Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Aileen & Elkin Thomas

2010-05-27 | Folk
■Aileen & Elkin Thomas / Aileen & Elkin Thomas■

  前々回、前回に続き夫婦デュオをピックアップしてみました。 テキサス州出身の Aileen & Elkin Thomas が 1981 年に発表したデビューアルバムです。 彼らは 1970 年代後半から近年まで活動を続けてきたグループで、100 を超える大学でパフォーマンスをしてきた実績があり、アルバムも 6 枚前後の作品を発表しています。 検索して発見した公式サイトでは 2000 年の最新アルバムと 2003 年の写真以降のアップデートがないのが心配ですが、元気に活動していることを願っています。

  彼らのサウンドは変化しようのないアコースティック・サウンド。 ギターとテケテケバンジョー、そして情緒的なヴァイオリンという編成で、ローカルでノスタルジックな田園風景を描き出しています。 1 曲を除いて Elkin Thomas の作曲ですが、オーバーオールのジーンズとアメリカンコットンで出来た長袖のシャツが良く似合う曲調が続き、米軍基地の移設問題、ユーロ不安による株価の低迷といったタイムリーな時事問題をすっかり脳みそから消去してしまう力を持っています。 ディズニーランドの奥のほうに、こんな音楽が似合うロケーションがあったなという気さえします。

  どの曲もシンプルな 3 人編成なので、個々の楽曲にメリハリがあるわけがありません。 ただ、特筆すべきは 3 人の息のあった演奏が耳に心地よく、シンプル且つストレートに胸に響いてくるのです。 これは、数多くのライブパフォーマンスの積み重ねから生まれたものでしょう。 週末の井の頭公園あたりで彼らに偶然出会ったら、こんな幸せなことはありません。 そんな妄想を抱いてしまいました。

  個人的なお薦めの楽曲をあげておきましょう。 騒がしいバンジョーと饒舌なヴァイオリンが共演するアップな「Bethesda’s Pool」、その流れを汲んだ陽気な「Come Alive, Country Lady」、メロウで心のひだのようなヴァイオリンが魅力的な「Soft Pipes, Play On」、最も SSW っぽいサウンドの「Halls Of Time」が A 面でのお薦め。 B 面では、ミディアムな 2 拍子の「Phone Calls」、彼らのライブ定番となっている「Gee Jake」、そしてメランコリックなバラードでラストを締めくくる「Lady, That’s How Long I’ll Be In Love With You」を挙げておきます。 もちろん、その他の楽曲も悪いわけではありません。 オールドタイミーなフォーキーという肌触りのある音作りはどこを切っても貫かれているのです。

  なお、このアルバムは 1979 年に亡くなったギター職人の J.W. Gallagher に捧げられています。 彼は生涯で 2,000 本程度のギターを手作りで製作した職人中の職人で、Doc Watson が愛用していたことで有名なようです。 Elkin Thomas はこのアルバムでその Gallagher Guitar を大事そうにつま弾いていました。

■Aileen & Elkin Thomas / Aileen & Elkin Thomas■

Side 1
Bethesda’s Pool
Come Alive, Country Lady
Soft Pipes, Play On
Halls Of Time
Livin’ Country Style

Side 2
Back To The Hills
Phone Calls
Gee Jake
Palominos
Lady, That’s How Long I’ll Be In Love With You

Produced and engineered by Elkin Thomas
Recorded at Gideon Sound, Krum, Texas

All Songs written by Elkin Thomas except ‘Back To The Hills’ by Dee Moeller

Aileen Thomas : bass, vocals
Elkin Thomas : six-string and twelve string Gallagher guitar, Ode banjo, vocals
David McKnight : violin

Shantih Records ST-518