道彦の散歩道

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毎日の事件事故の記録

5/28 夫人と婦人

2012年05月28日 | 豆知識

【夫人】

「夫人」とは、他人の妻を敬っていう語。「夫人」の「夫」は、元々「扶」であったと考えられている。

「扶」は「手」と「音符夫」からなる字で、手の指を脇の下にぴったりと当てて支えることを表す。「扶」の「夫」は発音を示すのみで意味はないが、夫を助ける意味を含んで「扶人」を用い、「夫人」に変化したと思われる。

古く、中国では天子の妃や諸侯の妻をいい、日本では皇后や妃の次に位する後宮の女性をいった。のちに、貴人の妻という語として用いられるようになり、現在では、他人の妻を敬っていう語として使われるようになった。

【婦人】

「婦人」とは、成人女性を指す語。

大正デモクラシ-の時期、婦人という語は、普通選挙権要求運動とも連動し、斬新な響きを持った。「婦人公論」に代表されるように、「意識の高い成人女性」との響きさえあった。社会主義国家群でも、「婦人解放の日」を制定した。

婦人という語感が「年輩女性」「既婚女性」との意味合いを持つようになり、次第に使われなくなった。

男権優位的な言葉である夫人(これは既婚女性のみを指す)の代替語として使われたこともあったが、やがてフェミニズム論者に「婦」の字は「女」に「帚」であり、女性差別的な表現であるため使わない方がよいと指摘されたことも、使用が減った原因の一つである。しかし、「婦」の字の「箒」は清掃の道具ではなく、祭壇を掃き清める道具であると漢字学で解釈されているので、安易な言葉狩りであるとも言われている。

現代の日本語においてより一般化した呼称が「女性」である。「婦人」の語はやや古めかしいイメ-ジを持つ古語になりつつある。