■Alex Atterson / Roundabout■
今日まで Alex Atterson のことをアメリカのミュージシャンだと思い込んでいましたが、そうではないことが判明し、やや動揺しながら書き始めています。 このレコードには Birmingham でレコーディングされたというクレジットがあるのですが、イギリス第 2 の都市のことではなく、アラバマ州の Birmingham だと思い込んでいました。 その思い込みは、Randy Newman の「Birmingham」が頭に残っていたせいなのですが、それはさておき、この素朴で懐かしい味わいのある作品について語っていきましょう。
1974 年にイギリスのバーミンガムで録音されたこのアルバムは Alex Atterson のファーストアルバム。 彼は 1977 年に「Pushing The Business On」というセカンドを発表していますが、そちらは未聴です。
このアルバムで聴けるサウンドは、彼のマルチ・ミュージシャンとしての技能に拠るところが大きいのですが、それはけしてテクニック重視ということではなく、バラエティー豊かな楽曲による懐の深さや、オールドタイミーな風景の創出に強く貢献しています。
アルバムは淡々とした牧歌的なミディアム「Kishmul’s Galley」でスタート。 低い山並みとちぎれる流れ雲を眺めているような気分にさせられる名曲です。 ラグタイム風のピアノで歌われる「Down And Out Blues」はまるでニルソンのよう。 つづく「A Ballad For Katharine Of Aragon」は正統派フォーク路線ともいえる楽曲。 軽快なアコーディオンの弾き語り「Obby Oss」で思い出すのはJohn Kirkpatrick だったり。 「Roundabout Rag」はピアノソロ。 古き良きジャズエイジを懐かしむかのような風情が素晴らしく、Alex Atterson の多才ぶりにあらためて感心してしまいます。
レコードを裏返すと語りだけの「The Pudden」で幕開けし、その意外性に驚きます。 そしてまたお得意のラグタイム調の「Doctor Jazz」へ。 このような曲が多いので、アメリカ産のレコードだと思い込んでしまうのです。 つづく「Fertility Dance」はアコギのインスト。 「Farewell To Sicily / The Dark Island」は、アコーディオンが主伴奏をつとめるワルツ。 この曲は Alex Atterson の故郷のスコットランド風です。 ラグタイムピアノによる小曲「「South Park Parade」を挟んで、アルバムラストの「Sweet Slavery」へ。 この曲は、C.O.B. の楽曲との解説がありますが、聴いたことがありませんでした。 ネットで調べてみると、C.O.B. とは Incredible Strings Band の Clive Palmer が結成したグループのようで、オリジナルはかなりのレア盤のようですが、現在では CD で復刻されているので聴いてみたいと思います。 Alex Atterson はこの曲に関して、「I think it is a really beautiful song – nothing could follow it (except , maybe , my SECOND record!)」とコメントしています。 それほど絶賛している曲を、おそらくカバーしたのは自分だけだと自画自賛しているのでしょう。
さて、このような Alex Atterson ですが、公式サイトはみつかりませんでした。 しかし、いくつかのサイトの記事を読むと、いまから 10 年以上前に亡くなっていたようです。 1970 年代にマイナープレスでひっそりと 2 枚のレコードを残したことだけが彼の足跡ではないはずですが、誰かが注目し、光をあてない限りは、時間とともに彼の人生と音楽は風化していってしまうのかもしれません。 そう考えると、デジタルではなくモノとしてのレコードの存在意義は増すばかりだと思うのです。
■Alex Atterson / Roundabout■
Side-1
Kishmul’s Galley
Down And Out Blues
A Ballad For Katharine Of Aragon
Obby Oss
Roundabout Rag
Side-2
The Pudden
Doctor Jazz
Fertility Dance
Farewell To Sicily / The Dark Island
South Park Parade
Sweet Slavery
Produced by Alex Atterson and Dik Cadbury
Recorded at Nest Studios , Birmingham during October 1974
Alex Atterson sang and played acoustic guitar , piano , accordion , pianomate , kazoo, piano , hammond organ with Leslie cabinet , and drum
Dik Cadbury sang and played 6 and 12 string acoustic guitars , electric guitar and electric bass
Diz Dizley played guitar but naturally!
Parade PAR 001
今日まで Alex Atterson のことをアメリカのミュージシャンだと思い込んでいましたが、そうではないことが判明し、やや動揺しながら書き始めています。 このレコードには Birmingham でレコーディングされたというクレジットがあるのですが、イギリス第 2 の都市のことではなく、アラバマ州の Birmingham だと思い込んでいました。 その思い込みは、Randy Newman の「Birmingham」が頭に残っていたせいなのですが、それはさておき、この素朴で懐かしい味わいのある作品について語っていきましょう。
1974 年にイギリスのバーミンガムで録音されたこのアルバムは Alex Atterson のファーストアルバム。 彼は 1977 年に「Pushing The Business On」というセカンドを発表していますが、そちらは未聴です。
このアルバムで聴けるサウンドは、彼のマルチ・ミュージシャンとしての技能に拠るところが大きいのですが、それはけしてテクニック重視ということではなく、バラエティー豊かな楽曲による懐の深さや、オールドタイミーな風景の創出に強く貢献しています。
アルバムは淡々とした牧歌的なミディアム「Kishmul’s Galley」でスタート。 低い山並みとちぎれる流れ雲を眺めているような気分にさせられる名曲です。 ラグタイム風のピアノで歌われる「Down And Out Blues」はまるでニルソンのよう。 つづく「A Ballad For Katharine Of Aragon」は正統派フォーク路線ともいえる楽曲。 軽快なアコーディオンの弾き語り「Obby Oss」で思い出すのはJohn Kirkpatrick だったり。 「Roundabout Rag」はピアノソロ。 古き良きジャズエイジを懐かしむかのような風情が素晴らしく、Alex Atterson の多才ぶりにあらためて感心してしまいます。
レコードを裏返すと語りだけの「The Pudden」で幕開けし、その意外性に驚きます。 そしてまたお得意のラグタイム調の「Doctor Jazz」へ。 このような曲が多いので、アメリカ産のレコードだと思い込んでしまうのです。 つづく「Fertility Dance」はアコギのインスト。 「Farewell To Sicily / The Dark Island」は、アコーディオンが主伴奏をつとめるワルツ。 この曲は Alex Atterson の故郷のスコットランド風です。 ラグタイムピアノによる小曲「「South Park Parade」を挟んで、アルバムラストの「Sweet Slavery」へ。 この曲は、C.O.B. の楽曲との解説がありますが、聴いたことがありませんでした。 ネットで調べてみると、C.O.B. とは Incredible Strings Band の Clive Palmer が結成したグループのようで、オリジナルはかなりのレア盤のようですが、現在では CD で復刻されているので聴いてみたいと思います。 Alex Atterson はこの曲に関して、「I think it is a really beautiful song – nothing could follow it (except , maybe , my SECOND record!)」とコメントしています。 それほど絶賛している曲を、おそらくカバーしたのは自分だけだと自画自賛しているのでしょう。
さて、このような Alex Atterson ですが、公式サイトはみつかりませんでした。 しかし、いくつかのサイトの記事を読むと、いまから 10 年以上前に亡くなっていたようです。 1970 年代にマイナープレスでひっそりと 2 枚のレコードを残したことだけが彼の足跡ではないはずですが、誰かが注目し、光をあてない限りは、時間とともに彼の人生と音楽は風化していってしまうのかもしれません。 そう考えると、デジタルではなくモノとしてのレコードの存在意義は増すばかりだと思うのです。
■Alex Atterson / Roundabout■
Side-1
Kishmul’s Galley
Down And Out Blues
A Ballad For Katharine Of Aragon
Obby Oss
Roundabout Rag
Side-2
The Pudden
Doctor Jazz
Fertility Dance
Farewell To Sicily / The Dark Island
South Park Parade
Sweet Slavery
Produced by Alex Atterson and Dik Cadbury
Recorded at Nest Studios , Birmingham during October 1974
Alex Atterson sang and played acoustic guitar , piano , accordion , pianomate , kazoo, piano , hammond organ with Leslie cabinet , and drum
Dik Cadbury sang and played 6 and 12 string acoustic guitars , electric guitar and electric bass
Diz Dizley played guitar but naturally!
Parade PAR 001