Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Fresh Air

2007-05-20 | US Rock
■Fresh Air / Fresh Air■

 前回に続いて Columbia の未 CD 化アルバムを取り上げました。 1973 年に発表された Fresh Air の唯一の作品です。 そもそも Fresh Air については詳細を語るサイトが全くといって存在しておらず、メンバーの名前すら正確なところはわかりません。 というのも、クレジットには楽器主体の記載はあるものの、メンバーとゲスト・ミュージシャンの区別がなされていないのです。 そこで、まずはジャケットに載っているメンバー 5 人を推測してみました。 ベースの Wolfgang Muser とギターの Colyn Kyffin は当確として、作曲者としてのクレジットもある Doug Rommerien そして Pat Flynn もほぼ確実です。 最後の 1 名はおそらく、ドラムスとキーボードでクレジットされている Don Randi でしょう。 
 さて、そんな Fresh Air ですが、ひと言で言うと典型的なウェストコースト風ロックです。 若干、カントリー色が入る場面もありますが、どちらかというと東海岸に強い Columbia が Warner / Reprise もしくは Asylum あたりを意識して送り出した新人はないかと推測しています。 サウンド的にも前回ご紹介した Overland Stage よりは明らかに商業的な成功を狙っていたと思えるし、優れた名曲もあることから、個人的にはかなり好きなアルバムです。

 冒頭を飾るのは Lovin’ Spoonful がオリジナルの「Henry Thomas」です。 2 分にも満たないこの曲は食前酒のような位置付けでしょうか。 つづく「Continental Highway」はハートウォーミングで和みのミディアム。 コーラスもCSN&Yを意識しているかのようです。 カントリー系の「Sometimes In The Evening」につづく「Love Her Madly」は、ボーカルがよりソフトなメンバーに交代。 残念ながら誰が歌っているかはわかりませんが、Brownsmith にも通じる木漏れ日サウンドです。 そして、アルバムのハイライトともいえる名曲「Too Many Mornings」です。 このアルバムを初めて聴いたときから、この曲には心震えます。 小細工のないメロディーとアレンジなのですが、日本のニューミュージックのようにも聴こえて、僕ははまってしまったのです。 A 面は、軽いアッパーな「Life Goes On」で終了。 このパタパタしたドラムスは、名人 Hal Braine のもの。

 美しいコーラスで聴く者を魅了する「Anna Bella Cinderella」でB 面はスタート。 朴訥とした「Old Ladies」でひとやすみした後は、「Where’s Gone Our Love」でさらにリラックス。 Fresh Air の最大の特長である清涼剤的なコーラスと夢心地なペダルスティールが聴き手にマイナスイオンを運んでくれるかのようなこの曲は、まさに彼らの真骨頂です。 「Neon Cross」もマイルドなミディアムナンバーですが、聴き取れる歌詞からクリスチャン系の楽曲のようです。 つづく「Ain’t Nobody Over ‘Till Their Done」はラストにふさわしいメロウな曲。 アルバムは一貫して、今日の天気のようにジェントルで乾いた風に包まれているので、ハンモックで読書しているうちに昼寝してしまう時と同じような気分を感じ取ることが出来ます。 
 このような曲を誰が書いているのか、当然のように興味があるのですが、半分くらいの曲を、G.Prace という人物が書いています。 名曲「Too Many Mornings」、「Anna Bella Cinderella」、「Where’s Gone Our Love」もすべて彼のペンです。 職業ライターなのでしょうか、とても気になります。 他には、Pat Flynn が「Sometimes In The Evening」や「Neon Cross」を書いています。 メンバーと思われる 5 人のなかで、彼だけ公式パージを発見したのですが、残念ながら Bio には Fresh Air のことは書かれていませんでした。 メンバーではなかったのかもしれませんね。

 巨匠 Norman Seeff による写真に写るのは、優しげなウェストコースト風の男たち。 こんなに素敵なアルバムを残したにもかかわらず、爽やかな空気だけを残して、メンバーはそれぞれの道へと別れていったのでしょう。

 

■Fresh Air / Fresh Air■

Side-1
Henry Thomas
Continental Highway
Sometimes In The Evening
Love Her Madly
Too Many Mornings
Life Goes On

Side-2
Anna Bella Cinderella
Old Ladies
Where’s Gone Our Love
Neon Cross
Ain’t Nobody Over ‘Till Their Done

Produced by Sonny Knight
Arranged by Fresh Air
String Arrangements by Al Capps

Drums : Don Heffington , Hal Braine , Don Randi
Keyboards : Glen D.Hardin , Don Randi
Steel Guitar : Colin Kyffin , Red Rohdes
Electric Guitar : Pat Flynn , Colin Kyffin
Acoustic Guitar : Doug Rommerien ,Colin Kyffin , Pat Flynn
Percussion : Don Heffington , Johnny Raines , Vic Feldman , Gene Estes , Gary Coleman
Dobro : Colin Kyffin
Bass : Wolfgang Muser

Columbia KC 32282


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