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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その5

2019-11-24 05:23:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

・そもそも日本に大胆な金融緩和政策をもとめてきたのはアメリカです。
 アメリカは慢性的な赤字大国です。その赤字を歴史的にささえてきたのが日本でした。

・株だけでなく、国債市場でも外国人投資家、すなわちヘッジファンドが中心的存在になりつつあることがわかります。

・かれらのねらいは、「空売り」によって国債の暴落を仕かけ大もうけすることですが、現在のところ、日銀が売られた分を買い支えることで必死に持ちこたえています。

・(前略)当座預金の一部の利息は現在「マイナス金利」によって抑えられていますが、いずれ「マイナス金利」をやめ利息を引き上げざるをえなくなります。当座預金の支払い利息が国債の利息収入をこえ赤字化することも十分予測され、そのばあい、日銀の自己資本8兆円を消失させ、債務超過におちいる危険性もあります。

・(金融政策の)正常化のためにはつぎの四点が重要だとかんがえます。
 第一に、物価上昇目標2%をただちに取り下げることです。
 第二に、国債保有残高を減少させる方針を明確に打ちだすことです。
 第三に、「空売り」規制などの特別措置をもうけ、国債暴落をねらう投機筋の動きを阻止することです。
 第四に、巨額に保有した国債とETFなどについては、中・長期的な市場への売却計画をはっきりしめし、市場関係者や国民との意思疎通、理解の促進に尽力することです。

・従来、公的年金基金の運用対象は6~8割が日本国債で、安全運用を基本にするとどうじに日本の財政を支えてきました。リスクの高い株への投資は24%が上限ときめられていたのです。
 ところが安倍首相になってから、方針転換がはかられました。

・さらに看過できないのは、私たちの年金積立金が、世界の軍事関連企業の経営を支えていることです。

・そもそも公的年金の半分を、リスクの高い株で運用する国などほかにありません。

・アメリカは、州ごとの職員退職制度などの年金基金もありますが、わが国の国民年金・厚生年金に相当する公的年金は、連邦政府によるOASDI(老齢遺族障害保険)です。
 けれどもこのOASDIは、日本と同規模の積立金をもっていますが、全額、米国債で運用し、社会保険庁と財務省が直接取引をしています。

・わたしたちは、およそ10年ごとにバブルの発生と崩壊を経験してきました。
 1980年代の日本の株と不動産バブル、1990年代のITバブル、2000年代のアメリカ住宅バブル・サブプライムローンの破たんとリーマン・ショックです。

・藤田勉・一橋大学大学院特任教授は、バブルと株価の関係をつぎのようにのべています。(中略)
「過去三回のバブル崩壊後の日経平均株価の下落率は毎回60%を超えており、相場がいったん崩れれば、株価が半値以下になる。株価上昇期間は約8年、下落期間は約2年。バブル崩壊は急激だが、短期間で終わることが多い」。
「専門家であってもバブル発生を認識するのは大変難しい。(中略)崩壊しないバブルはない。言い換えるとバブル崩壊のリスクも高まりつつある」。

・ヨーロッパ諸国では、公的年金の積立金は、(中略)、給付額の数ヵ月分しか用意されていません。それとくらべて、国民年金・厚生年金あわせて約160兆円、給付費の三年分という日本の貯めこみ額は異常です。

・日本の年金制度は、戦時中の1941年につくられた労働者年金保険法(中略)によってはじまりました。しかし年金を支給するのは数十年先ということから、ほんとうの目的は、国民からとりたてた保険料(年金積立金)を戦費に使うことだったといわれています。

・戦後の高度経済成長期には、年金積立金は、第二の予算といわれる財政投融資計画をつうじて道路、港湾などの公共事業に投入されました。

・「(カジノ資本主義では、通貨(価値)の変動によって農民の作物の価値は収穫前に半減しうるし、輸出業者を廃業に追い込みうる。利子率の上昇は商店経営者の在庫コストを致命的なまでに増大させうる。財務的配慮が先にたった企業買収は工場労働者の職を奪いうる。(後略)」

・この投機マネーの原資はなんでしょう。
 90年代はじめから世界を席巻した新自由主義は、利潤の最大化を追求し、賃金を抑えこみ、社会保障制度を後退、解体させていきました。
 そのもとで貧困と格差がひろがり、いっぽうで大企業と富裕層(大投資家)に富を集中させました。(中略)その多くは、実体経済への投資に回ることなく、利ザヤをもとめてヘッジファンドや投資銀行に運用がゆだねられたのです。
 それに政府系ファンド(中東の産油国、中国、ロシアなどが自国の外貨収入の運用をおこなうために設立したファンド)や各国の年金基金なども加わり、膨大な金額の投棄マネーが形成されました。(後略)

(また明日へ続きます……)

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