日本のアニメカルチャーをフィーチャーした作品。
12歳で日本のアニメ「魔法少女ユキコ」が大好きだが、病魔に侵され余命幾ばくもないアリシアと、元教師で今は失業中の父ルイス。「ユキコのコスチュームを着たい」というアリシアの夢を叶えようとネットで検索してみたら、デザイナーの一点物が90万円!失業中のルイスには無理な高値だが、勢い余って手に入れるには強盗するしかない、と決意する。深夜に宝石店の前まで来て、さあいざ、というときに、上階からバルバラの吐瀉物がかかってしまい、それがきっかけでバルバラとルイスは一夜を共にする。
バルバラの夫が医者で金がありそうと踏んだルイスは、バルバラを恐喝するが、夫との関係を壊したくないバルバラは自分でお金を工面しようと昔の知り合いに会いに行く。そこは高級コールガールの紹介所。バルバラはそこで恐喝された分のお金を稼ぎ、ルイスはそのお金でユキコの衣裳をアリシアにプレゼント。しかし!大事なステッキが無くてアリシアの喜びは今ひとつ。ルイスが慌ててステッキを検索すると、なんと2万ユーロ!もう一度バルバラを恐喝し、バルバラは意を決してサソリの部屋へ入る。
20年ぶりに刑務所から出所した元教師ダミアンは、教え子のバルバラが瀕死の重傷で玄関先にいたところを保護して、入院先で事情を聞く。ルイスに暴行された、と勘違いしたダミアンは、元凶を断つべくルイスの元へ向かう。。。
日本のポップカルチャーがウケル人にはウケてるんだなあ、と感心しきりです。アリシアがアニメに夢中なのはいいとして、バルバラの部屋にある酒壜にも「SAILOR MOON」のラベルが!バルバラが入ったサソリの部屋も「黒蜥蜴」がモチーフになっているらしいし。
ストーリー展開は、えっえっええーっ、そっちにいっちゃうの?という全く想定外のもの。バルバラがそこまでしちゃうのも、ダミアンの行動も、予想の斜め上を行く感じ。プロローグで、ダミアンとバルバラが教師と生徒だった時のエピソードが描かれますが、ダミアンはバルバラとどんなふうに関わって道を踏み外したのでしょうか?刑務所内の相談員に「バルバラに会うのが怖いから出所したくない」と訴えたり、その後の悲劇的な展開を見てみると、よほど強烈な何かがあったんだろうなあと。そうした観客の想像に任せられる部分も多く、危険な方向に妄想が膨らんでしまいます。
プロローグでバルバラがダミアンに他愛もないマジックを見せ、エピローグで逆の立場でダミアンがマジックとすら言えない真似事をする、そのことが何とも不気味です。
公式サイトはこちら。
4/10 ヒューマントラストシネマ有楽町
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