昨日の続きです。
・政治からの圧力や介入が金融政策をゆがめ、経済に混乱をまねいてきた過去の苦い経験から、中央銀行は、政府から一定独立した立場で、中立的・専門的な判断をもとに金融政策の運営にあたることがのぞましいという考え方が、世界の常識になっていきました。
・長期金利と国債は表裏一体の関係にあります。国債価格が下がれば、国債の利回りが上昇し、それに連動して長期金利も上がります。反対に国債価格が上がれば、長期金利は下がります。
日銀はその国債を先にみたようにあまりにも大量に保有している。そのため国債の価格や利回り、すなわち長期金利の決定に大きな影響をあたえることができるようになっています。(中略)
こんな国は世界で日本だけです。
・黒田総裁になってから、日銀の説明のなかに、(中略)日本語でいえばいいことを、わざわざ専門家にしかわからないカタカナ語で表現することが増えてきました。政策当局がカタカナを多用するときは、国民をごまかそうとしている場合が多い、というのがわたしの国会での経験です。
・(前略)90年代後半から政府・財界が一体となってすすめてきた賃金引き下げ政策がデフレの原因です。
1995年、日経連(中略)が発表した「新時代の『日本的経営』」は、それまでの終身雇用や正社員が基本の雇用制度を抜本的に見直し、非正規雇用の拡大など雇用の流動化による賃金引き下げ策を打ちだしました。
・意図的な賃金引き下げ政策がつくりだしたデフレですから、意図的に賃金を引き上げる政策を実行するしかデフレから脱却する方法はないのです。そのためには、非正規雇用から正社員の流れをつくる規制強化や、中小企業に手厚い支援をおこないながら最低賃金を大幅に引き上げるなど、具体的な賃金引き上げ策をただちに実行することです。
・「異次元の金融緩和」は円安をもたらしましたが、円安になれば輸入物価が上がり、物価全体を押し上げます。賃金が上がらないもとで物価だけが上がり、このことが実質賃金を低下させた一因にもなったのです。
・つまり、賃金引下げ → デフレ → 低金利 → 金融バブルの発生 → 資産価格の上昇 → 富裕層の富の拡大 → 格差拡大、という関係が存在するということです。
逆にいえば、賃金デフレを克服するために、賃金を上げれば、物価が上がり、金利も上がるような状況になれば、金融バブルは終焉(しゅうえん)にむかい、大企業の利益は減少し、富裕層も資産を増やせなくなります。これは安倍政権のコアな支持者の利益に反することです。安倍政権が日本のデフレを賃金デフレと認めず、本気で賃金引上げをすすめようとしない背景にはこのことがあるのです。
・(前略)「企業価値」の向上よりも、株価の変動による利ザヤをねらってお金を投じることを投機といいます。いま株式市場をじっさいに動かしているのは、この投機マネーです。
・安倍政権は「異次元の金融緩和」によって、この投機マネーを呼びこみました。
いくつかルートがあります。
第一は、低金利によって、株への投資が相対的に有利になることです。(中略)
第二は、円安による外国人投資家の呼び込み効果です。(後略)
・この株価上昇によって、大株主は巨額の利益を手に入れました。とくに保有株式が1000億円以上(時価総額)の超大株主は安倍政権の5年9カ月で、保有する株式の時価総額を五倍(中略)にふくらませたのです。
・2016年1月に打ちだされた「マイナス金利」政策のほんとうの目的も、株価引き上げにありました。
・日銀が保有するETFの時価総額は、2018年9月末時点で29兆円にたっし、GPIF(43.4兆円)と日銀をあわせた公的マネー全体では、約71兆円にもふくらんでいます。東証一部の時価総額に占める比率も10.6%となり、国内株の一割以上を公的マネーが占め、株価を支えるという異常事態になっています。
・(前略)東証一部上場企業(2090社)の中では34.5%(722社)、「日経225」株価指数の計算対象に組み入れられている大手企業225社に限定すれば、なんと84%(189社)で、公的マネーが筆頭株主となっています(中略)。
・日銀がここまで巨額の株の買い入れをおこなうと、今後、売るどころか、買い入れ額を減らしはじめただけでも、株価下落の引き金になりかねません。
しかし日銀もいずれ株の保有を減らす方向に転換せざるをえず、そのときは株価下落をまねくだけでなく、株を保有している日銀自身にも大きな損失をもたらします。
(また明日へ続きます……)
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
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・政治からの圧力や介入が金融政策をゆがめ、経済に混乱をまねいてきた過去の苦い経験から、中央銀行は、政府から一定独立した立場で、中立的・専門的な判断をもとに金融政策の運営にあたることがのぞましいという考え方が、世界の常識になっていきました。
・長期金利と国債は表裏一体の関係にあります。国債価格が下がれば、国債の利回りが上昇し、それに連動して長期金利も上がります。反対に国債価格が上がれば、長期金利は下がります。
日銀はその国債を先にみたようにあまりにも大量に保有している。そのため国債の価格や利回り、すなわち長期金利の決定に大きな影響をあたえることができるようになっています。(中略)
こんな国は世界で日本だけです。
・黒田総裁になってから、日銀の説明のなかに、(中略)日本語でいえばいいことを、わざわざ専門家にしかわからないカタカナ語で表現することが増えてきました。政策当局がカタカナを多用するときは、国民をごまかそうとしている場合が多い、というのがわたしの国会での経験です。
・(前略)90年代後半から政府・財界が一体となってすすめてきた賃金引き下げ政策がデフレの原因です。
1995年、日経連(中略)が発表した「新時代の『日本的経営』」は、それまでの終身雇用や正社員が基本の雇用制度を抜本的に見直し、非正規雇用の拡大など雇用の流動化による賃金引き下げ策を打ちだしました。
・意図的な賃金引き下げ政策がつくりだしたデフレですから、意図的に賃金を引き上げる政策を実行するしかデフレから脱却する方法はないのです。そのためには、非正規雇用から正社員の流れをつくる規制強化や、中小企業に手厚い支援をおこないながら最低賃金を大幅に引き上げるなど、具体的な賃金引き上げ策をただちに実行することです。
・「異次元の金融緩和」は円安をもたらしましたが、円安になれば輸入物価が上がり、物価全体を押し上げます。賃金が上がらないもとで物価だけが上がり、このことが実質賃金を低下させた一因にもなったのです。
・つまり、賃金引下げ → デフレ → 低金利 → 金融バブルの発生 → 資産価格の上昇 → 富裕層の富の拡大 → 格差拡大、という関係が存在するということです。
逆にいえば、賃金デフレを克服するために、賃金を上げれば、物価が上がり、金利も上がるような状況になれば、金融バブルは終焉(しゅうえん)にむかい、大企業の利益は減少し、富裕層も資産を増やせなくなります。これは安倍政権のコアな支持者の利益に反することです。安倍政権が日本のデフレを賃金デフレと認めず、本気で賃金引上げをすすめようとしない背景にはこのことがあるのです。
・(前略)「企業価値」の向上よりも、株価の変動による利ザヤをねらってお金を投じることを投機といいます。いま株式市場をじっさいに動かしているのは、この投機マネーです。
・安倍政権は「異次元の金融緩和」によって、この投機マネーを呼びこみました。
いくつかルートがあります。
第一は、低金利によって、株への投資が相対的に有利になることです。(中略)
第二は、円安による外国人投資家の呼び込み効果です。(後略)
・この株価上昇によって、大株主は巨額の利益を手に入れました。とくに保有株式が1000億円以上(時価総額)の超大株主は安倍政権の5年9カ月で、保有する株式の時価総額を五倍(中略)にふくらませたのです。
・2016年1月に打ちだされた「マイナス金利」政策のほんとうの目的も、株価引き上げにありました。
・日銀が保有するETFの時価総額は、2018年9月末時点で29兆円にたっし、GPIF(43.4兆円)と日銀をあわせた公的マネー全体では、約71兆円にもふくらんでいます。東証一部の時価総額に占める比率も10.6%となり、国内株の一割以上を公的マネーが占め、株価を支えるという異常事態になっています。
・(前略)東証一部上場企業(2090社)の中では34.5%(722社)、「日経225」株価指数の計算対象に組み入れられている大手企業225社に限定すれば、なんと84%(189社)で、公的マネーが筆頭株主となっています(中略)。
・日銀がここまで巨額の株の買い入れをおこなうと、今後、売るどころか、買い入れ額を減らしはじめただけでも、株価下落の引き金になりかねません。
しかし日銀もいずれ株の保有を減らす方向に転換せざるをえず、そのときは株価下落をまねくだけでなく、株を保有している日銀自身にも大きな損失をもたらします。
(また明日へ続きます……)
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