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高橋洋監督『恐怖』

2011-09-05 06:16:00 | ノンジャンル
 高橋洋監督・脚本の'09年作品『恐怖』をWOWOWで見ました。
 取り壊された病棟の地下室で見つかったフィルム。そこには被験者の満州族、白系ロシア人、そして日本人が、人体実験をされている様子が写っていました。意識のあるまま頭蓋骨を開けられ、側頭葉シルビウス裂に電気ショックを与えられた被験者たちは、幽体離脱の幻覚を見、中には暴れ出して医者たちから抑え込まれる者もいます。包帯が頭に巻かれた状態で椅子に並んで座らされた被験者の前の壁から、光が生まれ、それはフィルム全体を真っ白に染め上げます。フィルムを映写していた男女は「自分たちの前に、これを試みた人たちがいたのだ」と言い合いますが、そこへ彼らの幼い娘たち、姉のみゆきと妹のかおりがやって来てしまい、女は彼女たちを制しようとしますが、幼女たちはスクリーンの輝く光に見入ってしまいます。タイトル。
 成長したかおりは、今日が父の命日であることに気付き、姉に連絡しなければと思います。その頃姉のみゆきは隔離室に閉じ込められていて、やって来た看護婦は「私は何に見える?」とみゆきに聞き、みゆきが「看護婦に見える」と言うと、看護婦は「死んだばかりの人は皆そう言う。そのうち私の本当の姿が見えるようになる」と言い、別室の柩の中にいるみゆき自身を見せてくれます。監視カメラで彼女の様子を見ていた母(片平なぎさ)は、もう一人の若い女性がまだ一言も言葉を発しないと、部下から報告されます。
 みゆきは自殺サイトで知り合った服部をリーダーとする仲間と集団練炭自殺を試みたのですが、母の手先だった服部によって、意識不明のまま他の仲間と母の病院に運び込まれ、脳外科手術を受けていたのでした。電極を脳に埋め込まれたみゆきは、それによって異界に通じることができると信ずる母とともに隔離されますが、やがて幽体離脱したみゆきは、やはり隔離されていた自殺仲間のリエコとともに病院を抜け出します。
 姉の部屋に誰かいたという知らせを警察から受けたかおりは、姉からの連絡を待って姉の部屋に泊ると、深夜、部屋に姉が現れ、恐ろしいものがもうすぐ襲ってくるから自分を探すのは止めろと言い、姿を消します。かおりが気がつくと、全てのデータが消去されていたはずの姉のパソコンには母の顔が大写しで映っていました。
 母から姉が母の病院にいると聞いて駆けつけたかおりは、そこで脳手術を受けて体力が持たずに死んだ、姉の自殺仲間の男二人の遺体を見せられます。みゆきのいた隔離室のコンクリートの壁は柔らかくなっていて、母は異界に通じたみゆきの脳の影響が周囲に及び始めているとかおりに言い、もうすぐかおり自身にもその影響が現れ始めるはずだと言います。隔離室のベッドに寝るかおりに付き添う母。やがて電気ストーブが揺れ始め、彼女らがいる部屋を映していた監視カメラの画像が乱れ始めます。かおりは幽体離脱して、森の中を先に進む姉とリエコの姿を追います。そして辿り着いたのは姉と自分が幼い頃父と過ごした家。父は脳腫瘍の末期患者に不必要な脳手術を施した責任を問われ、病院を辞め、娘たちと楽しく暮らしていましたが、突然首を吊ったということがかおりによって語られます。病院を抜け出したかおりは、姉の元恋人と昔の家に辿り着くと、幽霊となった姉がそこで待っていました。奥の部屋には邪悪なものの子を孕んだリエコがいて、やがて母が部下とともにやって来て家を焼き払い、かおりたちを病院に運び込みます。かおりの父は死の直前、自らも被験者となり、見たものの恐ろしさに耐えきれず自殺したことが母によって語られます。リエコはやがて邪悪なものを産み、それは母の部下たちを次々と飲み込み、自らに脳手術を施した母をも飲み込んでいきます。残った姉も叫びとともに姿を消し、一人かおりが残されるのでした。

 集団自殺する時の登場人物たちのリアル感の無さに一旦はガッカリしましたが、ラストに向けての力業の「怖がらせ」ぶりに、高橋くんらしさを感じました。こういう世界、本当に好きなんですね。面白い人だな、と改めて思いました。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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