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斎藤美奈子さんのコラム・その8

2016-12-03 03:21:00 | ノンジャンル
恒例となった、水曜日の東京新聞に掲載されている、斎藤美奈子さんのコラム「本音のコラム」の第8弾。
まず、11月16日に掲載された「ボナパルティズム」と題されたコラム。
「ドナルド・トランプ氏が大統領選に勝ったことで世界は騒然。日本国内もその話題でもちきりだ。あまりみんなが同じ調子で嘆くので、ちゃちゃを入れたくなってきた。まるでトンデモ星から飛来した宇宙人に地球を乗っ取られたみたい。
トランプ現象を説明するのにもっともふさわしい単語は『ボナパルティズム』だろう。フランスの第二共和制下、初の普通選挙で勝利したルイ・ナポレオン。ナポレオン一世の甥であることだけが売りのルイほどの階級も代表しておらず、メディアを利用して既成政治も批判し、大衆の熱狂的な支持を得る。その勢いで権力を強化。1851年のクーデターで議会の共和派を追放し、国民投票で皇帝になってしまった。
『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』でこの経緯を描いたマルクスは『歴史的な事件は二度起こる』といった。一度目は悲劇として、二度目は茶番として。
大衆の不満を扇動に利用した『プチ(エセ)ボナパルティズム』なら、後に幾度となく起こっている。ゼロ年代の小泉劇場は? 大阪ダブル選挙は? 暴言王たる人物を四度も知事に選んだ東京都民は米国民より上?
恐怖政治を予言するのもいいけれど、巨悪はもっと狡猾(こうかつ)だ。トランプ氏は目くらましかも。せめて『トランプ自伝』(ちくま文庫)くらい読もうよ。」
 また、11月23日に掲載された、「フィクションと現実」と題されたコラム。
 「夜中から仕事をしていて、朝、ニュースでも見ようかとテレビをつけたら、つけた途端に緊急地震速報が鳴った。
 東京でもいやな感じの揺れがしばらく続き、福島県と宮城県に津波警報が出て、NHKは『つなみ!にげて!』の文字とともに『東日本大震災を思い出してください』と繰り返している。
 震災(そして福島第一原発の事故)から5年が経過した今年の日本映画のヒット作は、庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』と新海誠監督のアニメーション『君の名は。』だった。『シン・ゴジラ』ではゴジラが東京に上陸して暴れ回り、『君の名は。』では彗星の落下が重要なファクターとして登場する。つまりどちらも人知を超えた災害をモチーフにしている。
 荒唐無稽な物語にもかかわらず大勢の観客を動員したのは、3.11の記憶と重ね合わせて見た人が多かったせいかもしれない。少なくとも5年半前の経験がなければ、どちらの作品も生まれなかっただろう。
 震度5弱とはいえ、東北地方を襲った昨日の地震はマグニチュード7.4。阪神・淡路大震災や熊本地震のM7.3を上回るレベルだ。気象庁は『今後1週間程度、M7クラスの地震が起きる可能性がある』と説明している。フィクションを超えた日本列島の現実。被害が最小だったのは単なる幸運と思ったほうがいい。」
 また、11月30日に掲載された、「永田町の桶屋」と題するコラム。
「薬物所持などによる芸能人の逮捕と永田町の動向の間には、何か相関関係があるのだろうか。
 歌手で女優の酒井法子氏が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたのは2009年8月8日。7月21日に衆院解散。8月18日の衆院選公示を前に政権交代への期待が高まる直前だった。
 14年5月17日、歌手のASKA氏が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。15日に安倍首相が集団的自衛権の行使を一部容認したいと発表した2日後だった。
 今年はどうか。2月2日には元プロ野球選手の清原和博氏が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されている。1月28日に当時の甘利明経済再生担当相が建設業者からの金銭授受容疑で辞任。野党が追及をさらに強めようとする矢先だった。
 6月24日には元俳優の高知東生氏が覚せい剤取締法と大麻取締法違反容疑で逮捕された。参院選が公示された22日の2日後である。
 風が吹くから桶屋がもうかるのか、桶屋をもうけさせるために風を吹かせるのか。報道が一気にそっちに流れるため、ともあれ桶屋が得しそうな逮捕劇である。
 28日、ASKA氏の二度目の逮捕の裏で国会の会期が延長された。年金関連法やTPP承認案を是が非でも成立させたい政府与党。警察も検察もメディアも、桶屋の一味じゃないでしょうね。」

 先日読み終えた『さらば白人国家アメリカ』で、最大手のテレビメディア、FOXニュースが政府の完全なる御用局であることを知ったので、最後のコラムでは、「本当にメディアと政府のなれ合いはあり得るんじゃないか?」と思ったりしました。最初のコラムで斎藤さんは「せめてトランプ自伝ぐらい読もうよ」とおっしゃっていますが、『さらば白人国家アメリカ』は、トランプの育ってきた背景にも詳しく言及しているので、おススメの本です。今回のアメリカ大統領選の真実を知りたい方、ぜひ手に取って読んでみてください。

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