評判が非常に高い『シン・ゴジラ』、ようやく鑑賞しました。ストーリーやら細かな解説やらはいろんなところで語られているので、感じたことを。
まず驚くのはその圧倒的なリアリティと迫力、そして戦車もヘリコプターも高層ビルも、全部CGだと知ってさらにびっくり。『ゼロ・グラビティ』なんかを見るとCG技術ってのはもう実写以上かも、と思えるけど、まだまだ一目でCGとわかる映像も多い中で、不自然さを微塵も感じさせないというのはすごいことだなと。技術と手間とお金を兼ね備えた日本映画はそうそうないと思います。
やたらと関係者が集まる会議が多く、大臣にいろいろと官僚がメモを差し出したり、不規則発言を議事録に残すなと怒られたり、公式な意思決定というものは簡単にはいかないものだけど、形式主義と言うかもどかしいというか、緊急事態なのにいいのか?と思いつつも実際の政府もこうなんだろうなあ、と想像できるところがリアルです。対策本部の様子は『踊る大捜査線』なんかでもよく見ましたが、やっぱり机やコピー機をずらっと並べるんだー。
タバ作戦における自衛隊の動きも本格的。多摩川河川敷にずらっと並んだ戦車は壮観の一言。ヘリの機関銃から戦闘機のミサイル、戦車砲に自走砲、PAC3っぽい迎撃ミサイルに、ついには御殿場基地の地対地ミサイルまで、雨あられとゴジラに浴びせかける。御殿場から川崎なんて正確に届くの?と思ったけれど、弾頭次第で届くらしくひとつひとつ確証を取っています。タバ作戦が失敗に終わって「もう米軍に託すしかない」というのもなかなか象徴的。バックアップ作戦を作らない(あるいはもう全てを出したから作れない?)体質と、最後は米軍に頼るしかない様子をありありと描いています。
タバ作戦といえば、ゴジラの進路にあたる武蔵小杉のタワーマンション群が出てきたとき、あーっ、ここもランドマークになるんだなあ、という何とも言えない気持ちになりました。あの辺りのタワーマンションが破壊されなかったのは良かったけれど、ゴジラは綱島街道を進んできたっぽいからあの辺は踏みつぶされちゃったのかなーなんて思ったり。
ゴジラの上陸で街並みが壊れて瓦礫に変わり積みあがっていく場面は、まんま東日本大震災の津波の後の構図だなー、と思ったり、被災地を視察する場面の瓦礫の様子も津波の後のイメージと被ってきて、やっぱりあの映像はひとつのスタンダード、基準になったと思います。ヤシオリ作戦でゴジラの口からポンプ車で薬液を注入する場面は原発に放水していた姿そのもの。というか、実際にあの光景がなければこんなポンプ車の使い方はできないでしょう。
放射線の防護服や除染がどうの、という話も3.11を経験したからこそのリアル。ドローンの大利用があったかと思えば、電車爆弾なんていう小さい男の子が思いつきそうな荒唐無稽なものまで登場して、放射光線を吐き出してからのゴジラへの対応はだんだんエスカレートしていきますが、あくまでリアルに軸足を置いているところはこだわりが感じられすごいなあと。
最初に蒲田に上陸した形態のゴジラは、目がなんだかくりっとしていて正面から顔を見たら愛くるしい感じに見えました。最後の尻尾の人間っぽい部分は何の暗示なのか、気になります。
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9/19 川崎チネチッタ
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