直木賞作家、辻村深月の吉川英治文学新人賞受賞作を松坂桃李主演で映画化。出演はほかに樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲など。
死者と生者を一度だけ引き合わせる能力を持つ“ツナグ”、高校生の歩美(松坂桃李)は祖母(樹木希林)から少しずつ“ツナグ”の手ほどきを受けていた。3組の“ツナグ”体験を経て、歩美は正式に“ツナグ”を継ぐ者として歩き出す。。。
一組目には、中小企業のオヤジ(遠藤憲一)が最近亡くなった母親(八千草薫)に会いたいというもの。思春期の息子との関係に悩んでいて、“ツナグ”が高校生の歩美だとわかると若造と馬鹿にして信じようとしない。しかし「だまされないぞ」と言いながら向かったホテルの一室で、生前と変わりない姿の母親と会い、朝陽が出て別れた後の帰り際では歩美に深々と頭を下げる。
二組目は歩美の高校の同級生。同じ演劇部で親友だった嵐(橋本愛)と御園(大野いと)だが、公演の主役をめぐってぎくしゃくした関係になり、オーディションの結果、いつもは裏方ばかりやっていた御園が主役となり、いつも主役を演じていた嵐は小道具係となる。嫉妬に燃える嵐はある事をした翌朝、御園が交通事故で亡くなったと知る。
自分のしたことが原因で事故に遭ったのでは、と心が落ち着かない嵐だが、もし御園が自分のしたことに気づいていて“ツナグ”を利用して誰かと会って話したら、と不安に怯えた嵐は、死者が生者に会えるのは一度だけ、という決まりを利用して自分が先に御園に会ってしまおうと企む。首尾よく御園と会った嵐は、何も気づいてない様子に安心するが。。。
三組目は、7年前に失踪した婚約者きらり(桐谷美玲)を忘れられないサラリーマンの青年(佐藤隆太)。生死すらわからなかったきらりだが“ツナグ”の呼び出しに応えたということは、既に亡くなっていたということ。いよいよ対面する時になって、青年は現実から目を背けて逃げ出してしまう。死者が生者に会えるのはわずか1日だけ。何とか青年にきらりに会ってもらおうと、歩美は大雨の中で青年を説得する。。
気になるケースはやっぱり二組目の嵐と御園。あんな伝言を伝えられたら、高校生の若い心は耐えられずに発狂して精神崩壊してもおかしくないと思うんだけど、形見になった御園の衣装を着て、堂々と代役として舞台の主演を演じるのは、ある意味凄いなと。でも絶対にトラウマになって、将来に禍根を残しそうです。
死者と生者を引き合わせるホテルの雰囲気が、レトロで趣があっていかにも、な感じでした。意外と松坂桃李の背が大きかったのにびっくり。芸達者のベテランに囲まれて、演技も安心して見られました。
公式サイトはこちら。
9/30 東商ホール
『桃(タオ)さんのしあわせ』絶賛公開中!
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