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中川信夫監督『ほらふき丹次』

2013-02-26 08:43:00 | ノンジャンル
 昨日WOWOWで放映された今年のアカデミー賞授賞式を見ましたが、収穫だったのはシャーリー・バッシーの堂々たる『ゴールドフィンガー』が聞けたことと、この1年間に亡くなった映画人を追悼するコーナーでアーネスト・ボーグナインが最初に紹介され、トニー・スコットの素顔が見られ、最後にマービン・ハムリッシュが紹介された後、バーブラ・ストライザンドが『追憶』を歌ったことでした。


 さて、中川信夫監督の'54年作品『ほらふき丹次』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 木を伐採する男。「北海道」「大正末期」の字幕。猟師が山から帰り、鶏を飼う自宅へ戻ると、娘のハツコの姿が見えず、見知らぬ男が囲炉裏に座っています。猟師が誰何しますが、男は答えず、猟師が「お前、監獄破りだな!」と言うと、男は目の前にあったナタで猟師に襲いかかります。笹ヤブへ姿を消す男。
 現場検証をする巡査(東野英治郎)に丹次(藤田進)は拾った血染めの服を届けます。監獄破りの仕業だと見破る巡査。ハツコは父の遺体に泣き崩れます。
 森に馬で入っていく丹次の親子を横移動で撮るショット。彼らが川の水を飲んでいると、監獄破りの男が現れ、猟銃で彼らを脅して馬を奪います。丹次が追っていくと、男は道に張り出した木の枝に頭をぶつけて馬から落ちて失神していて、丹次は男を縛り、村に降りてきます。大勢の村人に迎えられる丹次。巡査が監獄破りに事情聴取をしている間、外では村人たちに向かって丹次が男を捕えた自慢話を嘘を交えてします。いつものほら話が始まったと囃し立てる村人たち。巡査は監獄破りが前科12犯の凶暴犯だったと村人らに伝え、今回の丹次の話はまんざら嘘でもないと言います。
 村の寄り合いで総代の森ノ助は、ハツコを自分の家に引き取りたいと言いますが、ハツコは丹次のところへ行きたいと言います。丹次親子と農作業に励むハツコ。丹次は猟に出て、ハツコの仕掛けた罠にかかった狸を持って帰ります。ハツコと字を学ぶ丹次の息子の金助。巡査は丹次を呼び出し、猟師が持っていた鉄砲の行方を尋ねますが、丹次はとぼけます。あまりおおっぴらに猟をするなと言う巡査。
 村の宴会が催され、そこで森ノ助は丹次に自分が行っている工事の仕事に勧誘しますが、丹次が断ると、森ノ助は丹次が村にいられないようにしてやると脅します。家に帰ると、ハツコは丹次に一生そばにいたいと言いますが、丹次は年の差があることを理由に、そんなことを軽々しく言うなと諌めます。
 川でハツコが洗濯をしていると森ノ助がやって来て、ハツコを口説きますが、ハツコが相手にしないでいると、森ノ助は彼女に襲いかかり、犯してしまいます。帰って来ないハツコを探しに行った丹次は、森の中で横たわったままのハツコを見つけますが、ハツコは逃げ出して、崖から身投げして死んでしまいます。落ちていた彼女の簪のそばに、森ノ助の持ち物を見つける丹次。
 丹次は鶏を1羽つぶし、金助とご馳走を食べます。その後、丹次は金助に手紙を巡査に届けるように命じ、自分は猟銃を手に森ノ助の元へ向かいます。巡査は「金助を町の小僧に出して、今度面倒を見てほしい」と書かれた手紙を読んで、異変を感じ、丹次の元へ急行します。一方、丹次は森ノ助を猟銃で脅して強姦の現場を訪れ、そこで取っ組み合いを始め、森ノ助を絞殺しようとします。そこへ駆けつけた森ノ助の手下と巡査は、丹次を止めようとし、逃げる森ノ助を追う丹次と、彼らとの追跡劇が始まります。傷ついた森ノ助は村に逃げ込み、丹次の手を逃れ、丹次は巡査に崖に追いつめられます。空に銃を撃って巡査を威嚇する丹次に対し、巡査はついに丹次に拳銃の弾を命中させ、丹次は崖から落ちて死にます。
 ハツコと丹次の墓に参った金助と巡査は、道の彼方に消えていくのでした。

 見事な“ショット”が多く見られる映画で、童謡も多く歌われ、横移動も多く見られる映画でした。また、村人をパンで捕えたショットで、左ト全が映ると思わず笑えたりもして、一見の価値ありだと思います。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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