まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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君の名は。

2016-09-24 23:31:56 | 日本映画(あ~な行)

かなり評判が良く公開された週の週末に行ったら満席。この日も映画の日だったのはあるけれど、平日昼間で8割くらい入っていて、始業式で早上がりだったのか高校生も多くいました。新海誠監督の作品は初めて観ます。

岐阜県糸守町の高校生、三葉はお婆ちゃんと妹の四葉と3人で暮らしていて、東京に憧れる女の子。実家は神社で先祖代々巫女舞や口噛み酒、組紐などを受け継いでいるが、早くに母親を亡くし父は別居して町長をやっている、ちょっと複雑な家庭事情。そして東京の高校生、瀧は父親と2人暮らし、建築に興味があり放課後は友人とカフェ巡りをしたり、イタリアンレストランでバイトして年上の奥寺先輩に憧れたりと、都会の青春真っただ中。

そんな2人の心と体が時々入れ替わり、最初は何が起きているのかわからず混乱する。このあたりコミカルな感じが面白い。どうやら入れ替わっている、ということを受け止めて、日記やメモでお互いの状況を報告し、奇妙な生活のルールを決めていく。瀧は、中身が三葉のときに奥寺先輩と仲良くなり、デートの約束まで取り付けるがデート当日は瀧のままで、緊張と不慣れで散々な結果に。おまけに奥寺先輩に「君、今好きな人いるでしょ」と言われ、しどろもどろに。それでも中身が三葉のときは、憧れの東京生活でお洒落なカフェでスイーツを食べたり楽しそう。

三葉の中身が瀧の時も、同級生のてっしーやさやかと楽しく過ごし、バス停の横の空地に丸太でテーブルと椅子を作ってカフェと称したり楽しくやっている雰囲気。組紐が全然わからなくてオタオタしたりしたけれど、宮水神社のご神体のところへ長い山道を登っていくときにはお婆ちゃんをおんぶしたりして男の子らしさも。

そして糸守町の夏祭りが近づくと、2人の入れ替わりはパタッと止まる。そして夏祭りの当日、ずっとニュースで話題になっていた彗星が。。。

入れ替わりが無くなり三葉に会いたいと思った瀧は、記憶の中の風景をスケッチして手掛かりにし、糸守町を探しに行く。そこで出会った衝撃の真実、そして運命を変えるべく三葉たちが奔走する。瀧と三葉はまた会えるのか?

ストーリーに絵の完成度、音楽、背景にある舞台設定までよく練られていて、息つく暇もないほどの面白さ!前評判どおりでした。まず目を引いたのは、風景に感じられる光の加減。湖面に反射する太陽光はキラキラと輝き、森や木々の緑を優しく包み込む光はうっすらとかすかなベールを掛けたよう。瀧のいる東京の夜の街灯は、レンズを通して撮ったような散乱光まである!夜空を走る彗星は美しさの中にも禍々しさを秘めている。アニメーションでここまで緻密に光を表現するにはどうしたらいいか、想像もつきません。

糸守の災禍は東日本大震災がバックグラウンドにある、との解説を何かの記事で見ました。あの震災を体験した僕たちは、どこかしらあの信じられない、だけども実際に起きた光景を心の中に引きずりながら生きていくのでしょう。『風立ちぬ』の空襲による火事の様子や、未見ですが『シン・ゴジラ』の破壊状況も震災の影がある、という説もあります。

物語の典型の一つである「ボーイ・ミーツ・ガール」そして2人のすれ違いという、ある意味ベタな骨格ですが、スマホ全盛の現代は昔のように簡単にすれ違うことができません。実家に電話して父親が出た時のドキドキ感や、公衆電話でお金がもつかと心配したり、駅の待ち合わせで伝言板を活用したり、といったアナログな体験はもうできず、いつでもどこでもスマホですぐに直接連絡が取れてしまう、そうした現実を踏まえての空間的、時間的な距離を置くすれ違いのさせ方がお見事!日記アプリやメール履歴など、ライフログっぽいもので行動が辿れるのも、まさに現代です。

あんな大カタストロフィがあったから、結末がどうなるのか不安だったけど暖かい雰囲気のハッピーエンドで良かったです。5年後、瀧が就活している途中で登場人物のそれらしい姿を目にしたとき、ほっと安心しました。新海誠監督の他の作品、『言の葉の庭』や『秒速5センチメートル』、『星を追う子供』なんかも見てみたいです。

公式サイトはこちら

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