■Larry Reineck / Mission■
郷愁を誘うセピア色のジャケットに包まれたレコードは、イリノイ州 Rockford のマイナーレーベルからリリースされた Larry Reineck の作品。 タイトルから想像できるように、クリスチャン・ミュージックのカテゴリーに該当するアルバムです。 聴く前は、勝手なイメージで Stan Moeller の名盤「Thin Ties」のような質素な SSW 的なサウンドを予想していたのですが、それは残念ながら当たっていませんでした。
1983 年に発表されたこのレコードは、ピアノ・ギターそしてリードボーカルを務める Larry Reineck が清楚で可憐な少女合唱隊をコーラスに従えて、時に主役になり時には脇役に回ったりしながら、延々と神への祈りを歌い続けるものでした。 こうした音楽に対しては、通俗的な批評や評価は意味のないものです。 どれだけ心を開いて身を委ねることができるか、ということだけがリスナーに問われているような気がします。 とはいえ、縁があってめぐり合った作品ですので、簡単に内容をおさらいしてみましょう。
アルバムは、A 面 3 曲、B 面 1 曲の全 4 曲ですが、B 面は 7 つのパートから構成されており、個々の楽曲として捉えてもおかしくはありません。 どの楽曲もリズムが排除され、ミディアムで同じテンポで淡々と進行していきます。 トラディショナルと言われても納得してしまうような楽曲はすべてLarry Reineck の手によるもの。 控えめなギター、ピアノをバックにした Larry Reineck のマイルドで慈悲深いボーカルが、緩やかな川の流れのように横たわります。 A-1 の「St. Francis’ Prayer」のギターのメロディは、日本のフォークの中でも良く耳にするフレーズ。 Gentle music by a gentle man という副題に何の異論も出ない美しい仕上がりです。 エコーがかかったピアノに導かれる「Through Mary’s Eyes」では、歌い上げる Larry Reineck の迫力あるハイトーンと、奥まったところから出てこないコーラスとの対比が印象的。 つづく「Christ Is」もスケール感の大きなバラード。 Larry Reineck の熱唱が堪能できます。
B 面の「Mass 1」の 7 つのパートのうち、特に素晴らしいのはラストの「Lamb Of God」です。 混声の合唱団による美しいコーラスで始まる展開ですが、徐々にパーカッションが入り、次第に初登場となるエレクトリック・ピアノに主役の座を譲ります。 そのエレピの音色は、フェンダーローズのような豊饒なものではありませんが、その心地よさは印象的です 唯一、フェードアウトで幕を閉じるあたりも意図的なものを感じます。
コーラスの一部は St. Patrick 教会でライブ録音されたというこのアルバム。 万人にお薦めできるという作品ではありません。 宗教色の強さを敬遠してしまう人も多いでしょう。 ただ、表現は不適切かもしれませんが、ただ能天気に神を祝福するという類の CCM(Contemporary Christian Music)も存在するなか、この作品で聴くことのできる冷たく凛とした空気感は、信仰に関わりなく聴き手の身を清めてくれるような気がします。 人の心を最も動かすのは、生身の人の声(=震え)だということを改めて感じることができました。
■Larry Reineck / Mission■
Side 1
St. Francis’ Prayer
Through Mary’s Eyes
Christ Is
Side 2
Mass 1
(Gloria, Alleluia, Holy Holy, Memorial Acclamation, Concluding Acclamation, Lord’s Prayer, Lamb Of God)
Produced by Scott House
Lead singer : Larry Reineck
Flutes : larry Reineck, Sharon Reineck, Theresea Hauser
Piano : Larry reineck
Guitar : Larry Reineck
Background : Carol Lower, Joe Shelden, Kim Shelden, Kris Estes, Brenda reineck, Mary Mickey, Goerge Lang, Jeanine Harms, Jeanine Castonguary, Mary Postelwaite
Cello : Larry Reineck
Electirc piano : Mike Dahl
Harpsichord : Larry Reineck
Scott House LR2024
郷愁を誘うセピア色のジャケットに包まれたレコードは、イリノイ州 Rockford のマイナーレーベルからリリースされた Larry Reineck の作品。 タイトルから想像できるように、クリスチャン・ミュージックのカテゴリーに該当するアルバムです。 聴く前は、勝手なイメージで Stan Moeller の名盤「Thin Ties」のような質素な SSW 的なサウンドを予想していたのですが、それは残念ながら当たっていませんでした。
1983 年に発表されたこのレコードは、ピアノ・ギターそしてリードボーカルを務める Larry Reineck が清楚で可憐な少女合唱隊をコーラスに従えて、時に主役になり時には脇役に回ったりしながら、延々と神への祈りを歌い続けるものでした。 こうした音楽に対しては、通俗的な批評や評価は意味のないものです。 どれだけ心を開いて身を委ねることができるか、ということだけがリスナーに問われているような気がします。 とはいえ、縁があってめぐり合った作品ですので、簡単に内容をおさらいしてみましょう。
アルバムは、A 面 3 曲、B 面 1 曲の全 4 曲ですが、B 面は 7 つのパートから構成されており、個々の楽曲として捉えてもおかしくはありません。 どの楽曲もリズムが排除され、ミディアムで同じテンポで淡々と進行していきます。 トラディショナルと言われても納得してしまうような楽曲はすべてLarry Reineck の手によるもの。 控えめなギター、ピアノをバックにした Larry Reineck のマイルドで慈悲深いボーカルが、緩やかな川の流れのように横たわります。 A-1 の「St. Francis’ Prayer」のギターのメロディは、日本のフォークの中でも良く耳にするフレーズ。 Gentle music by a gentle man という副題に何の異論も出ない美しい仕上がりです。 エコーがかかったピアノに導かれる「Through Mary’s Eyes」では、歌い上げる Larry Reineck の迫力あるハイトーンと、奥まったところから出てこないコーラスとの対比が印象的。 つづく「Christ Is」もスケール感の大きなバラード。 Larry Reineck の熱唱が堪能できます。
B 面の「Mass 1」の 7 つのパートのうち、特に素晴らしいのはラストの「Lamb Of God」です。 混声の合唱団による美しいコーラスで始まる展開ですが、徐々にパーカッションが入り、次第に初登場となるエレクトリック・ピアノに主役の座を譲ります。 そのエレピの音色は、フェンダーローズのような豊饒なものではありませんが、その心地よさは印象的です 唯一、フェードアウトで幕を閉じるあたりも意図的なものを感じます。
コーラスの一部は St. Patrick 教会でライブ録音されたというこのアルバム。 万人にお薦めできるという作品ではありません。 宗教色の強さを敬遠してしまう人も多いでしょう。 ただ、表現は不適切かもしれませんが、ただ能天気に神を祝福するという類の CCM(Contemporary Christian Music)も存在するなか、この作品で聴くことのできる冷たく凛とした空気感は、信仰に関わりなく聴き手の身を清めてくれるような気がします。 人の心を最も動かすのは、生身の人の声(=震え)だということを改めて感じることができました。
■Larry Reineck / Mission■
Side 1
St. Francis’ Prayer
Through Mary’s Eyes
Christ Is
Side 2
Mass 1
(Gloria, Alleluia, Holy Holy, Memorial Acclamation, Concluding Acclamation, Lord’s Prayer, Lamb Of God)
Produced by Scott House
Lead singer : Larry Reineck
Flutes : larry Reineck, Sharon Reineck, Theresea Hauser
Piano : Larry reineck
Guitar : Larry Reineck
Background : Carol Lower, Joe Shelden, Kim Shelden, Kris Estes, Brenda reineck, Mary Mickey, Goerge Lang, Jeanine Harms, Jeanine Castonguary, Mary Postelwaite
Cello : Larry Reineck
Electirc piano : Mike Dahl
Harpsichord : Larry Reineck
Scott House LR2024