”ばっきん”のブログ

日常生活中心のブログです。
平成28年9月から妻と息子、母の4人で暮らしています。

生活保護基準(保護費)の推移からみる母子加算

2009年10月24日 22時41分48秒 | 生活保護
平成16年度は,我が国の生活保護制度上ターニングポイントとなった年である。
それは,無意味に年々上昇を続けた保護基準が初めて下がり始めた年だからだ。
生活扶助第1類(個人経費)と呼ばれるもののなかには,通常の扶助費に上乗せして最低生活費を構成する加算が存在する。
それまで加算の種類は,大きく分けて8つ存在し,
妊産婦加算
母子加算
障害者加算
介護施設入所者加算
在宅患者加算
放射線障害者加算
児童養育加算
介護保険料加算  となっていた。

この中で,母子加算は平成15年度まで,ひとり親の受給世帯で18歳に達した日の翌日以後の最初の3月31日までの間にある者
(非常に解りにくい表現だが,要は高校3年生相当まで)を養育しなければならないものについて,月額21,680円の額だった。(旭川市や小樽市など2級地の1の場合。)
これは,児童・生徒1人のみの場合であって,員数が増すと額も増すものであった。
※ 名前は母子加算だが,生活保護上では父子家庭でも計上できるもので,その点は男女共同参画の面からも評価されるものであった。
※ 母子加算そのものは,昭和24年,生活保護の基準自体が低かった時代において,子育てを 一人でする母親には追加的な栄養が必要であることを理由として創設されたものだが,今や その意義は通用しないと考えられる。

小泉政権当時,骨太の改革の一環として厚生労働省では,「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」が設置され,
その中で「母子加算を含めた保護水準は,一般の(保護を受けてない)母子世帯の消費支出額と比較して高い」という報告がされた。
これには,
①保護受給世帯間(母子世帯と母子世帯以外)の水準の公平を図ること
②受給母子世帯と非受給母子世帯間の公平を図り,自立を促進すること。 が主眼とされたところだ。
こうした意見は,一般市民からは以前より声が上がっていたことで,当然だという意見が一般的であったような気がする。

平成16年度にまず老齢加算の減額はじまり,母子加算は前年より基準そのものが少し下がって月額21,640円となった。
翌17年度より対象を大きく2つに分けて
① 15歳に達する日の翌日以後の最初の3月31日までの間にある者(要は中学校3年生まで)と
② 15歳に達した日の翌日以後の最初の4月1日から18歳に達する日の翌日以後の最初の3月31日までの間にある者(要は高校生)とし,
①の中学校3年生までは,月額21,640円のまま平成18年度まで据え置かれた。
②の高校生は,月額14,430円に減額,以後平成18年度には月額7,210円に減額された。

平成19年度からは,第2段階の改正として
①の中学校3年生までは,月額14,430円に減額され,20年度には7,210円,21年度には廃止となった。
②の高校生は廃止となった。

これらの減額措置の過程の中で、代替措置で高校就学費が計上され、ひとり親就労促進費のほか、直接の金銭給付ではない就労支援策もとられた。
つまり、必要な人に必要な経費を・・・というのが大きな理念だった。

しかし、受給者にとって大事なのは、支援策ではなく現金だけという事実が不満を増大させたといえるだろう。
受給当初は、早く自立したいなどと殊勝なことをいっているのだが、次第に一度受給したらやめられないというのが、この制度の欠陥である。
仮に自分の子どもすべてが18歳をすぎれば、母子ともども稼働能力活用が要件となるため、それまでパートで働いていた親は、体調不良で失職したといってみたり、アルバイトしていた子どもも精神的不安が増大したなどといって保護にすがり続ける実態があることを述べておきたい。

弱者蔑視だという批判をされる向きもあろうが、マスコミは「お涙ちょうだい」部分だけを取り上げ、陰の実態を知らせない傾向があることを明記しておく。
保護受給者が人口の4パーセント(専門的には40パーミルというらしい)を超えるわがマチでは、こうしたモラルの決壊が起こっていることが紛れもない事実なのである。