Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Willy Claflin

2010-04-04 | SSW
■Willy Claflin / Bones Of Love■

  前回に続いて Willy Claflin を取り上げます。 今日取り出したのは、1987 年に発表したセカンド・アルバム。 ファーストは CD 化されましたが、こちらは現時点では CD にはなっていません。 レーベルも同じ Old Coyote なのにこちらが CD 化されなかったのは謎ですが...
  全編がギターの弾き語りだった「Stones Along The Shore」に比べると、この「Bones Of Love」はピアノとシンセが使われたり、リズムセクションの出番も増えるなど、前作よりも幅が広がったという印象です。 リラックスした曲調がさらに深まり、くつろげる大人の SSW といった内容に仕上がっています。  すでに CD も登場している時代ということもあって、レコーディングもデジタルで行われていました。
 
  このアルバムで最も素晴らしいのは、ピアノをバックにしたシンプルな「The King Is Dead」です。 よく例えに出しますが Ian Tamblyn に通じるサウンドはスケールが壮大で見事な仕上がりです。 盛り上がるサビの部分でうっすらと拍手の S Eが挿入されるあたりの演出も憎いところ。 この曲がオープニングに収録されていることから、前作との変化は一目瞭然です。 つづく「Don’t Sit In That Chair」は、この曲にのみ参加した Mardell Mardeaux によるバイオリン・ソロが聴きどころ。 イントロの静かな音色から、ラストの高揚感あふれるソロに至るまで、その存在感が光ります。  Dan Fogelberg のような優しさに包まれた「Hushabye」、ほのぼのしたカントリー「One Went To California」と A 面は佳曲がつづきます。 「Out Of The Darkness」は、バンド編成で疾走感あふれる作風ですが、もうすこし和みの流れを維持してほしかったところです。

  B 面は素朴な弾き語りの「Sleepy John」ではじまり、アルバムタイトルの「Bones Of Love」へ。 この曲は地味ながらも味わい深いバラード。 胸に染み入るような切ないボーカルが印象に残る名曲です。 ハワイアンの雰囲気がまるでしない「Down On Old Waikiki」はカントリー風ワルツから、「Non Duality」、「Hey Ok」とペダル・スティールやバンジョーが全面に出たカントリーが続き、緩さが増していきます。 このあたりでピリ辛な名曲を配置していないために、アルバムの後味があいまいになってくるのは残念なところです。 もしかして、このアルバムが CD 化されていない理由は、本人が気に入っていないという可能性もあるのではないかと勘ぐってしまいます。  まさか、それはないと思いますが、もう少しバラードやミディアムな楽曲の比率を高めていれば、高い評価を受ける作品になっていたとは思います。 A 面の調子のままで、B 面も続けていれば、違った味わいになったかもしれません。

  早いものでもう新しい年度が始まり、このブログもついに 5 年目に突入していました。 更新ペースは落ちていますが、できるだけ長く続けていきたいと思っています。

■Willy Claflin / Bones Of Love■

Side 1
The King Is Dead
Don’t Sit In That Chair
Hushabye
One Went To California
Out Of The Darkness

Side 2
Sleepy John
Bones Of Love
Down On Old Waikiki
Non Duality
Hey Ok

Produced by Tom Carr and Willy Claflin
All songs by Willy Claflin except ‘Out Of The Darkness’ by Willy Claflin and Tom Carr
Recorded and mixed by Tom Carr at Banquet Studios, Santa Rosa CA, May – July 1987

Willy Claflin : acoustic guitar and vocals
Tom Carr : bass, additional vocals
Brian Claflin : backup vocals
Bruce Kaphan : pedal steel and lead guitars
Tom Lweis : drums
Greg Pordon : piano and synthesizer
Mardell Mardeaux : violin on ‘Don’t Sit In that Chair’

Old Coyote records OCR 9681