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早川いくを『取るに足らない事件』

2009-09-06 14:20:00 | ノンジャンル
 早川いくをさんの'08年作品「取るに足らない事件」を読みました。戦後まもなくに新聞の片隅に掲載された「取るに足らない」事件を集め、それにコメントした本です。
 事件は章立てされていて、マヌケな犯罪を集めた「華麗なるマヌケ野郎」、珍事件を集めた「お騒がせる者たち」、犯罪における知恵と発明を集めた「工夫が大事」、犯罪を生んた宗教を集めた「神々の浅き欲望」、NHKのど自慢の出演者にまつわる犯罪を集めた「怪しひのど自慢」、犯罪における善人・小市民ぶりを集めた「悪ひ人だが良ひ人だ」、犯罪に真面目に取り組む例を集めた「まじめ一本やり」、変なものを盗んだ事件を集めた「それ盗んでどうするんですか」、あまりに単純なのでかえって珍しい犯罪を集めた「わかりやすすぎる犯罪」、不可思議な事件を集めた「謎が謎を呼びまくる」、女性が主役の事件を集めた「犯罪の陰にも日なたにも女あり」、犯罪に対して表彰ものの活躍を見せた例を集めた「お手柄な人々」の12章に、「餓死のリアル」「マッカーサーはノッペラボー」と題した戦後史に関するルポルタージュ、そして「犯罪ちょっといい話」という副題の煙突男の特集が掲載されています。興味深かったのは、空腹の余り、色とりどりのオムツを覆面として病院を抜け出して盗みを働いた赤痢患者たち、食事が粥ばかりで餓死寸前となり間借り先の一家を薪割りで惨殺した居候の青年、のど自慢の常連の前科者仲間がグループを組み窃盗を続けていた事件、強盗に入られた家の妻が近所に金を借りに行くが真夜中だったので起きてくれず、強盗に借りられなかったことを謝りに帰ると、強盗が明日また来るからそれまでに借りておけと立ち去ったという事件、台を何度変えさせても玉を出す客に腹を立てて殴る蹴るの暴行を加えたパチンコ屋の従業員の話などです。
 何ともゆるい面白さは阿曽山大噴火さんの裁判傍聴記を思わせるもので、パンチに欠けるものでした。ユーモラスな表題は高橋秀実さんの本のレベルに到達しているとは思うのですが‥‥。「へんないきもの」シリーズの面白さが元ネタに基づくものであることを裏付けた感じです。閑をつぶしたい方にはオススメです。

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