Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Philip Cody

2007-03-02 | SSW
■Philip Cody / Laughing Sandwich■

 Philip Cody はカーペンターズの「Solitaire」をニール・セダカと共作したこともある SSW として知られています。 彼のセカンドアルバムは、Phil Cody 名義となり、国内盤としても CD 化されていますが、今日ご紹介するのはあまり知られていないファーストアルバムです。 こちらは人気がなく習作的なイメージもあるために、CD 化されていません。
 1971 年に、当時の音楽界のドンとも言える Don Kirshner (図らずもダジャレに!)の興したレーベル、Kirsher Records からリリースされたこのアルバムは、当時の東海岸の敏腕ミュージシャンに支えられて制作されました。 なかでも Mike Mainieri , Hugh McCracken , Tony Levin , Donald Macdonald といった主要メンバーの構成は、Just Sunshine からリリースされた White Elephant や Nick Holmes の「Soulful Crooner」のバック・ミュージシャンと重なります。 そうした切り口から聴き比べするのも面白いかもしれません。 そういえば、Nick Holmes はまだこのブログでは取り上げていませんでしたね。 
 
 さて、そんな Philip Cody のファーストですが、ニューヨークはグリニッジ・ビレッジ出身の若き SSW による意欲作と言えるでしょう。 曲によっての魅力や完成度にはバラツキがあるものの、サウンド的にはさすがといえる安定感もあり、「都会派シンガーソングライター」にカテゴライズできるアルバムだと思います。 印象的なナンバーをピックアップしてみましょう。

 オープニングを飾る「Down To Earth」はMike Mainieri のビブラフォンが可愛らしく響きます。 ソフトロック調のこの曲はブリル・ビルディングの香りがします。 フルートのイントロに導かれ、2 本のアコギのアルペジオが美しい「Child Again」は Philip Cody の繊細な一面を覗かせる名曲。 「Companions In Remembering」はドラマチックに展開しつつも、後半のプリペアド・ピアノみたいな響きが心地よい眠りへと誘うかのような曲です。 アルバムを代表する曲といえるでしょう。 特にラストの余韻の与え方は上手いですね。

 B 面では、「If It’s Love / If It’s True」がお薦めです。 この曲は何度聴いても、Eagles の「Desperado」が始まるのかと思ってしまうほどイントロの数秒の音感が酷似しています。 どちらが先かというと、Philip Cody のほうが早いのですが、東海岸と西海岸ですので、これは偶然ということなのでしょう。 「Banjo Girl」もドラムスの手数が多すぎるのが玉に瑕なのですが、起伏に富んだアレンジとシンプルなメロディが心に残るバラードです。

 Philip Cody のセカンドのほうは、国内盤 CD も発売され、マイルドでプレ AOR 的なアルバムとしてファンも多いと思います。 特に 1曲目の「Trying To Say Good-Bye」は名バラードですね。 そんな彼もオリジナルのアルバムはこの 2枚のみで、その後はライターに専念した様子です。 オリジナルサイトも充実していますので、是非訪れてみてください。

 「笑うサンドイッチ」という意味はわかりませんが、このアルバムには 1970 年代初頭のマンハッタンの路地裏の匂いがします。 時代の空気を閉じ込めることが「レコード」の本来の目的なのではないか…そんな事をふと考えてしまいますが、その言葉こそがこのアルバムへの最大の賛辞なのかもしれません。

 

■Philip Cody / Laughing Sandwich■

Side-1
Down To Earth
Come Home , Hannah
Dusty Roads
Child Again
Companions In Remembering

Side-2
Good News
Queen Of The Night
Morning Glory
If It’s Love / If It’s True
Banjo Girl
Seagulls

Produced by Ron Frangipane
Executive Producer : Wally Gold
Music Supervision : Don Kirshner

Ron Frangipane : keyboard
Donald McDonald : drums
Hug McCracken : guitar
Dave Spinozza : guitar
Vinnie Bell : guitar
Dickie Frank : guitar
Sal Di Troia : guitar
Sam Brown : guitar
Tony Levin : bass
Russell George : bass
Steve Breck : piano
Bobby Gregg : pericussion
George Debens : percussion
Bill Storandt : percussion
Mike Mainieri : vibes and percussion
Gene Bianco : harp
Morris Micon : alto souvlaki

Singers: Helen Miles , Linda November , Eileen Gilbert , Maeretha Stewart , Albertine Robinson , Ella Winston , Arlene Martell , Marlene Verplanck

Kirshner Records KES-113


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