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ジュールス・ダッシン監督『街の野獣』

2011-01-29 07:19:00 | ノンジャンル
 ジュールス・ダッシン監督の'50年作品『街の野獣』をWOWOWで再見しました。
 フィルの経営するロンドンのナイトクラブで客引きをしているハリー(リチャード・ウィドマーク)は、大物になりたいばかりに様々な儲け話に手を出して失敗を重ね、恋人のメアリー(ジーン・ティアニー)の世話にばかりなっています。ある日偶然に会った伝説のプロレスラー・グレゴリウスに取り入ったハリーは、彼でプロレス興行を行う話をフィルに持っていきますが、相手にされず、フィルの愛人でナイトクラブを実際に切り盛りしているヘレンに、200ポンド自分で作れたら残りの資金をフィルに出させてやるとからかわれます。怒ったハリーは金策に走りますが、集められず、結局ヘレンのところに戻ると、ヘレンは黙って200ポンドを差し出し、それをフィルに見せて彼から金を引き出し、合わせた金で自分が買った営業停止中のナイトクラブの営業許可証を手に入れ、一緒にそのナイトクラブを経営しようと提案します。一刻も早くフィルと別れたがっているヘレンの勢いに飲まれて、ハリーは同意し、その金をフィルに見せに行きますが、フィルはすぐにその金がヘレンによって盗まれた自分の金であることに気付きます。しかしフィルは気付いたそぶりを見せず、ハリーを陥れるために残りの資金を出します。ハリーは営業許可証を偽造し、金をプロレス興行に注ぎ込みますが、最後になってフィルは金をもう出さないと言い出し、グレゴリウスが毛嫌いしているプロレスラーのストラングラーを出演させるなら金を出そうと言い出します。ハリーはストラングラーを焚き付けて、彼がグレゴリウスに対戦を直談判させるように仕向け、グレゴリウスもそれを受けざるを得なくなります。ハリーは再びフィルのところに行きますが、フィルはハリーの行為を、彼の目の前で、ロンドンのプロレス興行を牛耳るグレゴリウスの息子・クリストに知らせ、ハリーを追い詰めます。ハリーはメアリーの部屋を家捜しして彼女が苦労してためた金を持ち出し、彼女はそれを知って泣き崩れます。その頃、練習場でグレゴリウスとストラングラーはケンカとなり、やがて本気の勝負となって、ストラングラーは倒されますが、そこに駆けつけたクリストの腕の中でグレゴリウスも息を引き取ります。その場を逃げ出したハリーに対し、クリストは父の仇を取るために賞金をつけて彼を捕まえ殺そうとします。追いつめられたハリーは、昔からの知り合いの老婆に匿われ、それまでの人生を悔いているところへ、足音が近づいてきますが、現れたのはメアリーでした。彼女の優しい言葉に返す言葉のないハリー。やがてハリーが自分を売ってクリストから懸賞金を貰ってくれと言い出すと、彼女は別れの言葉を言って去ります。それを追ったハリーは、近くにいたクリストを見て、メアリーを裏切り者呼ばわりし、結局ストラングラーに絞め殺されて海に捨てられます。メアリーは親切な隣人の若者アダムの腕の中で号泣するのでした。
 コントラストの効いた見事な画面で、全編ロケとは思えないほどの滑らかな美しさでした。構図もカメラワークも見事で、暗い情念を描いた50年代映画の傑作の一つと言えるでしょう。ウィドマークにとってもティアニーにとっても代表作の一つであると思います。必見です。なお、詳しいあらすじは、私のサイト「Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他」のところにアップしておきますので、興味のある方は是非ご覧ください。