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サム・ライミ監督『スペル』

2010-12-26 06:42:00 | ノンジャンル
 サム・ライミ監督・共同脚本の'09年作品『スペル』(原題『私を地獄へ連れて行け』)をWOWOWで見ました。
 「カリフォルニア州パサデナ 1969年」の字幕。霊媒師のジョーン・サン・ディナのところに、子供がロマから盗んだ首飾りを、ロマに返そうとしても拒否され、子供が脅えているという母がその子供を連れてやってきますが、彼女の目の前でその子は裂けた床から地中に引き込まれていきます。ジョーンは次に会う時には目にもの見せてやると、目に見えない魔物に言い放ちます。仰々しい音楽に乗せて、タイトルロール。銀行に勤める若い女性のクリスは、新人のスチュと次期次長の座を争っています。ある日、片目の醜い老婆のガーナッシュがローンが滞って家が差し押さえられてしまうので、何とか見逃してほしいと頼みに来ますが、支店長に毅然とした態度を見せようとしたクリスは彼女を追い返し、ガーナッシュは警備員に連れていかれる際に「呪いをかけてやる」とクリスに告げます。その日残業して無人の地下駐車場で自分の車に乗ると、車内にガーナッシュが待ち受けていて、クリスの服のボタンを引きちぎると、その場でそのボタンに対して魔物ラミアの呪いをかけます。次々に起こる異変。クリスは恋人のクレイを連れてラムという男に霊視相談に行くと、ラムは脅えて彼らを追い返します。自分の部屋に帰ると、風が吹き荒れ無気味な音が鳴り、恐ろしい影に殴られます。クレイを呼んで彼の横で眠ると、眠っているクリスの口の中にハエが入り込み、夢の中でクレイはガーナッシュに変わり、その悪夢から目覚めた後もクレイに向かって鼻血を吹き掛けてしまいます。クリスはガーナッシュの家を訪ねて謝罪しようとしますが、ガーナッシュは既に死んでいて、孫娘は「報いを受けるがいい」と言い放ちます。再びラムのところへ行くと、彼は呪いを解くためには動物の生け贄を捧げなければならないと教えてくれたので、クリスはラミアの襲撃を受けながらも飼っていた子猫を生け贄としますが、呪いは止みません。ラムは動物の生け贄は絶対ではなかったと言い、これからは3日間ラミアの襲撃に悩まされ、その後に魂を取られてしまうことを予言します。そしてそれを阻止するための霊媒師を頼むには1万ドルの現金が必要と言われ、クリスは会社に給料の前借りを頼みますが断られ、全財産を質入れしますがそれでも3600ドルにしかならず、万事窮しますが、クレイがクリスの知らない間に1万ドルを払ってくれていました。霊媒師は古い館に住むジョーン・サン・ディナで、彼女はこの場所が異界との出入口になっていると言います。ヤギをラミアに乗っ取らせ、乗っ取った瞬間にヤギの頭をオノで落とす計画を立てますが、現れたラミアは一瞬でヤギからオノを持つ男に移ってしまい、ジョーンはラミアを呪文で一旦は去らせることに成功はしますが、心臓マヒで死んでしまいます。クリスはラムから呪いのかけられたボタンを誰かに渡してしまえば、その渡した先の人に呪いがかかると知り、うまくスチュをおびき出してボタンの入った封筒を渡そうとしますが、踏み切れません。そこでガーナッシュの墓を暴き、彼女の死体の口に無理矢理封筒をねじ込むことに成功しますが、降ってきた豪雨のために墓穴から抜けだせずに泥で溺れ死にそうになります。何とか朝を迎えると、スチュの不正がばれてクリスが次長に起用されるという知らせが入りますが、クリスはクレイと新しい人生を歩むため町を去ろうとします。が、電車をホームで待っている時、クリスが封筒を取り違えていたことが分かり、クレイは自分の持っていた封筒の中からボタンを取り出してクリスに渡します。と、クリスはホームから線路へと引き込まれ、電車に引かれながら地面の底深く引きづり込まれていくのでした。
 シャープで、しかも柔らかく美しい陰影に満ちた映像は何とも魅力的で、なめらかなカメラワーク、編集の見事さとともに、素晴らしい娯楽映画を形作っていました。こちらの期待をどんどん上回るストーリー展開と映像に最後は笑いが止まらなくなったほどです。サム・ライミ、蓮實先生が言うように、現在最も才能にあふれた映画監督の1人なのかもしれません。文句無しにオススメです。

みうらじゅん×高見沢俊彦×リリー・フランキー『ロングヘアーという生き方』

2010-12-25 07:30:00 | ノンジャンル
 先日WOWOWで、マックス・ノセック監督の'45年作品『犯罪王ディリンジャー』を見ました。イライシャ・クック・Jr以外知った俳優もなく、演出も古典的なもので、途中から飛ばし見してしまいましたが、沼から現金輸送車を鎖でギリギリと引き出す冒頭のシーンは明らかに『サイコ』に踏襲されたもので、銀行強盗のシーンは何とラングの『暗黒街の弾痕』のシーンがまるまる使われているのに驚きました。

 さて、みうらじゅん×高見沢俊彦×リリー・フランキーの'10年作品『ロングヘアーという生き方』を読みました。フジテレビ『ボクらの時代』の'09年8月23日に放送された回に、若干の加筆・訂正・削除を行ってできた本です。
 60才前後(みうらじゅんさんは私より一つ年上、リリーさんに至っては私よりも3才も年下!)であるにもかかわらず、長髪をし続ける3人の雑談に近い対談を収めた本ですが、「田舎の子どもにしてみたら、髪を長くしている大人って、もうビートルズか、落武者でしょ。」という発言を始め、くすりとさせてくれる発言が満載で楽しませてもらいました。ただ、数時間で読めてしまうのが難点かもしれません。
 これも暇な時間に気楽に読む本としては絶好だと思います。気軽に手にお取りください。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

ケン・ローチ監督『この自由な世界で』

2010-12-24 04:56:00 | ノンジャンル
 ケン・ローチ監督の'07年作品『この自由な世界で』をスカパーの洋画★シネフィル・イマジカのチャンネルで見ました。
 「ポーランド、カトヴィツエ」の字幕。「コアフォース人材派遣」が英国に出稼ぎに行きたい人の面接を行っています。面接をしていたアンジーはアフター5に酒場で上司にセクハラされ水をぶっかけますが、数日後会社を解雇されます。彼女は友人のローズに協力してもらい自ら職業紹介所を作り、失業率の高い東欧から質の高い労働者を提供すると企業に売り込み、町で暇つぶしをしている東欧から来た失業者たちに声をかけます。以前から知っている取引先は、前の会社らから圧力がかけられる危険があると彼女に忠告しますが、彼女は聞く耳を持ちません。来年中学に上がる息子のジェイミーは母のことをからかわれて同級生にケガを負わせてしまい、アンジーは学校から呼び出しを喰います。そんな時、以前マフィアのボスが不法労働者に偽造パスポートを渡して働かせていた事件で警察は警告を与えただけだったという事実を教えられたアンジーは、ローズの反対を押し切って、多くの利益を見込めるその事業に乗り出すことにします。ちょうどそこへ24時間シフトの工場の大口の仕事が舞い込み、アンジーはその話に乗り、提供する宿舎の1つのベッドを2人の労働者で共用させ、発生する莫大な利益はうまく脱税して、きちんとした事業の立ち上げに備えようとします。天引きの仕組みに納得しないポーランドの労働者たちに囲まれて恐怖するローズ。その窮地を助けてくれたポーランド人で以前関係を持ったことのあるカロルの話を聞き、アンジーは彼らの置かれている立場を理解しようと、求職してくる度に追い返していたイラン人のマフムードの家を訪ねていくことにします。彼は思想犯ということで祖国を追われ、妻と幼い二人の娘とともに悲惨な生活を送っていました。彼らを家に呼び世話をしようとするアンジーに、ローズは5年の懲役となる入管法違反を犯すのかと迫ります。アンジーはついに偽造パスポートの製造を始め、その代わりに厳しい天引きを課し利益を上げようとします。父はジェイミーに母の仕事をしている姿を見せようと彼と一緒にやってきますが、アンジーが非情に朝の日雇い集めをしている様子を見て彼女を責めます。やがて工場の大口の仕事の給与分として渡されていた小切手が不渡りとなり、騙されたことを知ったアンジーは、労働者たちに事情を説明しますが、今までも同じような目に会って来た彼らは納得しません。そこに居合わせたカロルは彼女を慰め、彼女は今まで再三窮地を救ってくれた彼に謝礼を渡そうとしますが、受け取ってもらえず、逆に彼からの部屋への誘いを断ります。そして街頭でいきなり男に殴られ大ケガをしたアンジーは手許にあった2万5千ポンドという大金をローズと分け合い、持ち逃げする決心をしますが、そこへ「泥棒」と書かれた石が投げ込まれ、危険を感じた彼女らは即座に逃げ出します。大きくきれいな部屋を借り上げ、新たに事務所を開設しますが、アンジーは引き続き儲けの多い不法移民を使おうとし、労働者の住まいを確保しようと、今そこに住んでいる者たちを追い出すために移民局に密告しますが、そこにマフムードの娘たちの姿を見つけます。ローズはそんなアンジーにもうついていけないと言って、彼女の元を立ち去ります。父が扶養するようになっていたジェイミーを4日間だけ預かったアンジーは、夜、家でテレビを見ている時に覆面をした男たちに押し入られ、椅子に縛り付けられます。男たちは自分たちの同胞の子供たちが工場の劣悪な労働で亡くなったり半身不髄になった話をし、ジェイミーを人質にとる代わりに、未払い分の給与2000ポンドを20人に支払うこと、今ここにある3万ポンドはもらっていくことを要求して去ります。まもなくジェイミーは帰って来ますが、彼は警官に足留めをされ、祖父の名前や親しい人々の名前を聞かれたと言います。「ウクライナ、キエフ」の字幕。「アンジー職業紹介所」の代表アンジーは、英国に出稼ぎに出たい人たちに不法労働のコツを教え、面接を始めます。そして2人の息子を置いて働きに行きたいという美容師の女性からワイロを受け取るのでした。
 映像はいつものケン・ローチ監督のようにシャープでしかも落ち着いた色調の魅力的な画面でしたが、何とも殺伐とした内容で救いのない映画でした。次回作に期待したいと私は思います。

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Quick Japan Special Issue 劇団ひとり カプチーノを飲みながら

2010-12-23 06:20:00 | ノンジャンル
 先日スカパーの日本映画専門チャンネルで堤幸彦監督の'08~09年作品『20世紀少年』3部作を見ました。鉄腕アトム、鉄人28号、ウルトラマン、悪魔くん、万博など、20世紀というよりも昭和30年代、40年代といった内容で、CGは見ごたえ十分でしたが、ストーリーは難解、登場人物にもリアリティがなく、途中から飛ばし見してしまいました。俳優陣がすごかっただけに残念です。

 さて、AKB48の指原さんがブログで面白いと書いていた『QuickJapan Special Issue 劇団ひとり カプチーノを飲みながら』を読みました。雑誌『Quick Japan』にて連載中の「劇団ひとりのカプチーノを飲みながら」49~91号掲載分に大幅な加筆・修正を加えてできた本です。
 39人のその道の達人にインタビューしたもの(一人につき見開き2ページ)と「取材スタッフが捉えた達人の姿」と題する写真3,4枚にキャプションがついたものから構成され、それに前編・後編のマンガ「劇団ひとり物語」が付いています。達人はすべて劇団ひとりが変装したもので、その変装ぶりは常軌を逸するものばかり。インタビューの内容も簡単に人を殺すものを始め、これまた常軌を逸するものばかりで、陰毛を堂々と見せているものや、お尻丸出しで路上にウンコをするものなど、ここまでやるか、といった感じでした。インタビューの最後は、インタビュアーが呆れて「‥‥ありがとうございました。」と終わるのがお約束となっており、その単調さもまた笑えました。
 ひまつぶしには絶好の本だと思います。(ただし、写真が写真なので、満員電車の中などでは読まない方がいいかもしれません。)お手軽なお笑いをお求めの方にはオススメです。

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オリヴァー・ストーン監督『ナチュラル・ボーン・キラーズ』

2010-12-22 06:26:00 | ノンジャンル
 オリヴァー・ストーン監督、クエンティン・タランティーノ原作の'94年作品『ナチュラル・ボーン・キラーズ』をWOWOWで見ました。
 テキサスの一軒家のレストラン。若い女性・マロリーはジュークボックスの曲を鳴らしてセクシーなダンスを始め、挑発に乗った男を素手で血祭りに上げます。その男の相棒がマロリーを止めようとすると、マロリーと一緒に入ってきた男・ミッキーはナイフと銃でその男と他の客を皆殺しにし、残った1人に自分たちの名前を告げ、車で去ります。そしてスクリーンプロセスを使った場面をバックにタイトルロール。二人は出会いを回想するとアメリカのホームコメディ風にその馴れ初めが紹介されます。失業中の父の性的虐待を受けていた10代後半のマロリーが友達と外出しようとしていたところへ、ミッキーが20kgの肉塊を配達しに来て、二人は一目惚れし、マロリーの父の車ですぐに外出してしまい、ミッキーは車の窃盗の罪で逮捕されます。引越しをしてミッキーの目の届かない所へマロリーを連れて行こうと彼女の父がしていることを聞いたミッキーは、竜巻きの騒動に乗じて脱獄し、マロリーとともに彼女の父を殺し、母も焼死させます。高い橋の上から今までの持ち物を全て捨てた二人は、その場で結婚の誓いを立て、殺しをエスカレートさせていきます。そして砂漠で迷いガソリンが切れた彼らはケンカした後、インディアンの家に辿り着き、食事と寝床を与えてもらいますが、悪夢から目覚めたミッキーは過ってそのインディアンを射殺してしまい、自責の念にかられ、マロリーからも責められます。そしてそこからあわてて逃げる際にマロリーはインディアンが飼っていたガラガラヘビに咬まれ、二人はドラッグストアを襲った結果、警察に包囲され、二人を追っていて、自らも親から虐待された経験を持ちセックスにSMを求めるスカグナティ刑事に逮捕されます。「1年後」の字幕。スカグナティは刑務所の所長(トミー・リー・ジョーンズ)に二人の護送を頼まれ、刑務所を訪れます。二人は1年の間に囚人3人、看守5人、医者1人を殺していて、保護房に入れられています。テレビの人気リポーターのウェインはミッキーに獄中独占インタビューのテレビ生中継を承知させることに成功し、その後、二人は彼らのファンの群集の中を所長とスカグナティに囲まれながら移動します。インタビューが始まると、ミッキーの率直な言葉に囚人たちが反応して暴動を起こし、そのすきにミッキーは銃を奪ってウェインとそのスタッフにテレビを回させながら脱獄を試みます。単独でマロリーの保護房に入ったスカグナティが彼女の誘惑に乗ってノサれているところへミッキーは乗り込み、スカグナティとの一騎討ちの形になりますが、後ろからマロリーがスカグナティの首を切り裂き、二人で一緒に彼を射殺します。暴動の中、刑務所に協力的だった囚人は次々にリンチに会って殺され、ミッキーらは血みどろの銃撃戦を戦い抜いた結果、テレビを持つウェインとともに血路を開くことに成功し、所長は復讐を叫ぶ囚人らの波に飲まれます。森の中でウェインは最後のインタビューをし、テレビの前で権力の象徴として、二人の最後の殺人の標的となって倒れるのでした。
 おそらくこれまでもこのような言葉で表現されてきた映画だと思いますが、まさに「暴力と死とセックス」を「アメコミ」風に描いた「おもちゃ箱をひっくり返した」ような大娯楽映画でしたが、ヒッチコックが言うところの「パッション」のリアルさにおいても傑作だと思いました。面白いと思ったのは、主人公の二人だけが「目を剥く」瞬間がなく、それ以外の登場人物はマロリーの弟以外、皆「目を剥く」瞬間があったということです。また、ロバート・リチャードソンのシャープで原色鮮やかな撮影は後のタランティーノの映画にも通じるものがあったと思いました。それにしても、今年はトニー・パーカーとの出会いから始まって、ジャック・ケッチャムの小説や平山夢明の『異常快楽殺人』など、暴力と死と虐待に関するものを多く目にしました。不思議な縁を感じます。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto