映画の予告編を見て気になったので、映画は観てないけど読んでみました。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
隣人が全く別の人に入れ替わっていて、でもその人の名前を使って暮らしていて家族も全く変わりないように見える。ぞっと背筋が寒くなるような設定だけど、隣近所の交流が薄い近年だったら実際にあっても不思議じゃない設定、というのが怖い。
矢島善雄は犯罪的な面で『悪の教典』の蓮見聖司を彷彿させるようなキャラクターです。そこまでかっこよくはないけど、詐欺や殺人などの悪行に対する抵抗が無いどころかむしろ楽しんでいる節さえある、恐ろしいサイコパスです。
本多由紀や河合優、景山燐子など、今後どうなっていくのか見てみたい登場人物も何人かいますが、高倉のゼミ生大和田君はかわいそうだったなあと。矢島由岐の自殺も、一瞬低俗マスコミを叩いたけれどストーリーの流れからはやや浮いている気も。
チャールズ・マンソン事件や映画『哀しみのトリスターナ』など、興味を惹かれるギミックがいくつかありました。
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