Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Sunshine

2010-08-01 | AOR
■Sunshine / Sunshine■

   ついに 8 月に入りました。 今年の猛暑は日本記録を生み出しそうな勢いです。 そこで、夏にしか聴く気分になれないアルバムを取り出してみました。 その名も Sunshine の『Sunshine』です。 グループ名がサンシャインで、このジャケットということで中身を知らない限りは手にする可能性が低いアルバムだと思います。 また、ソウル系の名門レーベル、ルーレットから発売されているので ソウル色が強いように予想しますが、それを期待して買うと裏切られることになるのです。 実は僕もこのアルバムの存在は昨年まで知りませんでした。 このアルバムを知ったのは、浜田山にあるロックバー「Back Beat」でのこと。 マスターが何気なくこのアルバムをターンテーブルに乗せたのがきっかけでした。 当時は酔っていたとはいえ、メロウでマイルドなハーモニーを軸とした AOR 風のサウンドにいたく感銘を受けたのです。 その後、あちこちでレコードを探してつつも、なかなか出会うことがないままだったのですが、先日、幸運にも渋谷のディスクユニオンで 1,000 円という安価で発見することができました。

  さて、このグループは同じ時代、同じブルックリン出身の 3 人組ということで、Brooklyn Dreams と良く似た境遇にいます。 ともにラテン系、イタリア系の移民の血筋を引いているところも共通しています。 Brooklyn Dreams のほうは、Donna Summer の旦那であるBruce Sudano の影響も強いせいで、AOR といってもより R&B やディスコに近い感覚がありますが、こちらの Sunshine はよりミディアムでスロウで、Cecilio & Kapono に代表されるハワイ産の AOR、もしくはウェストコーストの SSW に近いサウンドだと思います。

  このアルバムの個人的ハイライトは、さきほどの「Back Beat」でマスターがかけてくれた「When You’re Not Around」です。 粘っこいギターが紡ぎ出すイントロ、♪If I could hold you♪から始まるサビのメロディーでのエモーショナルなコーラスワークは心の琴線に触れまくりです。 ありとあらゆるプレイリストに加えたい一撃必殺のナンバーだと思います。 この 1 曲だけのためにも買って損はないのですが、この曲だけに留まらないのが名盤たりうる所以でしょう。 A 面では、清涼感あふれるライトでスムースなミディアム「Reach Out」、ストリングスとピアノのイントロから名曲の予兆に満ちたスケール感あふれるバラード「The Woman’s Natural」などがお薦めです。 B 面では、爽快に駆けあがるようなアップの「Dance Romance」の出来も素晴らしく、続くラストの「Love Can Bring Bad Times」は、リゾートにいるかのような気分にさせられる美しいコーラスが聴きどころです。 ちなみに、アルバムの楽曲はすべてメンバーいずれかによるオリジナル。 「Love Can Bring Bad Times」のみが 3 人の共作となっています。

  冒頭に夏にしか聴く気分になれない、と表現しましたが、それは真っ赤なウソです。 このような名盤は季節に関係なく楽しむべきでしょう。 もし、シチュエーションが選択できるのであれば夏の海辺が最高だとは思います。 夏はあっという間に過ぎ去ってしまうものですが、Sunshine の音楽活動もそれと同じくらい短かったのかもしれません。 唯一残されたこのアルバム以外に、彼らの痕跡を見つけることはできませんでした。 裏ジャケには肩を組んだ笑顔の 3 人の若者が映っています。 彼らは今頃どこで何をしているのでしょう。 幸せな人生を歩むことができたのでしょうか...
  Sunshine の短かった夏を思いながら、彼らのためにもこのアルバムが CD 化されることを強く望んでいます。

■Sunshine / Sunshine■

Side 1
Reach Out
The Woman’s Natural
Just Let It Rain
I Don’t Want To Spend Another Day Like Today
The Gaffers’s Dream ( A Day In One’s Life)

Side 2
Ann
When You’re Not Around
Dance Romance
Love Can Bring Bad Times

Produced by Aram Achefrin
Recorded by Geoff daking at Sounc Ideas, Stucio C, New York City

Walter Gil de Rubio : vocals, guitars
Ralph Persico : vocals m guitars
Joe tavormina : vocals, guitars, piano

Frank Vento : bass, guitar, recorder
Michael Micara : drums

Chris Parker : drums on ‘Reach Out’ and ‘ The Gaffers’s Dream ( A Day In One’s Life)’
Van Katz : drums on ‘Love Can Bring Bad Times’
Steve Robbins : keyboards, moog synthesizer
Eric Weissberg : pedal steel guitar
Billy King : percussion
Rahim Taalob : congas

Horns : John Gatchell, Bob Millikan, Burt Collins, Michael Brecker, Joel Kaye, Lou Marini, Tony Price, Gerry Chamberlain
Strings conducted by Al Brown

Roulette Records SR 3018