私たちは子供の頃、ころんでヒザをすりむいたときなど、お母さんに
「痛いの痛いの飛んでいけ」とよくされました。
そうすると実際に痛みがスーっと和らいでいったものです。
これなんかは暗示によるものと考えられていますが、ひょっとすると
お母さんの心の中の仏さまが子供の痛みを和らげたのかもしれません。
言葉には人智を超えた力があるのです。
「アリババと四十人の盗賊」という物語でアリババが盗賊から聞いた
「開け、ゴマ」という言葉を精魂込めて唱えると洞窟の入り口が開いたという
場面があります。この、「開け、ゴマ」に相当するものが、真言宗で使う
真言という呪文です。
真言とは真実の言葉であり、これを真剣に唱えると神秘の世界のドアが開き
仏さまの最大のパワーが頂けるのです。
真言の中でももっとも功徳も大きいとされるのが光明(こうみょう)真言です。
この真言はその名のとおり、大日如来という仏さまの光を分け与えてくださいという
願いを込めた聖なる言葉です。
では仏さまの光とは何でしょうか?
それは仏さまの智恵と慈悲から下される力のこと、エネルギー、パワーのことです。
辛い時や悲しいとき、優しい言葉を人からかけられると、心が癒され明るくなります。
これと同じように心の癒しや頑張ろうという力、パワーの源が「仏さまの光」なのです。
暗闇にロウソクが一本灯っているとします。そうするとそのロウソクの元に
人は集まってきます。灯りがあると人は安心するからです。そして人の心も明るくなります。
披露宴などで、一つの灯火で次々に灯りをつけていくキャンドルサービスというのがあります。
平安時代、弘法大師は心のキャンドルサービスを行われ、そしてその灯りがどんどん
増えていきました。そして今日もなお、それが続いているのです。
光明真言
おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん
南無大師遍照金剛
合掌