- 松永史談会 -

   こんにちは。ご機嫌如何ですか。

柳宗悦「ヰリアム・ブレーク : 彼の生涯と製作及びその思想」、大正3、洛陽堂

2013年08月31日 | 教養(Culture)
これは大著(752p)だ!
早熟の評論家柳宗悦が雑誌白樺に寄稿した論考をベースに大幅に加筆したもの。奥さんの柳兼子には誤植のチェック、索引つくりなどを手伝わせているらしい。注解が200ページもあるブレークの象徴文学研究書だが、河本はよくもこんな大著を刊行したものだ。明治初期の岡倉天心・フェノロサ、大正期の柳とバーナード・リーチとは国境を越えた生涯の友情で知られるが、本書はバーナード・リーチに献呈されている。



柳宗悦のその後の活動のための輝かしいスタートラインを提供したのが、間違いなく本書であり、本書の出版を前後の見境もなく決断した河本亀之助だったろ。

柳宗悦 著「ヰリアム・ブレーク : 彼の生涯と製作及びその思想」







[目次]
標題
目次
第一章 久遠の人 / 1p
第二章 スヱデンボルグの默示 / 15p
第三章 ゴシックの影 / 25p
第四章 野に彷徨ひし日 / 37p
第五章 匿れたる愛 / 55p
第六章 歡喜の歌 / 73p
第七章 睿智の歌 / 95p
第八章 預言の聲 / 111p
第九章 地獄の歌 / 119p
第十章 肉體の歌 / 145p

第十一章 反抗の歌 / 157p
第十二章 復興の歌 / 175p
第十三章 山嶽の頂 / 199p
第十四章 太洋の岸邊 / 219p
第十五章 歸神の歌 / 249p
第十六章 流出の歌 / 277p
第十七章 激怒せる日 / 309p
第十八章 永遠の福音 / 335p
第十九章 最後の審判 / 355p
第二十章 人としてのブレーク / 379p
第廿一章 思想家としてのブレーク / 413p
第廿二章 ブレークと彼の前後 / 515p
追補
一 略語 / 569p
二 補註 / 571p
三 著作年表 / 721p
四 參考書 / 727p
五 索引 / 759p

経年並本だが、古書店では高値(広島県史全巻揃いよりも高値)で販売されていた。全集版では判らない部分もあるので現物を入手した。


向かって左が、大正3年刊の洛陽堂・元版、右が全集中の復刻版。柳宗悦の処女作品だが、出世作でもある。これがあったからその後に於ける柳の活躍=才能の開花に弾みがついたはずだ。


古書業者はハトロン紙をつけて送付してきたが、ハトロン紙をとったらこんな感じ。業者の撮影した画像を転載。ハトロン紙をつけると草臥れた本のぼろ隠しができる。






柳のウイリアム・ブレーク研究はその後和紙の研究家で英文学者の壽岳文章に継承されていく。
最近では大江健三郎の「新しい人よ眼ざめよ」がこのイギリスの神秘主義詩人で画家の作品にヒントを得た連作だった。

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「喜八自身による略 年 譜」ー大正5年条

2013年08月30日 | 教養(Culture)
尾崎喜八の略年表にいわく

「大正5年(24歳)

 長与善朗氏の厚意でしばらくその赤坂の家に寄宿している間に、当然「白樺」の同人やその傍系の多くの人達と知るようになった。みんな若くて芸術意欲に燃え、息苦しいほどの空気が渦巻いていた。その中には「エゴ」という雑誌の中心人物、愛情に脆くて熱烈でくしゃくしゃになった千家元麿がいた。しだいにデューラー風な画風に移りつつあった傲岸不屈な岸田劉生もいた。私よりも一つくらい年下で、盛んにゴッホの手紙や後期印象関係の本などを翻訳していた天才木村荘八もいた。椿貞雄がい、犬養健がい、近藤経一がい、道は違うがこの一群の空気を伶俐な澄んだ好奇の目で見ていた学習院の星と松方三郎もいた。ひとり高村光太郎は、離群癖というか党与の雰囲気を忌むというか、清涼な駒込のアトリエで粘土をつくね、のみを握り、静かにロダンの言葉の翻訳に専念していた。旋回する星雲系と遠く光る一つの星。私の心はこの間を微妙に往復した。そして或る日ロマン・ロランの音楽評論集「今日の音楽家」の新刊の英訳書を手に入れるや、渇いた者が泉に出逢ったようにこれに取りついて翻訳を始めた。ベルリオーズ、ワーグナー、フーゴ・ヴォルフ。「白樺」の人達には梢縁遠く、私には極めて親しく懐かしいロランの世界と音楽とが其処にあった。私の翻訳は直ちに採り上げられて「白樺」へ連載された。そして早くも12月には400頁(恩地孝四郎装幀)の本になって麹町の洛陽堂から出版され、記念として長与義郎氏に献ぜられた。これが私の最初の本だった。そして私と喜びを共にして熱い涙の中にその一冊を抱きしめた愛人隆子の最初にして最後に見た私自身の本だった。 」

これがこの年譜で言及されているロマンロランの音楽評伝の翻訳書だ。


恩地幸四郎の装丁らしい。わたしが疑ったら、古書店の女主人が、先に紹介した「喜八自身による略 年 譜」を持ち出してきた。・創文社尾崎喜八詩文集第三巻「花咲ける孤独」の巻末に付された略年譜らしい。


尾崎喜八か~。そういえば小学校か中学校の教科書に喜八の短文(詩?)が載っていたな~。


木村庄八(死後、芸術院恩賜賞受章)とか今なお根強い人気のある尾崎喜八などが二十歳すぎで東京帝大英文科中退の連中を差し置いて、盛んに翻訳書をだした。それを引き受けたのが東京洛陽堂だった。家庭教師にはついてはいただろうが、旧制中学卒程度の学歴の彼らの語学力にはちょっと不安だが、・尾崎から天才と持ち上げられた木村、如何程のものだったのだろ。文化功労者大田黒元雄がそうだが、やはり、彼らは並みの旧制中卒ではなかったらしい。


柳宗悦、「ヰリアム・ブレーク 彼の生涯と製作及びその思想」、洛陽堂(東京市麹町区)、大3(1914)辺りが代表的な評論集(「柳宗悦全集・第4巻」所収)か?!なんと柳25歳の時の大著だ




ちょっと横道にそれるようだが

「白樺」掲載 柳宗悦の論文(「『白樺」総目次』で論文として分類されているもの)は以下の通り。 1 「メチニコフの科学的人生観」 2巻8・9号 2 「哲学におけるテムペラメントに就て」 4巻12号 3 「ヰリアムブレーク」 5巻4号 4 「肯定の二詩人」 5巻5号 5 「哲学的至上要求としての実在」 6巻2・3号 6 「宗教的無限」 7巻1号 7 「宗教的自由」 7巻2号 8 「宗教的無」 8巻3号 9 「宗教的究竟語」 8巻4号10 「「規範経験」の字義に就て」 8巻7号11 「神秘道への弁明」 8巻9・10号12 「無為に就いて」 9巻4号13 「「中」に就て」 9巻7号14 「種々なる宗教的否定」 9巻9~12号15 「即如の種々なる理解道」 10巻4号16 「奇蹟の宗教的意味」 11巻3・4号17 「宗教的哲学に於ける方法論」 12巻4号18 「ゴシックの芸術」 12巻11号19 「李朝陶磁器の特質」 13巻9号20 「神と吾々との関係について」 14巻4号21 「埋もれたる一神秘詩に就いて」 14巻6号(雑誌「白樺」複製版別冊『白樺総目次』p138-141に柳宗悦が白樺に執筆した文章の一覧より)


略年譜中で言及された「麹町の洛陽堂」や河本亀之助についてだが、今後白樺派の作家連中の作品や彼らの残した日記類中からも探ってみる必要がありそうだ。
それにしても河本が白樺派の作家たちをしっかりと囲い込めなかった(あるいは囲い込まなかった)のは何故だったのだろ。
そういえば竹下夢二も世話になった洛陽堂からは離れていっていた。





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『家庭・婦人・児童』からみた晩年の高島平三郎

2013年08月30日 | 教養(Culture)
平野書房から出された『家庭・婦人・児童』(昭和11年)を盛岡市内の古書店にて入手した。
東京市麹町区三番町にあった東京家政学院(現在の東京家政学院大学)の学生・大森が教科書として購入したもの。
本題からはずれるので今回は大森についてはこれ以上詮索しない。



本書は高島平三郎が学習院で教師をしていたころのつてで、伯爵松平直亮から子女教育を委嘱され、その後現在の高松宮との婚約が決まった現在の高松宮喜久子妃殿下(旧姓徳川喜久子姫)のそのときに作成した講義ノート(稿本)をベースにしたものらしい。このように当時高島はまぎれもなく女子教育分野で我が国最高権威者であったことがわかろう 。
高島の著作物を読んでみると現在我々が苦手とする「東洋と西洋」、および「哲学と科学」との、懐の深い横断的思考(知性)にあふれていることを痛感する。

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「内包」「外延」? 高島平三郎「師範学校教科用書・心理綱要」、明治26

2013年08月28日 | 教養(Culture)
高島平三郎29歳のときに上梓された最初期の著書だ。この「師範学校教科用書・心理綱要」国会図書館のデジタル図書として閲覧可能だ。


「概念の性質」として内包(intension)と外延(extension)とをあげている。わたしはバルト記号学の翻訳書の中で これらの語(connotation/denotation)を知り、以前は好んで使っていたものだが、明治前半期には、むろん意味合いに時代的な違いがあるかもしれないが、すでに流通していた言葉(翻訳語)だったとは。
 西周の訳語;外延extension、内包comprehension, intension

内包的意味・外延的意味 connotative meaning・denotative meaning

 [ I ] 言語学,言語心理学においては, 外延的意味は,文脈や状況から独立した概念的,辞書的,明示的意味を指す。たとえば,「母」は,{女性,一世代上,直系,..}という意味特徴からなる。内包的意味は情緒的(affective),連想的,含意的,暗示的意味であり,言語文化,個人のイメージや経験に依拠する。たとえば,「母」に対して,{やさしい,愛情深い,...}等の意味特徴があるが,必要不可欠の特徴ではない。しかし,「母のような愛」といった比喩表現は内包的意味に依拠する。外延的意味は分類法,内包的意味はセマンティック・ディファレンシャル法,連想法で測定できる。

 [Ⅱ] 論理学,認知心理学においては,外延は,概念に包括される指示対象を指す。したがって,内包によって決定される。一方,内包は概念内容を指す。外延から共通性を帰納することによって決定される。たとえば,「哺乳類」の外延は{ヒト,ウマ,...}などの個々の事例,内包は{胎生,肺呼吸,...}などの定義的(defining)あるいは特徴的(charactaristic)特徴である。


高島は明治20年に東京に転居し東京高等師範学校の教授掛補助に就任するのだが、その後の猛勉強の跡が好く感じられる内容的にもなかなかの教科書だ。


この本は心理漫筆とともに高島平三郎著作集・第一巻に所収されている。

100年以上も前の本だが、手垢のついていない、よほどの勉強嫌いが購入したか、ほとんど保存状態のよい古書だ。





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高島平三郎著作集

2013年08月27日 | 教養(Culture)
学術出版会の紹介記事をそのまま転載



•日本の心理学研究を創始し、また児童研究の草分けとして業績を遺した高島の初めての著作集。
•心理学や児童研究を基軸に、教育学、体育、女性と育児・家庭教育などの分野における代表著作を収録。高島の学問観を捉え、さらにその業績も合わせて鳥瞰できるよう編集。
•第6巻巻末に、大泉溥による「解説」と「年譜」を付す。収録文献それぞれの由来や内容の丁寧な解説は、高島の学的業績や、わが国の心理学および児童研究の史的考察に欠かせないもの。


底本および各巻内容】

第1巻

『師範学校教科用書 心理綱要』 明治26年、普及舎
高島の処女作で、日本の心理学の新時代を切り拓いた代表的著書。当時の欧米心理学会の最新動向を踏まえた上で独自の視点から、書きまとめている。
〈主要目次〉
総論/知性(覚性・観念ノ再生・悟性)/感性(感覚的感応・観念的感情)/意性

『心理漫筆』 明治31年、開発社
日常経験における心理学の応用を、教師や父母たちに向けて分かりやすく説いた啓蒙書。冒頭に掲載している「我国の心理学史」は、日本心理学の黎明期における史的記録としても記録。
〈主要目次〉
我国の心理学史/精神現象の区分/社会心理学/死/動物心理/戦争と発狂と/夢/心身の相関の例/仏/刺激と容貌との関係/女性の心理/途上の心理研究/板垣伯の三戒



第2巻

『新撰教育学講義』 明治34年、帝国通信講習会
小学校教員および教員を志す者を対象に、教育の原理や方法・目的を述べたもの。「人の教育に適する所以」や「被教育者の身体」など興味深いテーマが並ぶ。
〈主要目次〉
教育の定義/人の教育に適する所以/教育の限界/教育学は如何なる科学か/被教育者の身体/被教育者の精神/目的論/方法論(上)(下)

『女子新教育学』 明治37年、訂正再版、啓成社
中等教育を受ける女子および一般家庭の女性たちが、教育学における学説を得て、実地における児童の教育に役立てることを目的とした。
〈主要目次〉
緒論/心のさま(心・記憶及びその教育ほか)/家庭の教育(家庭の教育者・心育ほか)/幼稚園の教育/学校の教育



第3巻

『体育原理』 明治41年、第4版、育英舎
身体教育と精神教育の関係性を重視し、生理・解剖・衛生のみならず、倫理・心理・教育・社会・生物学等の基礎知識を踏まえた研究を提唱。体育に対する新しい認識を示したものとして高く評価された。
〈主要目次〉緒論(体育ノ必要・生活現象・身体ノ発育・心身相関論ほか)/本論(体育ノ範囲・運動教授論・学校衛生・性育論ほか)/体育史(体育ノ起源・ヤーンノ事業・我邦ニ於ケル体育ノ変遷ほか)


第4巻

『児童心理講話』 明治44年、第15版、広文堂書店
児童研究においてはじめて公にした書で、高島の名を全国津々浦々に広めた。児童研究の学術書としてよりはむしろ、親や教師が子どもを理解するための参考書として出版。
〈主要目次〉児童心理と教育との関係(上)(下)/胎児期及び嬰児期(胎児の心・嬰児の感覚ほか)/幼児前期(自発活動・愛情ほか)/幼児後期及び少年期(好奇心の発動・残忍性の発現ほか)/青年期(発情期的発達・青年指導の注意ほか)

第5巻

『婦人の為めに』〈大正名著文庫31〉 大正7年、再版、至誠堂書店
明治以降の女性たちの関心の広がりに応えるため、心理問題をはじめ社会・教育等に関する談話筆記をまとめた、いわば啓発の書。
〈主要目次〉婦人と心理(笑の話・姑の心理ほか)/婦人と社会(婦人十訓・家庭の趣味ほか)/婦人と教育(家庭教育の基礎・夢の教育ほか)


第6巻

『心理学綱要』 大正15年、再版、広文堂
旧著『教育的心理学』を大幅に改稿し、心理学の基礎から応用までの概念を得られるようまとめる。図解も豊富で、各章末には題目を掲げ、考察・まとめに役立つよう構成。
〈主要目次〉緒論(定義及び略史・精神作用の生理的基礎)/感覚階級(感覚・感情概説・意志概説)/表象階級(知覚・表象及び記憶・情緒)/思想階級(思想作用・情操)

解説・年譜(大泉 溥)

第6巻に大泉溥による高島平三郎の年譜・解説:1-11頁、高島平三郎著作集 解説:13-60頁が付されている。年譜は『高島先生教育報国60年』の年譜に若干手を加えたもの。解説は2009年段階における心理・教育分野の学会での高島理解を踏まえたもので参考になる。高島の著書を骨董趣味からではなく、学問(教育心理学)上の古典として取り上げたいという大泉の気持ちには敬意を表したいが、『高島先生教育報国60年』を起点とした高島の女子教育論はあくまでも天皇制国家主義とその下での良妻賢母型といった批判は、彼が西川文子『女性解放論』に寄せた序文や雑誌青鞜のメンバー(例えば平塚らいちょう)との交流を視野に入れたときにちょっと・・・・な感じがしてくるし、大泉が引き合いに出した波多野完治による高島の児童観(=小さい大人の児童観)批判は再検討の必要がありそうだ。
ま、わたしは教育学や心理学に関しては門外漢なので、大泉の指摘は指摘として拝聴するが、私的には社会史・思想史の文脈の中でまだまだ掘り下げた分析が必要だな~と感じる。


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永井潜「反逆の息子」

2013年08月25日 | 教養(Culture)
人間の作り出したものが息子であり、それが皮肉にも人間に対して負に作用する現象をさまざま例示した本だ。
永井といえばかつて「日本ファシズムと優生思想」の結節点に位置した人物だ。富士川游→和田はドイツ仕込みの優生学を第二次世界大戦以前に我が国に根付かせた張本人たち。




著者:永井が渡辺という人物の夫人に送った贈呈本。永井の筆跡がわかる興味深いものだ。


出版社は文化生活研究会。洛陽堂がなくなって永井は「医学と哲学」など主著をこちらの出版社=文化生活研究会から出すようになった。

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日本の子ども研究 : 明治・大正・昭和 第1巻 (欧米児童研究の移植と初期の研究)

2013年08月23日 | 教養(Culture)
大泉溥 編・解説
「日本の子ども研究 : 明治・大正・昭和 第1巻 (欧米児童研究の移植と初期の研究)」

掲載論文

不健全の心的徴候
中島泰蔵, 中島泰藏

中島泰蔵の子ども研究 児童心意実験之結果
中島泰蔵

低脳児分級教授の可否
元良勇次郎

低脳児研究と其の教育
元良勇次郎

元良勇次郎の子ども研究 心理と教育との関係
元良勇次郎

元良博士と現代の心理学
故元良博士追悼学術講演会, 故元良博士追悼學術講演会

児童の心情研究に就て
元良 勇次郎

児童の自我観念
元良 勇次郎

児童心理
元良 勇次郎

児童研究法
教育研究所

大日本教育会児童研究組合報告
小児心理学
元良 勇次

就学年齢問題
三島 通良

心意発達之理
中島 泰蔵

応用心理学の性質及其基
中島 泰蔵

我国に於ける児童研究の発達
高島平三郎, 高嶋平三郎

注意作用の研
元良 勇次郎

注意練習ノ実験ニ就テ
元良 勇次郎

精神療法に就
元良 勇次郎

この時期の児童心理学を実質的に支えていたのは東大の元良だというのがアカデミズムの中での今日の評価のようだ。


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柴田流星 著「残されたる江戸」洛陽堂、明治44

2013年08月17日 | 教養(Culture)
タイトル
残されたる江戸
著者
柴田流星 著[他]
出版者
洛陽堂
出版年月日
明44.5


挿し絵は竹久夢二(変名:江戸川 朝歌 )、中公文庫より再版
本書は国会図書館のデジタル化資料として閲覧可能。



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高峰博「幽霊とおばけ : 伝説心理」洛陽堂、T8

2013年08月13日 | 教養(Culture)
これはなかなかの面白い研究だ。
高峰博「幽霊とおばけ : 伝説心理」洛陽堂、T8
妖怪研究は新編妖怪叢書でおなじみの井上円了から柳田國男らに継承されるが、高峰は当時心理学叢書を出していた広文堂から出版。かれは今日妖怪研究者としては殆ど忘れられた存在だ。当時臆面もなく解剖学の教科書など出し、後年は文学雑誌に投稿するようなす吾人だったので研究者としてはやや器用貧乏に終わった感じなのかな~。真相不明だが・・・・。しかし、彼の著書を調べてみると・・・・・これがなかなかなのだ











高峰博 著「個性学」[目次]
目次
第一篇 個性硏究論 / 1
一、 個性硏究の必要 / 1
二、 個性の意義 / 2
三、 個性硏究の歷史 / 4
第二篇 個性由來論 / 21
一、 個性は何に由來するか / 21
第三篇 赤穗義士論 / 39
一、 俗謠と個性 / 39
二、 赤穗義士と我が國民性 / 40
三、 忠臣藏は個性硏究の良參考 / 42
四、 大石良雄の性格 / 43
五、 大石良金の人となり / 44
六、 淺野內匠頭の個性 / 45
七、 吉良上野介の性質 / 47
八、 其の他の義士の個性に關する物語類 / 48
第四篇 狀貌論 / 51
一、 個性の發露 / 51
二、 個性の精神活動を表はす俗語 / 53
三、 個性と職業との關係を表はす俗語 / 55
四、 職業と個性表出の俗語 / 58
五、 世俗は易斷や觀相術で個性を知らんとす / 59
六、 佛敎の三十二相八十隨形好 / 66
第五篇 兩性論 / 75
一、 男性と女性 / 75
二、 女性を發揮してゐる具體的の實例 / 77
三、 女子の個性を決定する二大特徴 / 81
四、 女子個性の短所 / 84
五、 個性の色色 / 89
第六篇 兒童個性論 / 95
一、 老少の個性と個性敎育 / 95
二、 少年の個性と老年の個性 / 96
三、 人格と個性との關係 / 97
四、 人格の定義と其の發現及び形成 / 102
五、 年齡と智能との關係 / 104
六、 未成人格と病的異常人格との比 / 107
七、 少年個性の中嶋式類分法 / 111
八、 中嶋式類分法に對する卑見 / 113
九、 余の兒童個性觀 / 120
第七篇 成人個性論(家の類分) / 133
一、 支那人の個性觀 / 133
二、 西洋の氣質說 / 137
三、 諸家の人物觀 / 143
四、 余の個性觀 / 149
第八篇 本能論 / 151
一、 本能は進化す / 151
二、 本能の三種 / 152
三、 第一次本能 / 153
四、 第二次本能及び其の第一種 / 154
五、 自覺性第二次本能 / 157
六、 自覺性第二次本能の二種類 / 160
七、 第三次本能 / 164
八、 第二次及至第三次本能及び良心等に關する定義 / 169
九、 本能、良心及至理想に關する諸學說及び其の批評 / 171
十、 以上結論 / 180
第九篇 個性類分論 / 183
一、 個性類分の二大方面 / 183
二、 本能觀的觀察 / 184
三、 第一次本能の發現 / 185
四、 第二次本能の發現 / 186
五、 第三次本能の發現 / 190
六、 以上の結論 / 192
七、 個性の觀察法及び類分法 / 193
第十篇 個性敎育論 / 195
一、 個性は本來不變のものに非す / 195
二、 敎育の種類と個性 / 197
三、 家庭及び學校のみが、個性敎育の敎場にあらず / 198
四、 家庭及び學校の敎育と父兄自身の個性並びに社會 / 199
五、 以上の結論 / 202
第十一篇 實際敎育論 / 205
一、 學校と家庭と社會 / 205
二、 敎師と醫師 / 212
三、 自動主義の上から我が小學時代の心理を囘想す / 229
四、 同一敎材と其の解釋の表裏 / 237
五、 自動敎育に必要なる精神科學的改 / 244
六、 「學、習、敎」と「子、家、師」の問題 / 254
七、 性に目醒めんとする兒童の敎育 / 274
八、 支那文明の功罪と初等敎育 / 281
九、 優性學上から結婚問題を論じ、延いて情死問題に及ぶ / 300
第十二篇 變質的個性論 / 315
第十三篇 優生學論 / 361
一、 醫學上より觀たる優境學 / 361
二、 醫學上より觀たる優性學 / 384

「国立国会図書館のデジタル化資料」より

出版元:良書普及会、刊行年月:大正10、ページ数:409p







高峰博という人物は医師(精神科)だが「夢学」、大正6年刊などなかなか面白い本を出している。
富士川游主幹の雑誌「人性」の11-14巻辺りに投降した論文をまとめて上梓したもの。
この雑誌には永井潜らも寄稿しているようだ。
フレーザーやフロイトなどの影響を受けているようだが・・・・・。













100年前の本だが、意匠がモダンというか中々の装丁だ! 本の中身は夢の精神医学と文化論的なサイエンスとアートの間の学際的な論考集だ。


こういう著書もある

高峰博 高峰ひろ子「女性心理と女性美の研究  家庭夜話2」、文教書院、大正12、1
同上「女性肉體美學」
たましい

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木村俊臣「哲学上より見たる感覚時間空間」大正13年 東京銀座・文化生活研究会

2013年08月07日 | 教養(Culture)
哲学者・永井潜の序文入り書籍を発見!
哲学上より見たる感覚時間空間

木村俊臣 著



[目次]
標題
目次
序編 眞理之問題
一 眞理とは何ぞや / 1
二 法則の意味とは何ぞや / 3
三 法則の根據は何であるか / 7
四 法則と差別 / 14
五 法則と感覺 / 17
六 感覺の形式 / 26
七 差別と聯絡 / 34
八 現象は範疇的 / 40
第一編 感覺
第一章 感覺の新原理 / 45
第二章 感覺新原理の實證 / 102
第三章 感覺の一般方面 / 186
第二編 時間と空間
第一章 從來の時間空間の學説 / 2
第二章 時間空間の新解釋 / 33
第三章 時間空間の相對性 / 63

まあ問題提起に終わった惜しい本だ。

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日本児童学会 編「児童学綱要」大正1、洛陽堂

2013年08月06日 | 教養(Culture)
日本児童学会 編「児童学綱要」大正1、洛陽堂
本書は日本児童学会が明治44年11月に神奈川県師範学校において開催した講演会要旨を筆録したもの。講演会は医学を中心としたものであったようで、多くの高島論文は既往のものを転載したもののようだ。

元良勇次郎が導入した心理学の一つの成果。主要な成果は高島平三郎の一連の研究成果だ。本書には富士川游・永井潜らも。

ただ、この本には全国書誌番号はついていない。

2013年2月21日入手(¥7500)











ルソーの教育論
有用 清水乞「日本児童研究会(日本児童学会)と哲学館」、pp101-135

高島の学歴部分には若干の詐称があるので要注意!

「児童研究」関連論文(東京家政大研究紀要)
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