gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ロベルト・ボラーニョ『2666』

2013-03-21 08:47:00 | ノンジャンル
 アリ・カウリスマキ監督・脚本・製作の'87年作品『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』をDVDで見ました。父を毒殺した男と母は結婚し、ハムレットは会社を相続しますが、重役たちに会社を乗っ取られようとしながら抵抗し、幼馴染みの妹の恋人オフェリアは自殺してしまい、最後には父を殺したのは自分であることを告白して毒殺されて終わるという、白黒の現代版ハムレットでした。

 さて、朝日新聞の特集記事で紹介されていた、ロベルト・ボラーニョの'04年作品『2666』を読みました。上下段850ページを超える大著です。
 「1 批評家たちの部」では、誰も会ったことのないドイツ人作家アルチンボルディの研究家、フランス人のペルチエ、スペイン人のエスピノーサ、難病にかかっているイタリア人のモリーニ、イギリス人のノートンが知り合い、やがてペルチエとエスピノーサはノートンと肉体関係を結びますが、アルチンボルディにメキシコで会ったという情報を得て、ペルチエとエスピノーサとノートンが向かい、先に帰国したノートンはモリーニと関係を結び、残ったペルチエはエスピノーサにこの近くに確かにアルチンボルディがいると断言します。
 「2 アマルフィターノの部」では、ペルチエらをメキシコで案内した哲学教授アマルフィターノの妻が詩人を求めて彼の元を去り、彼は本を家の裏の物干にぶらさげ、祖父の声を聞くようになり、学部長ゲーラの息子と親しくなります。
 「3 フェイトの部」では、ニューヨークの黒人雑誌記者フェイトが、メキシコでのボクシングの取材に派遣されますが、そこでメキシコでの女性連続殺人事件の容疑者と刑務所で会う予定である女性記者グアダルーペ・ロンカルに出会い、アマルフィターノから娘のサラをバルセロナに送ってくれと頼まれもして、最後、刑務所で長身でドイツ語を話す囚人に会います。
 「4 犯罪の部」では、メキシコ北部のサンタテレサで無数の女性強姦殺人事件が起きますが、警察捜査の怠慢で次々に迷宮入りし、その間、千里眼があると言われるフロリータ・アルマーダは何度かテレビ番組で連続殺人事件が起こっていることを世間に知らせ、捜査の中心にあるファン・デ・ディオス・マルチネス捜査官は精神科医のエルビラ・カンポスとのセックスに溺れ、パソコン店経営者のドイツ人クラウス・ハースは1件の女性殺人事件の容疑者として逮捕されますが、自分は無罪として刑務所での記者会見でアントニオ・ウリベという男を真犯人として名指しし、左翼女性議員エスキベル=プラタは新聞記者のセルビオ・ゴンザレスに、親友ケリーの失踪事件がサンタテレサの政財界の大物に関係していることを記事にしてほしいと頼みます。
 「5 アルチンボルディの部」では、ハンス・ライターが片足の父親と片目の母親の間にプロイセンで生まれ、海に潜って海藻を描写することに夢中になり、やがて男爵の別荘に働きに出るようになり、そこを訪れる男爵の甥フーゴ・ハルターと親しくなり、男爵の娘フォン・ツンペ男爵令嬢も知ることとなりますが、やがて徴兵に取られ、その間にユダヤ人の家でボリス・アブラモヴィッチ・アンスキーの手記を発見し、最初の小説を完成させると、それに興味を示してくれたハンブルグの出版社の社長ブービス氏の後妻がフォン・ツンペ男爵令嬢であることを知ります。ハンス・ライターはブービス氏に自分の名前はベンノ・フォン・アルチンボルディであると言い続け、やがてギリシャの各地を庭師として転々としながら小説の原稿をブービス氏に送り続けます。アルチンボルディの妹ロッテは、幼い頃に兄と別れ別れになりますが、やがてアルチンボルディの自伝的小説に出会い、彼が自分の兄だと知り、その頃亡くなった夫の後を継いで出版者の社長となっていたフォン・ツンペ男爵令嬢を知ることになります。ロッテは息子のクラウスが殺人の罪でメキシコの刑務所にいることを知らされ、メキシコとの間を行き来し、最後には兄のアルチンボルディの訪問を受けるのでした。

 結局、サンタテレサでの無数の女性殺人事件の犯人は分からず仕舞で、夥しい数のエピソードの積み重ねでしかない小説でした。最後まで読み通せたのが不思議な気がします。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

最新の画像もっと見る

コメントを投稿