曲は全編に渡って、プログレ調のシンセが主張し続ける曲。 1977 年にしては古めかしい音色なのですが、仰々しい展開や曲調は、別のアーティストの作品を聴いているのだという暗示をかけるとすんなり入ってきます。 曲調はまさに「Renaissance」を連想させます。 そう、あの英国プログレ界に君臨した Annie Haslam の「ルネッサンス」をモチーフにしているのかもしれません。 ちなみに、この曲は Pat Watson によるもの。
B 面は凡庸な曲や意味のないインスト「Wanger」などでかなり辛いのですが、そのなかに 1曲光るのが、「Star Bound」です。 7 分を超える大作ですが、淡々とした曲調のなかにも 3部構成くらいの展開があり、前半はJames のボーカル、後半は女性陣へとメロディーやリズムも変化しながら進行していきます。 しかし、一貫したテーマは宇宙の神秘みたいなもので、ややスピリチャルな楽曲となっています。
こうして、4 曲だけ振り返っても、そのサウンドはまったく整合性や統一感はありません。 彼らのデビュー作品にして、このようになってしまった理由は、3 人とも作曲能力があって、出来上がった曲をメンバーの間で平等にセレクトしてしまったからだと思います。
3 人のなかで、Alison Reynolds の曲が僕には最も響きませんでした。 「Childhoods End」、「All The Hearts」、「Look To Your Soul」の 3曲ですが、ラストの「Look To Your Soul」は何とか標準的なのですが、他の 2曲はきついですね。
Mirth は結局のところ、このアルバムのみを残して消滅。 せめて James David Bowen だけでもソロ作品を残してもらいたかったと思いますが、ネットで検索したら今もなお、アマチュアらしき音楽活動を続けていることがわかりました。 そのページにはステージ上で二人の女性を従えた James の若き勇姿も載っています。 そしてその女性 2人は、間違いなく Alison Reynolds と Pat Watson でした。 Mirth の裏ジャケットと見比べればすぐに判ります。
こんな形で、Mirth の貴重なステージ写真を思いがけなく目の当たりにすることができるなんて、ネット世界の威力を痛切に感じました。
いったい、James David Bowen はどのような想いで、この写真を掲載したのでしょうか。 きっと、彼のなかでは、Mirth は今でも昨日のことのように息づいているのでしょう。
■Mirth / First Borne■
Side-1
Sometimes I Wonder
Childhoods End
Going Away
Pangong Lake
Renaissance Man
Side-2
All The Hearts
Star Bound
Wanger
Truckers Lament
Look To Your Soul
Mirth are Pat Watson , Alison Reynolds and David James Bowen ,
Produced by David James Watson and Gary J. Hayes
Engineered by Bob Lanois
David James Bowen : synthesizer , guitars , lead vocal
Alison Reynolds : cello , guitar , background vocal
Pat Watson: synthesizers , piano , lead and background vocal
Drums : Brent Dolson ,Jerome Jarvis , Bill Cymbala
Bass : John Blume , Bob Doydge , David Woodhead
Violin : Ed Stevens ,Garnet Rogers
Pedal Steel : Frank Barth
Percussions : Matt Zimbell
Background Vocals : Jude Johnson , Leslie Tench , Alison Asshole , El Paso Reynolds
Dapah Records MFB1
1977 年にカナダからほぼ自主制作に近いマイナーレーベルから届けられたアルバムをご紹介します。 グループ名は、Mirth なのか First Borne なのかしばらく判らなかったのですが、CANOE のサイトを見て Mirth だということが判明しました。 この言葉は「歓喜」とか「陽気」、「浮かれ騒ぎ」といった意味のようですが、それにしては地味なジャケットですね。 メンバーは、男性 1人 David James Bowen に、女性 2人 Alison Reynolds に Pat Watson という構成です。
アルバムは名曲と言えるナンバーや印象的な傑作がある一方、かなり凡庸だったり、興醒めしてしまう曲もあり、それがどちらかというと後半に寄っているので、このアルバムはどうしても曲を選んで聴きたくなってしまいます。
印象的な曲を 4曲ピックアップしてみました。 この 4曲がいずれも全く異なる趣きである点がこのアルバムをひと言では表現しにくいものにしています。
まずは、1 曲目の「Sometimes I Wonder」。 このアルバムから1曲と言われれば、迷わずにこの曲でしょう。 David James Bowen の手によるこの曲は、軽快なライトグルーヴ感が全面に漂う 今風の DJ 好みのサウンド。 シンセの音が安っぽいのが玉に瑕ですが、そんなところも包含して名曲と言えます。
3 曲目の「Going Away」は一歩間違えれば凡庸なカントリーなのですが、メロディーが親しみやすく、曲を書いた Pat Watson の優しいボーカルも楽しめます。
続いては、5 曲目の「Renaissance Man」です。 この曲は全編に渡って、プログレ調のシンセが主張し続ける曲。 1977 年にしては古めかしい音色なのですが、仰々しい展開や曲調は、別のアーティストの作品を聴いているのだという暗示をかけるとすんなり入ってきます。 曲調はまさに「Renaissance」を連想させます。 そう、あの英国プログレ界に君臨した Annie Haslam の「ルネッサンス」をモチーフにしているのかもしれません。 ちなみに、この曲は Pat Watson によるもの。
B 面は凡庸な曲や意味のないインスト「Wanger」などでかなり辛いのですが、そのなかに 1曲光るのが、「Star Bound」です。 7 分を超える大作ですが、淡々とした曲調のなかにも 3部構成くらいの展開があり、前半はJames のボーカル、後半は女性陣へとメロディーやリズムも変化しながら進行していきます。 しかし、一貫したテーマは宇宙の神秘みたいなもので、ややスピリチャルな楽曲となっています。
こうして、4 曲だけ振り返っても、そのサウンドはまったく整合性や統一感はありません。 彼らのデビュー作品にして、このようになってしまった理由は、3 人とも作曲能力があって、出来上がった曲をメンバーの間で平等にセレクトしてしまったからだと思います。
3 人のなかで、Alison Reynolds の曲が僕には最も響きませんでした。 「Childhoods End」、「All The Hearts」、「Look To Your Soul」の 3曲ですが、ラストの「Look To Your Soul」は何とか標準的なのですが、他の 2曲はきついですね。
Mirth は結局のところ、このアルバムのみを残して消滅。 せめて James David Bowen だけでもソロ作品を残してもらいたかったと思いますが、ネットで検索したら今もなお、アマチュアらしき音楽活動を続けていることがわかりました。 そのページにはステージ上で二人の女性を従えた James の若き勇姿も載っています。 そしてその女性 2人は、間違いなく Alison Reynolds と Pat Watson でした。 Mirth の裏ジャケットと見比べればすぐに判ります。
こんな形で、Mirth の貴重なステージ写真を思いがけなく目の当たりにすることができるなんて、ネット世界の威力を痛切に感じました。
いったい、James David Bowen はどのような想いで、この写真を掲載したのでしょうか。 きっと、彼のなかでは、Mirth は今でも昨日のことのように息づいているのでしょう。
■Mirth / First Borne■
Side-1
Sometimes I Wonder
Childhoods End
Going Away
Pangong Lake
Renaissance Man
Side-2
All The Hearts
Star Bound
Wanger
Truckers Lament
Look To Your Soul
Mirth are Pat Watson , Alison Reynolds and David James Bowen ,
Produced by David James Watson and Gary J. Hayes
Engineered by Bob Lanois
David James Bowen : synthesizer , guitars , lead vocal
Alison Reynolds : cello , guitar , background vocal
Pat Watson: synthesizers , piano , lead and background vocal
Drums : Brent Dolson ,Jerome Jarvis , Bill Cymbala
Bass : John Blume , Bob Doydge , David Woodhead
Violin : Ed Stevens ,Garnet Rogers
Pedal Steel : Frank Barth
Percussions : Matt Zimbell
Background Vocals : Jude Johnson , Leslie Tench , Alison Asshole , El Paso Reynolds
Dapah Records MFB1
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