まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

永い言い訳

2016-11-30 22:52:19 | 日本映画(あ~な行)

ゆれる』「『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の西川美和監督の最新作。主演は『おくりびと』以来の本木雅弘、共演に深津絵里、竹原ピストル、子役で藤田健心と白鳥玉季。

かつて文学賞を受賞したものの最近は鳴かず飛ばず、テレビの文化人枠に甘んじている津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)。人気美容室を切り盛りする妻夏子(深津絵里)が友人と出かけている間、編集者(黒木華)と浮気をしているが、夏子がバス事故で亡くなった、と連絡を受けた。

夏子の同級生で一緒に出かけて亡くなった大宮ゆき(堀内敬子)の旦那でトラック運転手の陽一(竹原ピストル)と出会い、週に数回、陽一が仕事で家を空ける夜に子供の真平(藤田健心)と灯(白鳥玉季)の世話を買って出る。真平、灯とも徐々に仲良くなり、慣れない家事や送り迎えをこなすようになるが、出版社が開いた花見では編集者と喧嘩になり、テレビのドキュメンタリーでも突然暴走気味に。夏子の遺品のスマホに未送信メールを見つけたが、そこにはショッキングな言葉が。

陽一が子供教室で出会った鏑木先生(山田真歩)と距離を縮めていく中で、幸夫は夏子が死んだとき浮気をしていたことを陽一に話して、大宮家に近づかなくなる。真平の塾通いがまた不安定になったりするうちに、陽一が仕事中に事故を起こし。。。

鑑賞前に西川監督のインタビューや映画解説をいくつか読んでいたので、ここがそうなんだ、と確認するところが多くありました。このデジタルシネマ全盛の時代に、16㎜フィルムで撮ったというのがまずびっくり。画面の粒子が粗い感じが16㎜フィルムの味なのでしょうか。でもフィルムだと簡単に撮り直しとかできないから大変そう。砂田麻美との対談では、モチーフが師匠の是枝裕和監督とダブったりする、という話がありましたが、売れない小説家や団地は『海よりもまだ深く』と、家族というテーマや子供の重要な役どころは『そして父になる』とかまあ是枝作品全般と、確かに題材が重なっているところはありますね。

幸夫の気持ちは、年代が自分と似ていて子供もいないせいか何となく分かるところもあり、でも全く理解できないところもあり、作家なのに作品が書けない、という負い目と自分に対する情けなさ、仕事で成功している妻に対する嫉妬や素直に接することができないプライドなんかが積み重なって、浮気に走ったのでしょう。真平と灯の面倒を見始めたのは、後ろめたさ(浮気をしていたこと、妻の生活を全く把握していなかったこと)への罪滅ぼしだったのかもしれません。

陽一への浮気の告白は、鏑木先生と出会いまた幸せに向かおうとした大宮家から離れよう、という無意識の行動だったのかも。ただ夏子のメールを見つけちゃったら、少しは浮気への言い訳ができるのか、あるいはさらに深く自分を責めるのか。

子供はこの映画でも是枝監督の作品に負けず劣らず輝いていました。難しい年頃の真平君もひたすらかわいい灯ちゃんも。雪山の季節から始まり、生活を通して季節が変わっていく様も自然な感じがして、最後の出版記念パーティで真平と灯が新入生になっていたのが印象的でした。幸夫が伸び放題の髪を切ったタイミングもしみじみきたなあ。

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2 コメント

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おはようございます♫ (kira)
2016-12-02 05:37:24
TBありがとうございました。

西川監督は、『ゆれる』から『ディアドクター』と
「負い目のある主人公」を描き続けているといった印象なんですが、
これもそうでしたね。
人と関わることで最後には自分を取り戻す、、良かったです。
返信する
kiraさんへ (まてぃ)
2016-12-05 00:23:02
コメントありがとうございます。
西川監督の描く人物像、何か欠けてる人が多いのですが、
不思議な魅力がありますね。
子供と関わることで自分の意外な一面を見出すところが良かったです。
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