えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

ほめられたい

2014-10-25 09:12:20 | 歌う

              ・・・ ほめられたい ・・・

☀ われのみとなり終点へ行くバスにわっと入りくる夕日の遊子  松井多絵子

 欠点のない人なんているはずがないと思いながら、私は数々の欠点を抱えて生きてきた。加齢と共に自分の欠点に鈍感になったが、老いという新たな欠点に悩まされている。そんな私を偶にほめてくれる人がいると、夕日に包まれたような気分になる。今日の朝刊朝日の
「人からほめられたい?叱られたい?」という読者へのアンケート調査の結果を読む。

 回答者2006人の93%が 「人からほめられたい」人達である。その理由は 単純にうれしくなる、やる気や自信が高まる 前向きになれる。この中に褒められたことがない人が13%。教育評論家・尾崎直樹は 「人は叱られるより、ほめられた方が伸びる。脳科学や心理学、社会学でも実証済みです」。 しかし「ほめられたい人達」の58%が人を叱っている、人をホメることの苦手な人達でもある。叱らなければならないことだってあるのだ。

 わたしの周りに 「ほめ上手なひと」 が何人かいる。「宝くじは買わなければ当たらない、アナタもどんどん投稿したら認められるのに」などと言われるとやる気になる。「ほめ上手な人」は順調に過ごしている人が多くおおらかだ。「ゆとり」がある。相手を利用するためにホメるのではない。自分のライバルを潰すためにホメる 「ホメ殺し」 というのもあるらしい。ホメられていい気分になり怠けてダメになってしまう甘い人間も多いのだ。

 このアンケートで「叱られたい」と応えた人が7%いる。自分のための指南、間違いを指摘してほしい、過保護や過干渉は困る、ホンネが聞きたい。この7%の人々は自分を甘やかさないアッパレな人達だ。この少数のひとが生き残れるのではないか。

 「そのうちに何とかなるさ」「そのうちに冬が来てそして、いつまでも冬」 
   秋はもう海の彼方へ行ってしまって、もう冬ですねえ。10月25日 松井多絵子


12歳の優太くん

2014-10-24 09:24:02 | 歌う

              ~ 12歳の優太くん ~

❤ 古語なぜか地震をやさしく 「なゐ」 と呼ぶ電燈もなく生きた人びと  松井多絵子

 10年前の10月23日、中越地震発生直後のこと。長岡市妙見町の県道脇の土砂が崩れ、県道を走っていた母子3人が乗ったワゴン車がのみ込まれた。約93時間後、車と岩のすき間にいた皆川優太くんが救助された。あのときのことを私はすぐ鮮やかに思い出す。まだ2歳のころころ太った赤ちゃんだった優太くん。あれから10年、時の流れの速さにおどろき優太くんの成長に驚く。

 皆川優太くんは今、中学1年。新潟県魚沼市の農家の祖父(78歳)と祖母(76歳)と3人でで暮らしている。肉料理とご飯が大好きでこの1年で約15センチも背が伸びて170センチ。小学校低学年で始めた柔道は、市の大会で優勝、勉強に励みつつ部活の柔道を。

 中越地震のことではっきり覚えているのは、搬送先の病院で食べた「黄色いスイカ」がとてもおいしかったこと。亡くなった当時39歳だった母、当時3歳の姉の記憶はほとんどない、らしい。土砂崩落現場近くは ✿ 「妙見メモリアルパーク」となり犠牲者追悼の場となっている。助けられた多くの人々や祖父母に感謝しながら皆川優太くんは 「人の役に立つ仕事に就きたい、将来は自衛隊に入るのが夢で、人命救助に携わりたい」 まだ童顔で、桃太郎をおもわせる顔。 「優太」 という名のように優しくたくましい少年をTVで繰り返し見た。

  天国の母・貴子さん  安心してください、優太くんは素晴らしい少年ですよ。

                   10月24日  鬼の目に涙の松井多絵子                     
                   

 

 

       

 


殻ちゃん~28回

2014-10-23 09:12:30 | 歌う

             < 殻ちゃん~28回 >

 午前9時すぎに春子がアキのところへ来る。両手にスーパーのレジ袋を提げて。

 春子 ◆ 「鈴鹿ひろ美が2日前から腰痛なのよ。彼は出張していて買い物や家の掃除をしてくれるパートのお手伝いさんを探してるけど。とりあえずアンタがこれを届けてね」。

 アキ ◆ 「いま仕事がないからオラがお手伝いさんになるよ」

 レジ袋のなかには野菜、くだもの、ヨーグルト、卵、ハム、ひき肉、豆腐、納豆などなど。鈴鹿ひろ美はアキと同じマンションの最上階に住んでいる。玄関に出てきた鈴鹿は化粧をしていない。老女の顔だ。近頃はTVドラマのオバアサンの役。今は連続ものには出ていない。アキはレジ袋の品を冷蔵庫に収める。まだ洗ってない食器を洗う。浴室、洗面所、トイレの掃除、居間に掃除機をかける。昼食はマーボ豆腐、野菜サラダ、ごはんは夕食分も炊く。「17年も前になるか、オラが鈴鹿ひろ美の付き人だったのは」 ひさしぶりの二人だけのランチ、デザートのヨーグルトを食べながら、、。

 鈴鹿 ◆ 「助かったわ、でもアキは普通のオバサンになっちゃダメ、もっとオシャレをしなさいよ。ユイは昔よりきれいになって雑誌やテレビで活躍してるじゃないの。又聞きだけど彼女相当な教育ママですって。一人息子はいま神山中学の一年だそうよ。殻ちゃんも一年じゃないの同じ中学の」

 アキ ◆ 「神山の中1は200人もいてクラスも5組あるから、、。」

 鈴鹿はそれ以上ユイのことは話さず、アキはランチの後は屋上の庭の掃除をした。いまにも枯れそうなベゴニアの花たちに水を与えて帰る。2時を過ぎていた。 (つづく)

    ☀ 大人になってモテる強い女になる、そんな人生ってカッコいいではないか。
                                    「林真理子語録」より

         

          ※     ※     ※     ※     ※

    旅行情報10月23日  < ますます輝く ★ ななつ星 >

 JR九州の豪華寝台列車が運行1周年をすぎても申込みが殺到だそうです。 2015年春夏から料金の値上げとコースが変更。▼ 1泊2日コース 佐賀有田の窯元見学         ▼3泊4日の1人利用 DXスイートA 95万円  ご参考までにお知らせします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くことと生きること}                          

     

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ほっとここ

2014-10-22 09:09:37 | 歌う

            ・・・・ ほっとここ ・・・

 10月21日「あるきだす言葉たち」は紀本直美の15句である。タイトルは「ほっとここ」。

     ♠ 小説の書き出しのような赤とんぼ

 秋に多い「赤とんぼ」をわたしは今年も見ていない。何年も何十年も見ていない。
「夕焼け小焼けの赤とんぼ」という童謡を口ずさみながら赤とんぼの飛んでいない秋の夕焼けを見る。何か物足りない夕焼け。紀本直美は赤とんぼを小説の書き出しのように見る。 

     ♠ 表情がないと言われてとんぼつり

 「とんぼ」は蜻蛉と詠まれることが多いがまるで違う昆虫になってしまう。「とんぼ」は「とんぼ」がよく似合ってる。「とんぼつり」とは1匹のとんぼを糸につけて飛ばし他のとんぼを誘い寄せて捕える遊び。遊ぶ人の表情が度々変わる。名句の「とんぼつり今日はどこまで行ったらやら」を想い、彼方の夕空をながめる紀本直美のまなざじは魅力的だろう。

     ♠ 好きなのか確認したくなる夜長

 秋は暮れやすく夜が長い。つい人の気持ちをあれこれ探ってしまう。確かめたいのは彼の気持ちか、本当にわたしが好きなのか、わたしは本当に彼が好きなのか。秋風の音。

     ♠ ホットココア紙コップでは飲まないで

 あたたかいココアはゆっくり飲みたい。陶器のカップで飲みながら詠む。ココアを飲み終えてもカップは温かい。ココアはオランダなどの異国をおもわせる。空になったカップの残された温かさを楽しむひととき、紀本直美のあたりには詩が漂っているであろう。

 紀本直美  1977年、広島生まれ。早稲田大学文学部卒。「船団の会」会員
               句集 『さくらさくらミルフィーユ』 (創風社出版)

          ※     ※     ※     ※     ※

 短歌情報10月22日 新刊歌集

  春日いづみ歌集 『八月の耳』 音と沈黙に耳を傾ける歌人の第3歌集
                           (ながらみ書房・本体2600円)

  鈴木英子歌集 『月光葬』 「殺し」をテーマにした研究会を機に生まれた題。
                           (角川学芸出版・本体2600円)

  


紅葉の清里

2014-10-21 09:06:37 | 歌う

              ・・・ 紅葉の清里 ・・・

❤ 車窓には紅葉のながれる八ヶ岳高原列車に我はまどろむ  松井多絵子

 昨日の今頃、わたしは八ヶ岳へ向かっていた。なぜか毎年見逃してしまう八ヶ岳の紅葉を見るために。晴天だったのに、山の天気は気まぐれだ。バスが登るほど曇る。♠ 東沢大橋に着いたときも曇っていた。でも、紅葉黄葉があざやか、雲の上でながめている心地だった。今年のワインを飲むように私は紅や黄の色鮮やかな葉の群れに酔う。赤沢大橋も紅葉と共に高揚していた。野辺山駅から清里駅までの ♠ 八ヶ岳高原列車の車窓には今が盛りの紅葉がながれていた。折角の紅葉をわたしは浅い夢のなかで見ていた。

❤ 秋はもう去ろうとしている清里の紅葉の指はふるえていたり

 清里に着いたとき小雨だった。寒かった。標高1000mの高原だ。紅葉は紅を極めている。「今日で秋は終わりですよ」と木々に云われているような紅葉。 ♠ 夏の清泉寮 とは異なる清泉寮で☂やどり。寒くて名物のソフトクリームを食べる気になれなかった。この秋は台風が多く、私が間際に申し込んだクラブツーリズムのツアーは満席。このツアーの添乗員
さんは中国の若い女性だったがつつがなく私たちを案内してくれた。日本の大学に留学しアルバイトをしながら日本全国の旅をした ♠ シュウさん。 日本の柿が甘くておいしい、大好きですと言う丸顔が可愛いい。中国では渋柿を冷凍したものを食べていたそうである。北京出身の彼女は東京の暮らしに適応しているらしい。何よりも日本が好きな彼女と話していると中国が好きになる人が多いのではないか。中国人に対する日本人の偏見は、いかにも偏見だと思いながらの、私の1日の旅だった。今も高原列車でまどろむ心地の私。

          ※     ※     ※     ※     ※

 文芸情報 10月21日  

          ★ 第2回 暮らしの小説大賞 応募締切は11月25日

             第1回受賞作は 高森美由紀 「ジャパン・ディグニティ」