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岡本喜八監督『殺人狂時代』その2

2011-01-21 07:11:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 しばらくすると、信治の元に助けを求めるケイコが書いたメモが届けられ、信治はそれを届けた、眼帯をした和服の女性の案内でメモが拾われた現場に向かいますが、車中でその女性に襲われます。信治は女性を返り討ちにして殺すと、女性の眼帯の中の義眼には爆弾が仕掛けられていました。
 その女性が今際の際に言ったケイコの居場所「富士山のふもと」に向けて信治と大友が車を走らせると、ヒッチハイクの女性2人が現れ、彼女らは彼らを山中湖畔のホテルに誘います。彼女らのバッグの中に「人口調節委員会」と印刷された封筒を見つけた信治らは、彼女らを次の刺客かと疑いますが、それは単なる避妊促進の組織でした。彼女らとセックスに励もうとしていたその時、杖を持つ和服の殺し屋が現れますが、信治らは逆に彼を人質に取ります。男は30分後の自衛隊演習の目標物であるトーチカの中にケイコがいると言い、信治らは駆けつけますが、そこにはケイコの人形が置いてあり、無線からは溝呂木の勝ち誇った声が聞こえてくるのでした。信治らは最初の砲撃が命中しないことを祈り、砲撃によってできる穴から穴へと移動して、何とか攻撃をかわします。そして不発弾を手に入れた彼らは、それによって和服の男をやっつけますが、溝呂木率いる自衛隊との銃撃戦となり、結局捕えられます。
 溝呂木は信治を自分の精神病院に連れていくと、独房の一つにはケイコが閉じ込められていました。溝呂木は、信治が8才の時にドイツで体の中に「クレオパトラの涙」という300万ドルもするダイヤを埋め込まれたことを教えますが、信治は実はそれは単なるガラス玉で、それを目当てに集まって来る殺し屋たちを抹殺する計画が自分に授けられていたことを明かします。そして信治は溝呂木に、左手を結んで右手に持ったナイフで斬りつけ合うという「スペイン式決闘」を持ちかけると、左手が義手だった溝呂木が一旦は信治を追い詰めますが、結局溝呂木は鉄格子越しに狂人によって絞殺されてしまいます。
 独房から助け出されたケイコは信治と抱き合い、ケイコは自分のしていた指輪で信治を殺そうとしますが、見破っていた信治に逆に毒を打たれます。ケイコは自分が溝呂木の娘であることを明かし、服毒自殺を図りますが、その時点で信治は自分がケイコに打ったのは単なる麻酔薬だったことを明かします。苦しみながら死にゆくケイコは最後に自分のバッグの中の爆弾のスイッチを押しますが、それも事前に信治によって花火とすり替えられているのでした。
 自分の部屋に戻って来た信治は、再びうだつの上がらない大学講師に戻っていて、大友に、自分には瓜二つの弟がいたのだと言います。大友はカメラに対して納得のいかない表情を示し、信治がオンボロ車で去っていくところで映画は終わります。

 殺しの場面の直後に肉をナイフで切り分けるショットが大写しされてみたり、極端な遠近法が用いられていたりして、画面構成で結構楽しませてもらいました。登場人物も一癖ある変わり者ばかりなのですが、みな味のある「顔」をしていて、決して演劇的な誇張に陥っていないところも好感が持てました。仲代達矢さんにとっても、団令子さんにとっても、砂塚秀夫さんにとっても、そして天本英世さんにとっても代表作の一つになるのではないでしょうか? これを機会に岡本監督の作品をもっと見ていきたいと思いました。ということで、映画好きの方にはオススメです。

岡本喜八監督『殺人狂時代』その1

2011-01-20 01:03:00 | ノンジャンル
 岡本喜八監督・共同脚本の'67年作品『殺人狂時代』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 人口調節審議会を主催する溝呂木(天本英世)は、ナチスの秘密結社の代表であるブルッケンマイヤーを自らの精神病院に招き、狂人を殺し屋に育てるアイディアを誇り、ブルッケンマイヤーが電話帳でランダムに選んだ3人を2日以内に殺してその死体を運んでくることで、彼の信用を得ることになります。
 電車内で痴漢をして追って来た男を殺す、和服で眼帯をした女性。若い女性を追い詰めて殺す杖で和服の男性。
 そしてオンボロ車に乗って帰って来て、銅像の母に挨拶をする極端な近視の大学講師・信治(仲代達矢)は、しばらくしてから自室に人口調節審議会から送られて来た男がいることに気付きます。男は住みよい日本を作るため、役立たずの人間を殺して人口調節をしていると自説を述べると、信治を殺そうとしますが、信治は男を逆にうっかり殺してしまいます。すぐに警察に知らせ警官とともに自室に戻りますが、死体は消えています。
 たまたま警察に取材で訪れていた週刊ミステリーの女性記者ケイコ(団令子)は、信治とともに信治が狙われる理由を調べるために、信治の車を盗もうとした大友ビル(砂塚秀夫)を仲間に入れます。ケイコは体で信治と取材の独占契約をする一方、溝呂木はブルッケンマイヤーが組織など持っていないことを見抜き、自白強要剤を用いて、ブルッケンマイヤーがゲシュタポだった1940年の記憶を探ると、当時「クレオパトラの涙」が無くなって総統にどう報告しようか彼が困っていたことを知ります。
 信治はメガネを外して背広に着替えた颯爽とした姿に変装し、活動を開始すると、すぐに人口調節審議会の方から接触を求めてきます。指定された地下鉄のホームに行くと、すでにそこには審議会によって殺された死体があり、その直後に老人の刺客が信治を襲いますが、これまた返り討ちに会い、入ってきた地下鉄に轢かれます。
 見知らぬ男に紹介された霊媒師の女のところへ行ったケイコと大友は、信治の居所を女から聞かれ、それを聞いた見知らぬ男はガレージにいた信治を襲いますが、やはり返り討ちにされる一方、霊媒師は大友を催眠術にかけて飛び降り自殺させようとしますが、大友にパンツを覗かれて逆に転落死します。
 ケイコの居所を知ろうと彼女の編集部を訪れた信治は、そこで溝呂木に出会い、彼にバーに誘われます。溝呂木はそこで、人間最大の快楽は殺人であると説き、狂人と大量殺戮としての戦争を賛美した上で、ケイコをなぶり殺すつもりだと言い残して去ります。残されたフィルムには拷問を受けるケイコの姿と、使者を送るとの予告が示されていました。
 ということで、続きはまた明日に‥‥。

リチャード・ジョーンズ『ナノ・スケール 生物の世界』

2011-01-19 07:45:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、リチャード・ジョーンズの'08年作品『ナノ・スケール 生物の世界』を読みました。走査型電子顕微鏡による生物の写真が掲載された大判の本です。
 第一部では、「抽象的な美しさに満ちたクローズアップ写真を通して、形というものをさまざまな切り口から見ていく」ようになっており、第二部では、「細かい機能という観点で生物を眺め、動植物が用いる道具や武器、感覚器官に焦点を当てる」ようになっています。写真は本来の白黒のものに着色されていて自然の色は再現されていないのですが、その形状は『フューチャー・イズ・ワイルド』で見たように、おどろおどろしい異次元的のものが多々あり、やはり進化というのは無方向的であることを再認識させてくれるものでした。また、微少な世界になると、機能が最優先になるからか、ロボットや機械工具のような形状のものも多く、不思議な気持ちにさせてくれました、
 価格が高いので公共図書館にはあまり置いていないと思いますが、数時間で読破できる内容なので、国会図書館まで行って閲覧するのもいいかもしれません。生物の多様性にも思いが及ぶいい本だと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

オリヴァー・ストーン監督『エニイ・ギブン・サンデー』

2011-01-18 06:58:00 | ノンジャンル
 オリヴァー・ストーン監督・共同製作・共同脚本の'99年作品『エニイ・ギブン・サンデー』をスカパーの洋画★シネフィル・イマジカで見ました。
 「男にとって最高の時は、必死で戦い、疲れ果て、その戦場に横たわってる時だ」「勝利の後に」「ヴィンス・ロンバルディ(1913-1970)」という字幕。フロリダ・シャークスでMVPを3回取ったクォーターバックのスター選手キャップが試合中に倒され、今まで試合に出たことがない控えのウィリーに出番が回ってきます。ウィリーは緊張のあまり、その場で吐いてしまい、試合も終了直前に逆転されチームは4連敗となり、父の死後にチームのオーナーとなったクリスティーナ(キャメロン・ディアス)はチームをロサンゼルスに売却することを考えます。ふがいない試合に対してクリスティーナは、長年チームを率いてきたコーチのトニー(アル・パチーノ)をなじり、盛りを過ぎたキャップと、ディフェンスの要であるシャークを引退させろと言って、トニーと口論になります。そしてキャップのいない間、ウィリーはトニーの指示を守らずにスタンドプレーで活躍し、一躍時の人となりますが、チームメイトの反感を買い、恋人にも去られてしまいます。トニーは勝手なプレーを止めるようにウィリーに警告しますが、ウィリーは今まで黒人ということで受けてきた差別を理由に、チームプレーを拒否します。その結果、ウィリーは次の試合で仲間から守ってもらえず、雨の降る中泥にまみれ、試合も惨敗します。試合後ロッカールームで殴り合いをするウィリーと他のチームメイトのところへ駆けつけたトニーは「恥を知れ」と双方に吠えます。シャークの首のケガが致命的になっているのをチーム付きの医師(ジェームズ・ウッズ)は隠し、それを知ったトニーは激怒しますが、試合に出るというシャークの意思は固まった後でした。キャップも自ら体の不調を訴え次戦での復帰の辞退を申し出ますが、トニーは自分を信じろと言って、何とか出場させることに成功します。そしてテキサス戦。前半でキャップの体が限界に達したのを見てとったトニーは、ウィリーに後半を託します。ウィリーは前半のキャップの自己犠牲の姿を見て、今までの自分の態度を反省し、チームメイトに素直に謝ります。そして試合は途中でシャークが首のケガで退場するも、奇跡的な逆転勝利を上げ、クリスティーナは反目しあっていた母とも和解し、チームの売却も思いとどまります。そして数日後の記者会見。トニーは今シーズン限りの引退を表明しますが、来シーズンからはニューメキシコのチームのコーチに就任し、ウィリーも獲得したと告げ、周囲を驚かせます。そして、これからはライバルだとクリスティーナらに告げ、誇らし気にその場を立ち去るのでした。
 『ナチュラル・ボーン・キラーズ』などと比べると平凡な作品で、録画していたものを途中から飛ばし見してしまいました。それでも後味が悪いということはなく、見て損はしないと思います。時間のある方にはオススメかも。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

ルイ・セロー『ヘンテコピープルUSA』

2011-01-17 06:12:00 | ノンジャンル
 先日、国立科学博物館での「空と宇宙展」と、市ヶ谷にあるミヅマアートギャラリーでの池田学展に行ってきました。「空と宇宙展」では熱気球に乗りたくなり、また池田学展では、そのあまりに緻密でありながらユーモアのセンスのある絵に魅せられました。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、ルイ・セローの'05年作品『ヘンテコピープルUSA★彼らが信じる奇妙な世界』を読みました。アメリカのサブカルチャーを面白おかしく取り上げたBBCの番組『ルイ・セローのヘンテコな週末』でインタビュアーのセローが出会った人々に数年後また会いに行き、後日談を書いたのが本書です。
 会いに行ったのは、宇宙人を10人も殺したと語る元地球防衛軍司令官ソア・テンプラー、元ポルノ男優JJ・マイケルズ、ティナ・ターナーの元DVD夫アイク・ターナー、元反政府主義者マイク・ケイン、元売春婦ヘイリー、人種差別主義者ジェリー・グルードル、ヤクや暴力、殺人を叫ぶギャングスタ・ラッパーのメロウ・T、集団自殺したカルト集団ヘブンズゲイトの生き残りオスコディ、金持ちになる方法を伝授し、裁判を起こされているセミナー主催者マーシャル・シルバー、ネオナチ双子デュオのラムとリンクスとその母親エイプリルの10組です。自分の信念を曲げずに懸命に生きる人々が大半である中で、元地球防衛軍司令官だけが確信犯的な詐欺師で、「あれは成功しなかったんだ。」と正直に告白し、また新たな詐欺に取り組んでるのが笑えました。サブカルチャーというと、日本ではみうらじゅん氏を思い浮かべますが、アメリカのは本気モードのものが多く、やはり文化の違いを感じるとともに、人間性丸出しの部分を面白く読ませてもらいました。
 アメリカ、特に西部の田舎の雰囲気を味わうのにも最適の本だと思います。あとがきを村上春樹氏が書いていることも記しておきます。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)