■Stan Moeller / Thin Ties■
ヘチマやナスみたいな形をしたミシガン湖。 その南岸にはアメリカ第2位の大都市、シカゴがありますが、そのシカゴの反対側のミシガン湖畔に South Haven という街があります。 ミシガン湖に沈む夕日が美しく、マリンスポーツや別荘などの観光地でもあるようです。 今日、ご紹介するのはそんな街から 1980 年に届けられたプライベート感あふれるアルバムです。
ややセピア色がかったモノクロ写真に映る Stan Moeller と一匹のダルメシアン。 こんなジャケットからはきっと素敵な音楽が聴こえてくるに違いないとジャケット買いしてしまった 1枚なのですが、その予想はいい意味で裏切られました。 繊細なギターのアルペジオ、つぶやくような優しいボーカル、センスあふれるアレンジなど、ある意味完璧に近い内容だったからです。 ドラムレスで、ベースとリードギター(といってもアコギですが)がサポートする曲が半分程度、その他はStan Moeller 一人の弾き語りで、アップテンポの曲が 3曲くらいあるものの、他の曲はマイルドで時折ビターなアコースティック・サウンドが展開されています。
アルバムは、A 面の冒頭から Stan Moeller の世界に引き込まれます。 ♪君を失ってから何も考えられない♪という切ない気持ちが綴られた「Changes」、耳元でささやかれているみたいな「Down With Your Ship」、冷え切ってしまった恋人や夫婦のことを歌った「Cold War」までの 3 曲まではまさに至福の空間。 アップテンポになりジャジーなアレンジの「Alone In L.A.」を挟んで、「What Ever Happened To Love」もまたしんみり系。 アルバムの中でこの曲のみ Stan Moeller のピアノが挿入されています。 ピアノといっても人差し指でなぞれるような単音が効果的に配置されるといった感じですが。 つづく「City Lights」は、ハーモニカの金属的な音が今までの和みの空間を切り裂くような印象です。 この曲もアップで、ほとんど Kenny Rankin かと聴き間違えてしまうような軽やかなボーカルが縦横無尽に舞います。
B 面に入ると、このアルバムで 1 曲選べと云われたらこの曲かもしれない名曲「Love Is A Child」でスタート。 ♪Love is a child , Let it grow♪というフレーズがさりげないメロディと重なる一瞬は、まさに完璧な出来栄えです。 Stan Moeller のギターの腕が光る「If It’s Love」につづく「Margarita」シンプルな歌詞が何度も繰り返されるラブソング。 この曲だけがフェードアウト処理で終わるのですが、それが個人的にはかなりのマイナス要素だと感じています。 ラストの 2曲「Ledges」と「When You Say Goodbye To Me」は、マイナー調で内省的な私小説のようです。 ここにはA面に見られた温かみではなく、翳りの予感を漂わしているようです。
Stan Moeller は 1990 年代に入ってから、Stan Moeller and T.S. Baker というフォークデュオを結成し、3 枚のアルバムを発表しています。 数曲を試聴してみたのですが、メインのボーカルは女性の T.S. Baker となっており、ちょっと残念でした。 また Stan Moeller は油絵の画家としても活躍しているようで、彼個人のサイトでは、見事な作品を見ることができました。 ギャラリーに展示された作品には海辺など自然の風景も多く、彼の音楽に通ずるものを感じ取ることができます。
ジャケットの隅には、stan & harry という小さな文字が。 彼の愛犬だったのでしょう。 さすがにもうこの世にはいないはずの Harry の名前は、Stan Moeller and T.S. Baker のコピーライト表記に、Harry Melody Music Co. として生き続けていました。
■Stan Moeller / Thin Ties■
Side-1
Changes
Down With Your Ship
Cold War
Alone In L.A.
What Ever Happened To Love
City Lights
Side-2
Love Is A Child
If It’s Love
Margarita
Ledges
When You Say Goodbye To Me
Produced by Stan Moeller with help from Branden and Lois
All Songs written by Stan Moeller
Stan Moeller : guitar and vocals
Phil Lucafo : lead guitar
Tony Griff : bass
Lois Mummaw : finger snaps
Goldfish Records GFR-001
ヘチマやナスみたいな形をしたミシガン湖。 その南岸にはアメリカ第2位の大都市、シカゴがありますが、そのシカゴの反対側のミシガン湖畔に South Haven という街があります。 ミシガン湖に沈む夕日が美しく、マリンスポーツや別荘などの観光地でもあるようです。 今日、ご紹介するのはそんな街から 1980 年に届けられたプライベート感あふれるアルバムです。
ややセピア色がかったモノクロ写真に映る Stan Moeller と一匹のダルメシアン。 こんなジャケットからはきっと素敵な音楽が聴こえてくるに違いないとジャケット買いしてしまった 1枚なのですが、その予想はいい意味で裏切られました。 繊細なギターのアルペジオ、つぶやくような優しいボーカル、センスあふれるアレンジなど、ある意味完璧に近い内容だったからです。 ドラムレスで、ベースとリードギター(といってもアコギですが)がサポートする曲が半分程度、その他はStan Moeller 一人の弾き語りで、アップテンポの曲が 3曲くらいあるものの、他の曲はマイルドで時折ビターなアコースティック・サウンドが展開されています。
アルバムは、A 面の冒頭から Stan Moeller の世界に引き込まれます。 ♪君を失ってから何も考えられない♪という切ない気持ちが綴られた「Changes」、耳元でささやかれているみたいな「Down With Your Ship」、冷え切ってしまった恋人や夫婦のことを歌った「Cold War」までの 3 曲まではまさに至福の空間。 アップテンポになりジャジーなアレンジの「Alone In L.A.」を挟んで、「What Ever Happened To Love」もまたしんみり系。 アルバムの中でこの曲のみ Stan Moeller のピアノが挿入されています。 ピアノといっても人差し指でなぞれるような単音が効果的に配置されるといった感じですが。 つづく「City Lights」は、ハーモニカの金属的な音が今までの和みの空間を切り裂くような印象です。 この曲もアップで、ほとんど Kenny Rankin かと聴き間違えてしまうような軽やかなボーカルが縦横無尽に舞います。
B 面に入ると、このアルバムで 1 曲選べと云われたらこの曲かもしれない名曲「Love Is A Child」でスタート。 ♪Love is a child , Let it grow♪というフレーズがさりげないメロディと重なる一瞬は、まさに完璧な出来栄えです。 Stan Moeller のギターの腕が光る「If It’s Love」につづく「Margarita」シンプルな歌詞が何度も繰り返されるラブソング。 この曲だけがフェードアウト処理で終わるのですが、それが個人的にはかなりのマイナス要素だと感じています。 ラストの 2曲「Ledges」と「When You Say Goodbye To Me」は、マイナー調で内省的な私小説のようです。 ここにはA面に見られた温かみではなく、翳りの予感を漂わしているようです。
Stan Moeller は 1990 年代に入ってから、Stan Moeller and T.S. Baker というフォークデュオを結成し、3 枚のアルバムを発表しています。 数曲を試聴してみたのですが、メインのボーカルは女性の T.S. Baker となっており、ちょっと残念でした。 また Stan Moeller は油絵の画家としても活躍しているようで、彼個人のサイトでは、見事な作品を見ることができました。 ギャラリーに展示された作品には海辺など自然の風景も多く、彼の音楽に通ずるものを感じ取ることができます。
ジャケットの隅には、stan & harry という小さな文字が。 彼の愛犬だったのでしょう。 さすがにもうこの世にはいないはずの Harry の名前は、Stan Moeller and T.S. Baker のコピーライト表記に、Harry Melody Music Co. として生き続けていました。
■Stan Moeller / Thin Ties■
Side-1
Changes
Down With Your Ship
Cold War
Alone In L.A.
What Ever Happened To Love
City Lights
Side-2
Love Is A Child
If It’s Love
Margarita
Ledges
When You Say Goodbye To Me
Produced by Stan Moeller with help from Branden and Lois
All Songs written by Stan Moeller
Stan Moeller : guitar and vocals
Phil Lucafo : lead guitar
Tony Griff : bass
Lois Mummaw : finger snaps
Goldfish Records GFR-001
しかも、Stan Moeller の公式サイトにもこのアルバムのことが触れられていないのが、残念です。
これは大大大好きです。個人的はSSWアルバム・ベスト10枚の中の1枚だったりしています。
これは本当に完璧なアルバムなんですよねぇ。
私も「Love Is A Child」が1番好きです。
素朴な曲なんですが、このピュアな感覚が胸を打ちます。
そうかStan Moeller名義としてはこれ1枚だけなんですね。他にも出てないかなぁ・・・とよく探してたんですが。残念です。