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マキペディア(発行人・牧野紀之)

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お知らせ

ながく、牧野紀之の仕事に関心を持っていただき、ありがとうございます。 牧野紀之の近況と仕事の引継ぎ、鶏鳴双書の注文受付方法の変更、ブログの整理についてお知らせします。 本ブログの記事トップにある「マキペディアの読者の皆様へ」をご覧ください。   2024年8月2日 中井浩一、東谷啓吾

「文法」の詳細索引・達意眼目

2017年11月28日 | タ行

     詳細索引・達意眼目

57──達意眼目とは「達せんとする意」
70──文法形態を達意眼目の側から整理するのが意味形態論
71──発話は達意眼目によって文型と語句を選択する

84──事とは流動状態にある達意眼目、物(者)とは凍結状態に置かれた達意眼目である。
90──名称は達意眼目だけである。説明は達意眼目を分けることである。
94──達意眼目とその分解的表現(ことば)との間にある根源的疎隔

147──主語の属詞化とは達意の重点を明確にするため
160──属詞文は達意の強調手段
221──達意眼目の前には文法もへったくれもない

255──名詞は凍結した達意眼目
361──達意の4格
662──無冠詞形の特徴は、達意眼目の全部を引き受けるか、それとも名詞とはいえない形だけの存在になるか、のどちらか。

データの重要性

2017年11月21日 | タ行
  

米国から日本に帰任して3カ月あまりになる。4年の米国暮らしで、7キロも増えた体重を何とか減らしたい。そこで朝と夜に体重計に乗り、記録をつけている。食べ過ぎを防ぐ効果がある、はずである。
 かつて同じ方法でダイエットに成功したことがある。だが今回は、なかなかうまくいかなかった。理由はわかっている。食べ過ぎた晩には、体重計に乗らず、「記録なし」にしてしまうためである。
 いいかげんな体重計でもあった。続けて2度乗ると、500グラムも差が出ることがある。迷いなく軽い方を記録してしまう。
 見たくないデータから目を背ける。政治家が真実と関係なく都合のよいことを話す「ポスト・トゥルース(真実後)時代」ではあるが、これではトランプ米大統領についてあれこれ言う資格もない。

 そんなとき、京都大学名誉教授の村松岐夫さんに久しぶりに会った。日本政治学会理事長を務めたこともあり、政治と官僚の関係の研究などで知られる。
 77歳の村松さんは、危機感にあふれていた。「日本はデータを軽視しすぎる。データは研究に不可欠なのだが、保存や管理がおろそかだし、海外への提供も極めて限られる。日本の『品格』にかかわる」
 村松さんら、社会科学や人文学の分野で活躍する学者たちが、日本学術振興会で「大同団結」し、きちんとした「データインフラストラクチャー」を作ろうと政府に働きかけていると知った。
 
 国勢調査や家計調査といった政府統計は、研究に欠かせない。だが、分類方法が変わったり、市町村が合併したりで、過去の調査との比較がしにくい統計も多いという。また、基礎データが公開されていないために、海外の研究者がきちんと研究に使えないケースも多い。
 たとえば、貧困や所得格差の代表的な国際比較調査のための基礎データは、慶応大学の樋口美雄教授のグループが集めている。樋口さんらは、この調査結果を国際機関などに提供し、海外の研究者も分析できるようにしている。
 また、世界各国の価値観について調べる「世界価値観調査」は、同志社大学の池田謙一教授のグループが担っている。
 調査からみえる各国の姿は、興味深い。たとえば、「もし戦争になった場合、進んで自国のために戦いますか」という質問に対し、日本で「戦う」と答えた人は15%。約60カ国の調査の中で最も低い数字だった。最も高かったのはカタールで98%。中国は74%、米国は58%だった。
 日本の数字を低すぎるとみるのか、肯定的にみるのかは、立場によって異なるだろう。ただ少なくとも、世界のデータの中に日本もなければ、分析はできない。

こうした主要な調査は、海外では政府や準政府機関が行ったり、大学に安定的な資金が渡ったりしているケースが多い。日本政府も、各種の統計データを国の政策に生かすための推進委員会を作ったが、データ集めで研究者の個人的な努力や熱意に頼っているケースがままある。調査を英語で発信する取り組みも遅れている。
 大阪商業大学学長の谷岡一郎さんは「日本の社会科学は、海外のデータを借りて成り立つフリーライダー(ただ乗り)だ」と手厳しい。大阪商業大のJGSS(日本版総合的社会調査)は、日本人の日常行動を継続的に調査し、海外の研究者もよく利用する数少ないデータベースである。
 中心的な学者が引退したら、こうした調査も継続できなくなるかもしれない。
        ◇
 さて、データを重視する学者に取材しているうちに、休重データにすら目を背ける自分に、目を背けられなくなった。
 おまけに「人間ドック」を受診したら、尿酸、中性脂肪、血糖値などが正常値を外れている現実を突きっけられた。
 体重計を買い替えた。食べ過ぎた日もいやいやながら体重計に乗り、毎日記録した。すると、徐々に体重が減り始めた。
 日本を「人簡ドック」に入れ、世界と比べる。そのために、さまざまな角度のデータを継続的に集め、保管し、使いやすくするための仕組みをつくる。日本の健康を保つために、大事なことだと思う。
  (朝日、2017年10月26日。編集委員・山脇岳志)

 牧野の感想・私が2007年の浜松市長選に「仮」立候補した時、「公約」のトップに「正しいホームページを作って浜松市の現状が分かるようにする」という事を掲げましたが、その理由もこの山脇さんの考えと同じです。


侵略の原型・シベリア出兵

2017年11月16日 | サ行

「露内閣倒る」

大阪朝日新聞は、1917年11月9日発行(10日付)の夕刊でロシア革命の発生を報じた。
 「『戦争の即時停止』『単独講和』『土地平等分配』」等を標榜せる過激派が露国の政権を把握したりとせば……幾多の紛乱を生ずべく露国の暗雲愈々深しといふべきなり」
 第1次世界大戦で、ロシアは英仏とともにドイツ・オーストリアと戦っていた。革命政府はこの戦争から手を引く方針だった。
 ロシアが離脱すれば、ドイツは英仏との戦争に兵力を集中できる。勝利を危ぶんだ英仏は日本に出兵を求めた。
 国内では「ロシアと和を結んだドイツが極東に兵力を送って日本を脅かす」とみる学者らが自衛策としてシベリア出兵を主張した。
 一方、歌人の与謝野晶子は「『積極的自衛策』の口実に幻惑されてはなりません」とこれを批判した。

 日本政府は18年8月、ロシアに残されたチェコスロバキア軍団を救出するという米国提案を受け入れる形で、シベリア出兵を宣言した。日米同数7千人の派兵で米国と合意していたが、実際には日本はピーク時、約7万2千人を動員した。
 革命勢力を武力で放逐して親日政権を立て、バイカル湖以東を日本の勢力下におく──。それが陸軍参謀本部などのねらいだった。
 日本軍は苦闘した。福岡県から出征した松尾勝造は、日記にこう書いた。
 「(負傷兵は)手や足が凍傷に罹り、赤色、紫色、黒色と皮膚が変色してゐる。……錐で揉まれるやうな痛さに、足を擦り手を抱へて泣き立てる。慰めやうもない」(1919年2月11日)

 日本軍を襲うパルチザンと一般の農民は外見上、区別がつかない。松尾は、民家に侵入して「手当たり次第撃ち殺す、突殺すの阿修羅」(2月13日)を見た。
 衛生兵だった黒島伝治は、帰国後に発表した小説「橇」で問いかける。
 「どうして、ロシア人を殺しにこんな雪の曠野にまで乗り出して来なければならなかつたか?」
1919年半ば以降、英仏米はシベリアから撤兵した。しかし、日本は植民地朝鮮への革命思想の流入防止などを理由に駐兵を続けた。この間に、ロシア革命と大戦終結に動かされて、民族自決を求める声が世界にあがった。
 19年3月、朝鮮で独立運動が起き、インドでは4月、ガンジーが宗主国英国に対する非暴力抵抗運動を始めた。5月には中国・山東省のドイツ権益を日本が継承することに抗議する「五・四運動」が北京で起こった。

 1925年になって日本はソ連と国交を括ぶ一方、治安維持法を成立させて共産主義運動・思想の防圧を図る。サハリン北部を最後に日本軍が撤退したのもこの年だった。
 6年後の31年9月、日本軍は中国東北部・柳条湖で南満州鉄道線を爆破、中国への武力侵攻を開始する。シベリア出兵というロシア革命への対応は、その後の大陸侵略の原型であった。
  (朝日、2017年11月04日)

 感想・ソ連の共産党が独裁政権に成ってゆくにあたって、革命派を困らせたシベリア出兵は、その独裁化を促すことになったのではないかと、私は思っています。赤軍は内外の敵と戦わなければならなかったのですから。もちろん、当時のロシアは非識字者が8割もいたそうですから、そのような文化度の低い国で社会主義革命などもともと無理だったのだ、とは思います。

 ともかく、日本がシベリア出兵で、しかも一番最後まで残っていたことで、他国の正常な発展の邪魔をしたことは、しっかりと記憶しておかなければならないでしょう。

鶏鳴出版の出版物

2017年11月05日 | 読者へ

 表記の件で問い合わせがありました。

 お返事をどこに書いてよいか、自分でも分かりませんので、ここに書きます。

 鶏鳴出版の出版物については、本ブログの2008年11月08日号に載せました「鶏鳴出版」に
皆、書いてありませす。内容は常にその後の変化に合わせてあります。
 そこで「売り切れ」とか「絶版」とかに成っていないものは、販売しているということです。

 よろしく。

2017年11月5日、鶏鳴出版、牧野紀之

教えて下さい

2017年11月02日 | 読者へ

 今、「スーパー誤訳」という題の原稿をもっと内容のあるものにしようとしています。原案は今年の6月に発表したものです(これは私の記憶違いだったかな?)。

 その2つ目のテーマとして、マルクスの『資本論』の中の有名な「商品の呪物的性格(普通は物神的性格と訳す)」の節にあるein sinnlich uebersinnliches Dingを取り上げます。このsinnlichを形容詞と取って「感性的で超感性的な物」と誤訳するのが普通です。正しくは副詞と取って「感性的に超感性的な物」と訳すべき所です。

 皆、誤訳しているのですが、その誤訳者の1人として廣松渉も取り上げたいと思っています。何しろ「物象化」を論じている人ですから、本来なら、物象化の核心であるこの句を正しく理解していなければなりません。しかし、他の人たちと同じく誤訳しているはずです。かつて私はそれを読んだことを記憶していますし、鶏鳴学園の生徒が廣松の講演で「ここは副詞ではないですか?」と質問したら、「いや、形容詞で好い」と答えたと、私に報告してくれたことも記憶しています。

 しかし、今、私はこの廣松の誤訳の証拠(何という本の何頁にそう書いているか)を出すことが出来ません。

 そこでご教示をお願いします。廣松はこの句(ein sinnlich uebersinnliches Ding)を「感性的で超感性的な物」と訳しているか、手元の本で分かる人はそれを教えて下さい。お願いします。

2017年11月2日、牧野紀之