Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Stan Rogers

2010-04-20 | SSW
■Stan Rogers / Fogarty’s Cove■

  先月(3月10日)の投稿で Garnet Rogers をとりあげましたが、読者の方から彼が Stan Rogers の弟にあたるという旨のコメントをいただきました。 僕はそのことを知りませんでしたので、貴重な情報をいただきまして有り難く思っております。 今日の記事を書くにあたり、いつものようにアルバム・クレジットを書き写していたところ、しっかりと Garnet Rogers の名前があることを確認しました。

  そういう経緯で取り出したのが Stan Rogers が 1976 年にレコーディングしたファーストアルバム。 オリジナルは 1977 年に Barn Swallow Records からリリースされた作品ですが、僕が持っているのは自身のレーベル Fogarty’s Cove から 1979 年に再発されたレコードです。 一般的に出回っているのはこちらの盤が多いようです。

  さて、Stan Rogers ですが、トラッド寄りの SSW ということで、僕は勝手にカナダの Richard Thompson と呼んでいます。 ギターのテクニックでは Richard Thompson に分がありますが、鼻にかかった歌声と容姿・風貌はかなり似ていると思います。 このデビューアルバムでは、Stan Rogers の男らしさとストイックさが前面に押し出されており、内容的には通好みの作品に仕上がっています。 言い換えると渋すぎ、というところでしょうか。 ギターを中心にしたシンプルなサウンドなのですが、トラッド風のメロディーと低音ボーカルの連続攻撃には、ややもすると陰鬱な気分に包まれます。  「Fogarty’s Cove」、「Plenty Of Hornpipe」や「The Wreck Of The Athens Queens」といったアップテンポのダンスチューンも要所に配置されいるものの、全体の印象を覆すほどのウェイトはありません。 
  むしろ Stan Rogers の持ち味は「Forty-Five Years」や「The Rawdon Hills」そして「Make And Break Harbour」といったマイルドなバラードに表れていると思います。 この手のジャンルでバラードとなると三拍子のワルツが多いのですが、その予定調和で正攻法なサウンドが最も彼に似合っていると思いました。 とくに「Make And Break Harbour」が最もお気に入りです。
  異色な曲にも触れておきましょう。 漁船員による大漁祈願といった趣のアカペラ「Barret’s Privateers」や朗読のみの「Finch’s Complaint」は各面のラスト前に配置され、意図的なものを感じます。 ラストの「Giant : Reprise」はリコーダーのみの短い曲なので、B 面ラストは朗読から笛という風変わりなエンディングとなっています。
 
  こうして彼のデビューアルバムを振り返ってみましたが、Stan Rogers の音楽活動は 1983 年の飛行機事故で途絶えてしまうことになります。 彼は不幸にもツアー先のアメリカから戻る国際線空路の途中で発生した機内火災により命を落としてしまったのです。 この事故の詳細はについてはこちらをご覧ください。
  以前紹介した Garnet Rogers のファーストアルバムは 1984 年の作品ですので、兄の突然の死が少なからず彼のソロ活動の契機となったのでしょう。 そんな背景を感じながら Garnet Roger sのレコードに接すると違った響きが聴こえてくるのかもしれません。

■Stan Rogers / Fogarty’s Cove■

Side 1
Watching The Apples Grow
Forty-Five Years
Fogarty’s Cove
The Maid On The Shore
Barret’s Privateers
Fisherman’s Wharf

Side 2
Giant
The Rawdon Hills
Plenty Of Hornpipe
The Wreck Of The Athens Queens
Make And Break Harbour
Finch’s Complaint
Giant : Reprise

Produced by Paul Mills
All songs by Stan Rogers except traditional ‘The Maid On The Shore’
Recorded September 23rd and 24th ,1976 at Springfield Sound, Ontario

Stan Rogers : acoustic guitar, vocals
Garnet Rogers : violin, flute, vocals
David Woodhead : electric bass, acoustic guitar, lap steel, vocals
Jerome Jarvis : drums, percussion, effects, stepdancing
Ken whitely : piano, mandolin, vocals
The Masked Luthier of Dupont Street : dulcimer, banjo, concertina and long^necked tenor mandolin built by Grit Laskin
Bernie Jaffe : violin
Curly Boy Stubbs : acoustic guitar
John Allan Cameron : twelve-string acoustic guitar and violin

Originally released on Barn Swallow Records, 1977, as BS1001

Fogarty’s Cove Music FCM / P 1001


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (中村せいよう)
2010-04-21 20:33:29
Stan Rogers ですか。懐かし過ぎます。今の時代でも聞かれているとは驚きです。ちょっと、トラッド色が強いので、好き嫌いの分かれるところかもしれません。そういう私も、個人的には、2枚目のアルバムの方が好みでしたが。
てっきり、80年代だと思っていたのですが、1977年の発売だったとは。
クレジットの最後に登場する John Allan Cameron も好きなアルバムでしたね。こちらは、ギターのインスト集だったと思うので、好き嫌いがあるでしょうが。
返信する

コメントを投稿