マキペディア(発行人・牧野紀之)

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「維新」の意味(第2版)

2020年12月11日 | ア行
     維新の意味(第2版)

1,最初の投稿(牧野紀之)

 大阪維新の会の活動もあって、「維新」という言葉をよく聞くようになりました。今までは「明治維新」という形でしか聞かなかった語が、それとして考えられるようになりました。私はようやく「維新とはどういう意味だろうか」と考えて、調べてみました。結果は、以下のとおりです。
●国語大辞典(学研)
 全ての事が新しく改まること。特に政治上の革新。
●大言海
 万事、新規になること。
●明鏡
 世の中が改まり、全てが新しくなること。『詩経』に基づく語で、「維(こ)れ新たなり」の意。
●新明解
 維は「これ」の意。政権の交代に伴い、政治上の制度がすべて改革されること。

 これで全部を調べたとは言えませんが、まあこんなものでしょう。

 ● 牧野の感想
 以上の説明を見て気の付くことは、「これ」という語は文脈によって指す対象が異なるから、この際は意味を為さないのに、「これ新たなり」がどうして「(政治制度が)全く新しくなる」という意味になるのか、という疑問に答えていない事です。
 そこで、「維」で漢和辞典を引いてみると、それは「いと(糸)」のことで、特に「大きい(太い)綱」のことらしいのです。「おおづな、おおもと、根本、基準」といった意味の「維綱(いこう)」という言葉もあるらしいです。これなら「維新」の意味に繋がります。つまり、維新とは「その当の物事全体を支えている太い綱を新しくする」という意味なのです。
 もっと多くの事を知っている人は教えてください。ともかく、国語辞典には大切な事が落ちていることが多すぎると思います。

 ●2、山下さんの投稿

 私見に対して山下肇さんからご意見をいただきました。それは以下の通りです。
──(山下 肇)
下記の通りです。『詩経』「大雅・文王篇」の一節である「周雖旧邦 其命維新(周は旧邦なりといえども、その命これ新たなり)」から出た語です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%AD%E6%96%B0
https://kanji.jitenon.jp/kanjic/1011.html?getdata=7dad&search=contain&how=%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6
「維」は「これ」と読み、あとに続く語を強調する意。

●3,山下さんの投稿を読んでの牧野の感想

 ご教示をありがとうございます。私もウイキペディアは自分で見ましたが、詳しすぎて引きませんでした。
 それはともかく、「維」を「これ」と読むのはいいとして、「あとに続く語を強調する」働きがあるとは、つまり副詞ですね。
 その後、明治維新のことを「御一新」と言うことがあるのに気付きました。この「一」はどういう意味でしょうか。野球で言う「走者一掃」の「一」と同じで、「それまでの状態を一撃のもとにきれいさっぱりと片付ける」ことではないかと思います。
 思うに、「維新」という言葉の意味が分かりにくいと感じた人が、「発音が同じで意味的にも似ている」ということでこういう言い方をしたのではないでしょうか。
「維」については、漢和辞典を引きますと、「繊維」とか「維綱」とか「維持」とかがあって、「糸」とか「綱」といった意味で使われることも多く、必ずしも「維」をその出典と結びつけて理解しなくても、「綱」の意味に取って「その当の物事全体を支えている太い綱を新しくする」という意味として理解するのも自然だと思います。そうだとすると、そこから同じ意味なら言い方のちがう「御一新」が出てくるのも分かるのではないでしょうか。
 
 言葉の起源を知ることは重要ですが、いったん生まれた言葉はいろいろな事情で言い方も意味も変わることはいくらでもあります。
 哲学を意味するphilosophy も、周知のように、元来は「愛知」即ち「知を愛する」ということでしたが、ヘーゲルはそんな「態度」に止まっていてはいけないとして、「実際の知」に成らなければならないとしました。そして、実際に彼はその知を立派な「体系」にまとめ挙げました。しかし、philosophyという言葉は変えませんでした。

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