Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Ron Fraser

2007-10-07 | SSW
■Ron Fraser / I’m Gonna Sing My Song■

  『僕の歌を歌おう…』
なんて、1970年 代ならではのアルバムタイトルですね。 とはいえ、この時代にはこのようなアルバムタイトルは、どこの世界にも存在したことでしょう。 ファーストアルバムにしか使えない気がしますけど。
 ということで、今日取り上げたアルバムは 1974 年に Ron Fraser がマイナーレーベル Granite Records からリリースしたファーストアルバム。 このアルバムが彼の唯一のアルバムと思っていましたが、どうやらもう一枚アルバムがあるようです。

 アルバムは全体的にのどかなカントリー風 SSW という印象で、顕著な個性が感じられたり、音楽的に先進性があるということはありません。 むしろ 1974 年にしては古臭いサウンドとも言えるでしょう。 たとえば、Gram Parsons がソロアルバムで到達した新境地や、Borderline のような味わい深さに比べてしまうと、見劣りがしてしまうのです。 

 とはいえ、B 級感覚ならではの味わいがあることも確かで、そこに古き良きアメリカらしさを見出すことができるともいえます。至るところにキャッチーな曲が並んでいることから、マイナーレーベルがまさかの一攫千金を狙っていたかもしれません。 そんなアルバムの曲をなぞってみましょう。

  A 面「Leavin’ Carolina」は、大らかなイメージのライトなカントリー。 もしかして、Glen Campbell のように売れようとしたのかと思ってしまいます。 つづく「San Susanna Lullabye」は、スロウなバラード。 女性コーラスとのハモリや重めのストリングスアレンジが聴きどころです。 ライトタッチなシングル向きの楽曲「Jessie」につづく「Chasin’ Rainbows」も陽気で軽快なトラック。 ペダルソロが心地よく響き、A 面のベストトラックと言えます。 タイトル曲の「I’m Gonna Sing My Song」は能天気な二拍子。 落ち込んでいるときに聴いたりすると逆に腹が立つような気分の曲が時々存在しますが、この曲もまさにそんな感じです。

  レコードを裏返すと、シングルヒットしてもおかしくないほどポップな「It’s Not Home」です。 ペダル・スティールのソロも素晴らしく、アルバムのハイライトといえる曲です。 つづく「To All My Friends」はシンプルでリピートの目立つトラック。  「Summer Shady Home」は、アルバム屈指のバラード。 昼下がりの木漏れ日サウンドです。 ほのぼのした合唱風コーラスが愉快な「Ramblin’ Rose」が終わると、ラストのワルツ「Sing For The Good Times」が始まります。 ノスタルジックなアレンジは、まるでカントリー・ウェスタンの映画のワンシーンを見ているかのようで、胸に染み入ります。 

 最後にこのアルバムがリリースされたレーベルGranite について調べてみました。 レーベルの成り立ちなどはわかりませんでしたが、カタログについて品番の若い順に調査することができました。 僕が遺跡調査できたのは GS-1006 までですが、1004 まではカントリーに特化しているように想像できます。 しかしその後 Edwin Starr のようなソウル系までリリースされていることから、あまりポリシーやカラーのあるレーベルではなかったのかもしれません。 そういったレーベルはコレクターからも注目されることがないので、時の流れとともに風化していってしまう運命にあるのでしょう。 それは、きっと Ron Fraser にも当てはまるのです。

GS-1001 Tex Williams / Those Lazy Hazy Days
GS-1002 Molly Bee / Good Golly Ms. Molly
GS-1003 Ron Fraser / I’m Gonna Sing My Song
GS-1004 Stu Stevens / Returning Your Call 
GS-1005 Edwin Starr / Free To Be Myself
GS-1006 Lowell Fulson / Ol' Blues Singer



■Ron Fraser / I’m Gonna Sing My Song■

Side-1
Leavin’ Carolina
San Susanna Lullabye
Jessie
Chasin’ Rainbows
I’m Gonna Sing My Song

Side-2
It’s Not Home
To All My Friends
Summer Shady Home
Ramblin’ Rose
Sing For The Good Times

Produced by Cliffie Stone
Arranged and Conducted by Billy Liebert
Recorded at Devonshire Sound Studios , North Hollywood, Remote Recording Facilities , Hollywood , Air Studios , London

Vocals : Ron Fraser , Christie Oliver , Janice Oliver , Curtis Stone and the Friends of Fraser Choir
Drums : Stan House , Jack Sargent
Guitars : Ron Fraser , Don Lee , Al Vescovo , Curtis Stone
Pedal Steel Guitar : J.B. Crabtree
Dobro : J.B. Crabtree
Electric Bass : Curtis Stone
String Bass : John Flower
Piano : Billy Liebert

Granite Records GS-1003