貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

土の上に過ぎる大きな時

2018-11-10 09:30:04 | 日記

土の上に過ぎる大きな時

平成30年11月10日(土)

 昨夜は,想いいっぱいに包まれ、

深夜帰宅。

 やっと舘野泉さんの生演奏を

聴くことができた。

 舘野さんのバースデーコンサート。

82歳。

 82歳になって、フランス、ドイツ、

エストニア、フィンランド、日本等で、

50回ほどの演奏をされているそうだ。

 2時間近く,全てピアノの調べ。

お話が半分の,他の音楽会と一味

違う。

 1時間前の5時半過ぎに上野に到着。

7時開演まで時間があるので,雨上が

りの夕暮れの上野公園散策。

東京国立博物館前の夜景。

東照宮の鐘の音か。

初めて聴いた上野の鐘の響き、

素朴そのもの。

「ゴーン,ゴーン・・・」。

 2・3周上野の晩秋を楽しむ。

 東照宮の方へ。

「うえの華燈路浮世絵行燈」が

ずらーり。

 日本で初めての公園である、

上野恩賜公園は、江戸時代から

人々が集い、明示になると、博覧会

等近代化の拠点となる。

 歌川広重の名作「名所江戸百景」

の行燈や1メートル以上の大型行燈

を設置。

 見つけた時刻が開演前のなので、

ちょっとだけ楽しんだ。

行燈がずらーり!

 そして、文化会館小ホールへ。

 ステージに出てこられた舘野泉さんは、

ちょっと痛ましい歩き方だが、

歩のはこびは安定。

 「よいこらっ!」と座られ、弾き出

されると、もうピアノの鉄人。

 奥さんのマリアさんの言では、

「弾き出すと,途端に30歳は若返る

わね。」ということだ。

「音が立ち上がる時、俺は生きて

いるんだという確かな手応えがある。」

と記されている。

 予期しなかった盟友末松保雄さんが

8月20日急逝。

 そこで、プラグラムも急遽変更。

 末松さんに作って貰った5曲のうち

2曲を採り入れられた。

「土の歌‥風の歌」と、

 ~ いっぱいのこどもたち ~だ。

 初めて聴いたので、ちょっ訝りな

がらも想像を駆使した。

 小林一茶の

「雪とけて 村いっぱいの

      子ども哉」

の句が発起点。

 「土の歌・風の声」は、左手で

奏される幾つもの声部(歌)が遙か

彼方の大空へ広がっていき、天空に

鳴りわたる鐘の響きに収斂していく。

 我々の視線は果てしない彼方に

注がれ、

「土の上に過ぎる大きな時を思う

契機でありたい」と、

末吉さんはプログラムノートに

書いている。

 つづく。