■Peter Ritchie / Alice’s Restaurant Massacree (complete)■
「アリスのレストラン」といえば、1967 年に発表された Arlo Guthrie のデビュー・アルバムにして最大のヒット曲。 「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン監督によって 1969 年に映画化もされ、Arlo Guthrie は音楽のみならず出演もしています。 映画を見たことはありませんが、いわゆるアメリカン・ニュー・シネマ的な作品との評がネットには多く見受けられました。
そんな時代を代表する有名曲を同時代に堂々とカバーし、アルバムタイトルにまでしてしまったのが Peter Ritchie の「アリスのレストラン」です。 その大胆なやり方には、当の Arlo Guthrie はどのように感じたのでしょうか。 括弧して Complete とまで書かれては、オリジナルの作者として不快な気持ちを持ったのでは…と考えてしまいます。
しかし、そんなことは関係なく、Peter Ritchie の「アリスのレストラン(完全版)」は少量ではありますが、世に出回ったのです。 発売されたのは、おそらく 1969 年のこと。 ジャケットにはアルバムに関する記載は全く無く、歌詞カードも存在しない不親切さのせいで、アルバムが生み出された背景や関連する人脈をたどることができません。
Arlo Guthrie の父は言うまでもなく、偉大なフォークシンガーでありプロテストソングの父でもある Woody Guthrie ですが、この Peter Ritchie の母は、女性フォークシンガーの始祖にしてダルシマーの名手である Jean Ritchie だという説があります。 Jean Ritchie は 1922 年生まれですので、20 代で Peter を産んでいたとしたら、1969 年にはすっかり大人になっていてもおかしくありません。 もしそうだとして、Arlo Guthrie と Peter Ritchie に二世シンガーという共通点があったのであれば、もうひとつの「アリスのレストラン」が生み出された理由が少し判ったような気になるのです。
では肝心の音源はどうかというと、Peter の「Alice’s Restaurant Massacree」は、ほぼ原曲に忠実なカバーに聴こえます。 歌詞も変えていないと思いますが、歌詞カードはないし、僕のヒアリングは適当なので確信は持てません。 いすれにしても、大胆なアレンジが施されたとか、大きく創意工夫を加えたという形跡は無いので、敢えて Peter のバージョンを聴く意味合いは薄いと言えるでしょう。 ですから、オリジナル 5 曲が収録された B 面にこのアルバムの価値が集約されているのです。
「A Picture Of Life’s Other Side」はポエトリー・リーディング形式をとりながらも、サビの部分で温もりのある女性ハーモニー(もしかして Jean Ritchie?)が加わり、湯たんぽを抱いているような気分にさせられる名曲。 「You’re Gonna Quit Me Baby」は、もっとスロウで怠惰な気分のフォーク。 つづく「I Want To See My Father」はファミリー・コーラスという趣のアカペラ。 アナログ盤ならではの素朴さが伝わってきます。 「Guitar Thing」は 2 本のギターによる美しいインスト。 ラストの「The Plywood Guitar」もほんわかしたサウンドで、田舎で別荘暮らししているかのような気分になりました。
このレコードが発売されたのは 1957 年に生まれた Pickwick 傘下の Design Records です。 同レーベルは、Ray Charles や Sammy davis Jr. の作品をてがけるなど、一時は隆盛を極めたレーベルのようですが、1970 年には経営難で閉鎖してしまいます。 先に述べたような不親切な作りは、レーベル晩年の経費節減のせいだったのかもしれません。
■Peter Ritchie / Alice’s Restaurant Massacree (complete)■
Side-1
Alice’s Restaurant Massacree
Side-2
A Picture Of Life’s Other Side
You’re Gonna Quit Me Baby
I Want To See My Father
Guitar Thing
The Plywood Guitar
Design Records SDLP-314
「アリスのレストラン」といえば、1967 年に発表された Arlo Guthrie のデビュー・アルバムにして最大のヒット曲。 「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン監督によって 1969 年に映画化もされ、Arlo Guthrie は音楽のみならず出演もしています。 映画を見たことはありませんが、いわゆるアメリカン・ニュー・シネマ的な作品との評がネットには多く見受けられました。
そんな時代を代表する有名曲を同時代に堂々とカバーし、アルバムタイトルにまでしてしまったのが Peter Ritchie の「アリスのレストラン」です。 その大胆なやり方には、当の Arlo Guthrie はどのように感じたのでしょうか。 括弧して Complete とまで書かれては、オリジナルの作者として不快な気持ちを持ったのでは…と考えてしまいます。
しかし、そんなことは関係なく、Peter Ritchie の「アリスのレストラン(完全版)」は少量ではありますが、世に出回ったのです。 発売されたのは、おそらく 1969 年のこと。 ジャケットにはアルバムに関する記載は全く無く、歌詞カードも存在しない不親切さのせいで、アルバムが生み出された背景や関連する人脈をたどることができません。
Arlo Guthrie の父は言うまでもなく、偉大なフォークシンガーでありプロテストソングの父でもある Woody Guthrie ですが、この Peter Ritchie の母は、女性フォークシンガーの始祖にしてダルシマーの名手である Jean Ritchie だという説があります。 Jean Ritchie は 1922 年生まれですので、20 代で Peter を産んでいたとしたら、1969 年にはすっかり大人になっていてもおかしくありません。 もしそうだとして、Arlo Guthrie と Peter Ritchie に二世シンガーという共通点があったのであれば、もうひとつの「アリスのレストラン」が生み出された理由が少し判ったような気になるのです。
では肝心の音源はどうかというと、Peter の「Alice’s Restaurant Massacree」は、ほぼ原曲に忠実なカバーに聴こえます。 歌詞も変えていないと思いますが、歌詞カードはないし、僕のヒアリングは適当なので確信は持てません。 いすれにしても、大胆なアレンジが施されたとか、大きく創意工夫を加えたという形跡は無いので、敢えて Peter のバージョンを聴く意味合いは薄いと言えるでしょう。 ですから、オリジナル 5 曲が収録された B 面にこのアルバムの価値が集約されているのです。
「A Picture Of Life’s Other Side」はポエトリー・リーディング形式をとりながらも、サビの部分で温もりのある女性ハーモニー(もしかして Jean Ritchie?)が加わり、湯たんぽを抱いているような気分にさせられる名曲。 「You’re Gonna Quit Me Baby」は、もっとスロウで怠惰な気分のフォーク。 つづく「I Want To See My Father」はファミリー・コーラスという趣のアカペラ。 アナログ盤ならではの素朴さが伝わってきます。 「Guitar Thing」は 2 本のギターによる美しいインスト。 ラストの「The Plywood Guitar」もほんわかしたサウンドで、田舎で別荘暮らししているかのような気分になりました。
このレコードが発売されたのは 1957 年に生まれた Pickwick 傘下の Design Records です。 同レーベルは、Ray Charles や Sammy davis Jr. の作品をてがけるなど、一時は隆盛を極めたレーベルのようですが、1970 年には経営難で閉鎖してしまいます。 先に述べたような不親切な作りは、レーベル晩年の経費節減のせいだったのかもしれません。
■Peter Ritchie / Alice’s Restaurant Massacree (complete)■
Side-1
Alice’s Restaurant Massacree
Side-2
A Picture Of Life’s Other Side
You’re Gonna Quit Me Baby
I Want To See My Father
Guitar Thing
The Plywood Guitar
Design Records SDLP-314
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