Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

John Shine

2010-07-04 | SSW
■John Shine / Songs For A Rainy Day■

  梅雨の季節にぴったりなタイトルのアルバム。 メジャーの Columbia Records から 1975 年にリリースされたにも関わらず、ほとんど紹介されたことがなく、CD 化されたこともない作品です。 参加メンバーを見ると、Area Code 615 の元メンバーである Mac Gayden や Kenneth Buttrey がいたり、当時人気が出始めていた The Pointer Sisters がコーラスで参加している点が目につきます。 こうなると、むしろ主役の John Shine の正体のほうが気になってくるのですが、検索してみると意外にも本人の公式サイトがありました。 しかし、そのデザインやレイアウトは 1990 年代末期によく見られたネット黎明期風のダサいもので、正直あまり深入りする気分にはなりませんでした。 肝心のバイオグラフィーもないのが残念ですが、アルバムがこの「Songs For A Rainy Day」1 枚という事実を知ったことが唯一の収穫でした。

  前置きが長くなりましたが、さっそくアルバムのレビューに入りましょう。 メンバーからどの程度カントリー色が強いかがアルバムを聴く前の最大の関心事だったのですが、結論としてはほとんど感じないくらいのものでした。 マイルドでメロウなサウンドはプレ AOR 的なものとして捉えても問題ないレベルです。 アップテンポのナンバーは皆無で、ソフトな仕上がりを見せるこのアルバムはどうしてここまで埋もれてしまったのか理解しがたいのです。 なかでもイントロのエレピの音色が素晴らしい AOR 風バラードの「Anyway You Want Me」やストリングスの音色に導かれて始まる落ち着いたバラード「New York Again」が秀逸です。 ともにメロディー、コーラスそしてストリングスアレンジの完成度の高さを感じます。 この 2 曲を筆頭に、軽やかなポップソング「Songs For A Rainy Day」、心地よいミディアム「It’s All Over Now」、縁側と薄日が似合うような和み系サウンドの「Nobody Knows Me Like You Do」、そしてすこし陰りを見せながらラストを締めくくる「When Does The Party End ?」といった楽曲がお薦めです。 
   これ以外の曲はやや平凡な出来のものもありますが、派手なアレンジやギターソロなどがないので、アルバムの全体感を損なうことなく、脇を固めているという印象です。 このようなハイレベルなアルバムが、どうして CD 化もされずに忘れられてしまったのでしょうか。

   このアルバムを聴いて思い出したのが、Jon Mark の「Song For A Friend」です。ちょうど Columbia Records から 1974 年にリリースされたこのアルバムは CD 化されていますが、淡いたたずまいとマイルドさはかなり近いものを感じます。 友に捧げる歌を歌った Jon Mark、雨の日に捧げる歌を歌った John Shine …  偶然にも双子のように語られても不思議ではなかった 2 枚のアルバムですが、その後に残された運命は大きく枝分かれしてしまったままなのです。

■John Shine / Songs For A Rainy Day■

Side 1
Songs For A Rainy Day
It’s All Over Now
Movin’ In By Myself
Anyway You Want Me
Me & My Band

Side 2
New York Again
Nobody Knows Me Like You Do
It’s About Time
It Wasn’t Enough
When Does The Party End ?

Produced for David Robinson & Friends, Inc. by Jeffrey Cohen and Bruce Good

Drums : Kenneth Buttrey , Glenn Walters, Jon Opat
Bass : Bing Nathan
Pianos : David Briggs, John Shine, Joe Crane
Guitars : John Shine, Pete Wade, Mac Gayden, Vic Smith
Pedal Steel Guitar : Weldon Myrick
Violin : Brian Price
String Arrangements : Weldon Myrick
Saxophone : Skip Mesquite
Vocals : John Shine, Terry Garthwaite, Willow Wray, Skip Mesquite, The Pointer Sisters, Don Kerr
Tambourine : Fred Catero
Steel Drum : Andy Narell

Columbia Records PC 33518