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山田宗樹『百年法』その3

2013-11-17 10:24:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 裁判の結果、秋水ら実行犯は全員死刑。爆弾のエキスパートだった木場は無罪を主張したにもかかわらず終身刑。秋水らの死刑は1999年に執行、木場は50年間服役したのちに仮釈放。そしてあたしと知り合った。」
 ケンは蘭子に付き添って紫山TCへ行きます。一方、加藤医師はHAVIの処置を施した者に突発性多臓器ガン(SMOC)が急増していることに気付きます。そんな中、東京駅構内で阿那谷名義の爆発が起こります。
 深町は遊佐に話しています。「特例によって生存可能期限を延長する制度ならば、諸外国にもあります。ところが我が国は、大統領の意思一つに懸かっている。実績らしい実績もない議員が、議員であるというそれだけの理由で特例対象になっている。これで国民が納得するはずはありません。これでは拒否者ムラが増えるのも仕方がありません。そのためには大統領の任期延長決議をぎりぎりに引き延ばした上で、否決しましょう。その上で、閣下、あなたが大統領となり、特例法を廃止する」遊佐は深町を叱責し、席を立ちました。
 香川刑事は情報採取モニター室にいました。先日山中で発見された男で「おれは阿那谷童仁を知っている。永遠王国から逃げてきた」と言っていた男の脳の中の調査をしているのに同席させてもらっているのでした。分析の結果、永遠王国の具体的なイメージが分かり、工場も備える拒否者ムラの一つであることが分かりました。一方、加藤医師はメディカルバンを運転し、地方都市へ向かっていました。そこでの診察を終わっての帰路、銃を持つ一団に誘拐されます。
 大統領官邸を訪れた遊佐には、許された日が1日しかありませんでした。牛島は「仕事に疲れた」と言い、遊佐にも「ご苦労様」と言って、一旦帰させます。自分の命が今日で終わると知った遊佐はすぐに呼び戻され、牛島から「やあ、冗談、冗談」と言われるのでした。

 以上が上巻で400ページ。下巻も400ページを超える分量です。
 後半は5つの拒否者ムラとそれを襲撃する大統領直属の舞台センチュリオンの戦い、拒否者村の最大のムラが自殺者を大量に出して自滅していったこと、村のリーダーとして阿那谷童仁を名乗っていたのが木毛だったことなどが語られ、そして内務省警察局局長の兵藤と牛島の右腕として働いて来た大統領首席補佐官・南木によるクーデー未遂、そしてHAVIの処置を施された者は必ず16年内にSMOCを発症することが判明し、それまでの百年法が意味を失い、20年間の独裁を経て、その後の民主主義社会を保障する法律が通ったことで話は終わります。
 そして終章「(前略)独裁官制度は、きょうを以って終わる。明日からは議会制民主政治が復活する。日本共和国は、新たな首相と大統領のもとで、再出発することになる。しかし、その真の主役は、一人一人の国民である。(改行)あなた方にお願いする。自虐的で冷笑的な言葉に酔う前に、その足で立ち上がってほしい。虚無主義を気取る余裕があるなら、一歩でも前に踏み出してほしい。その頭脳を駆使して、新たな地平を切り拓いてほしい。我々の眼前には、果てしない空白のフロンティアが広がっている。あなたにもできることは見つけられるはずだ。我が国は多くのものを失ったが、たった一つ、若さだけは取りもどせたのだから。(改行)先人たちの尊い勇気と決断が、現在の我々の礎となり、我々を鼓舞してくれるように、これから我らが紡ぎ上げる国づくりの物語も、いずれは新たな伝説となって、後世の人々の心を照らし、我が国の歴史を支えていくことになるのである。 日本共和国第四代独裁官 仁科ケン」

 とにかくあまりに長くて、途中から読み終わることだけを目的に読んでいた気がします。あまりにもいろんなものを入れ込みすぎたんではないでしょうか? シリーズものにする、という手もあった気がしました。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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