Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Don Dunaway

2008-06-21 | SSW
■Don Dunaway / The Milltop Tee-Shirt Album■

  今日は夏至。 どんよりした曇天から日差しが射したときの蒸し暑さで、今年も夏が来たことを実感しました。 自宅にいるときは T シャツと短パンです。 強引な書き出しから結び付けて、今日取り出したアルバムは「The Milltop Tee-Shirt Album」という変わったタイトルのレコード。 フロリダから届けられた自主制作盤です。 

  Don Dunaway は Don Oja-Dunaway 名義で今も活動を続けるフォーク・ミュージシャン。 彼の公式ページが Myspace 上に公開されていますが、今もなおフロリダを拠点としている様子です。 このアルバムには、通常の LP 盤のほかに 2 曲入りのEP盤が入っており、その 2 枚でひとつの作品を構成しています。 全く予備知識が無いままに、レコードに針を落とすと、ホーンセクションが活躍する陽気で軽快なアメリカン・ロック「Eleven To One」が流れてきたので、嗜好性が違いすぎると思い、しばらく寝かしてしまいました。 しかし、そのような曲はこの曲だけで、他の曲は弾き語り中心のアーシーなフォークサウンドが堪能できるアルバムだったのです。

  個々の楽曲のなかには、冗長で飽きが来るものもあり、完成度が際立って高いという評価はできませんが、渋めの引き語りには味わい深いものがあります。 A面では、「Micah」や「Enoch Ludford」が該当します。 とくに後者はギターのイントロから名曲の予感漂う曲でアルバムの中ではメロディアスな作風です。 B面では、「Mother, Audrey, And Jesus」と「Keaton Miller’s Farewell」でしょう。 後者は Blue River の頃の Eric Andersen を髣髴とさせるバラードです。 ブルース色の強い「Dance With Me, Julie Anne」、ソプラノ・サックスが新鮮な「Sumter County」、淡々とした「I Got It」なども悪くはないのですが、曲が単調な上に繰り返しが多く、間延びしたように感じてしまうのが難点です。

  EP盤に入ると完全に Don Dunaway だけによるサウンドとなっているせいか、プライベート感がさらに深まります。 「Kennesaw Line」、「Thomas Martin」ともにフロリダ産とは思えないような肌触りを感じます。 清涼感は無いのですが、熟成した琥珀色とでも表現したくなるサウンドです。 こうして全曲を聴いてみると、ドラムスの入った曲は冒頭にも書いた「Eleven To One」だけなので、稀に存在する猫だましのようなアルバムです。 裏ジャケットには 6 人ものサポートメンバーが写っていることもあって、このような内容だとは想像しがたいアルバムです。

  1957 年にギターを始めたという彼がこのアルバムを発表した正確な年度はわかりませんが、おそらく 1970 年代後半ではないかと思います。このレコードには年度表記はともかく、レーベル名や品番すら存在しないのです。 セピア色のジャケットに包まれた自主制作ムード満点のアルバム。 プレス枚数が少なかったせいでしょうか。 彼を紹介するサイトのディスコグラフィーにもこのアルバムは掲載されていません。



EP盤


  
■Don Dunaway / The Milltop Tee-Shirt Album■

Side-1
Eleven To One
Ruby And The Champion
Dance With Me, Julie Anne
Micah
Enoch Ludford

Side-2
Mother, Audrey, And Jesus
I Got It
Sumter County
Keaton Miller’s Farewell

EP
Kennesaw Line
Thomas Martin

Produced by Phil Driscoll
Recorded and Mixed at driscoll studio sound , Jacksonville beach , florida

Guitars and vocals : Dan Dunaway, Charlie Robertson
Electric guitars : Jimmy Nee, Mike Hart
Bass : Kenny Brown, John Clark
Drums : Phillip Robinson
Horn and String arrangement : Phil Driscoll
Harmonies : Richard Bailey

Soprano sax : Dick Kraft
Percussion : John Clark
Omni : the Phantom
Flute : Dick Kraft

No Label