まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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この世界の片隅に

2016-12-26 21:38:55 | 日本映画(あ~な行)

夕凪の街、桜の国』のこうの史代が描いた漫画を映画化。主役のすずの声をのん(ex能年玲奈)が演じて話題になりました。

昭和の初め、広島市の南部、江波で育った浦野すずは、昭和19年に呉の北條周作に嫁ぐ。新しい土地で早く北條家に馴染もうと懸命に頑張るすず。周作の両親と出戻りの姉径子、その娘晴美の大所帯で生活を営むが、戦況は日増しに傾き呉にも連日激しい空襲が来るように。ある日、すずと晴美が2人で歩いていた時に空襲があり、時限信管ですずの右手とともに晴美が犠牲になる。

昭和20年8月6日には広島に新型爆弾が落とされ、戦争は終わりを迎えて焼け跡からまた生活が始まる。。。

のんの声がふにゃあとしていて、すずにぴったり!ちょっと天然っぽくドジッ娘的なすずのイメージそのままで、まあるい感じの広島弁が優しい気分にさせてくれました。

戦時下の市井の人々の生活を、ほっこりとする笑いあり、しんみりとする涙ありで生き生きと描いています。小姑で出戻りの径子がすずに厳しいのですが、径子が嫁いだ先の苦労や変転を知れば同情するところも出てきたりして。

呉の港を写生していたすずを敵のスパイではないか、と憲兵が疑うくだりは、北條家の態度から庶民の逞しさが垣間見えたり、広島ですずと同級生だった水原が水兵としてすずに会いに来て北條家に一泊するところは、軍人を丁重にもてなす風があったり。

すずが子供の頃、祖父の家で座敷童みたいに見えた子供が、呉の遊郭にいた白木リンだというのは分かったけれど、貧しい子供が遊女になるというのもこの時代を語る小道具のひとつなのでしょうか。いまいちストーリー全体との関わりが分かりませんでした。

すずが少ない配給で少しでもご飯を豪華に見せようと野草を摘んで料理したり、貴重な砂糖が蟻にたかられる所など、食糧事情の厳しさが伝わるとともにほっこりとするエピソードです。

アニメ―ション独特の視覚効果が、すずと晴美が爆発の直撃を受けたところで印象的に使われています。『エヴァンゲリオン』や『君の名は。』で似たような視覚効果を思い出しました。

片渕須直監督は徹底的に一次資料に当たったそうで、街並の細かなところから呉の港の軍艦の種類、敵機の機銃掃射を受ける様子まで、とにかく細部までリアルにこだわったようです。戦争を描くというようりも、戦時の庶民の生活を通して戦争が浮き彫りになる、印象に残る映画でした。原作も読もう。

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