えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

読売歌壇年間賞②

2014-01-21 14:01:10 | 歌う

       「読売歌壇年間賞②」

 栗木京子選 {評} 九十七歳の小松まつさんの歌に折々に励まされている。この歌は「深呼吸」ならぬ「心呼吸」がすばらしい。心と体を大きく開いて初夏の空気を吸い込む作者。青葉の勢いに負けないぞ、という心意気が輝いている。「さて今日も」という初句の軽やかさも見事。今年も心呼吸で、どうぞお健やかに。

★さて今日も青葉に負けずすごさむと施設の朝を心呼吸する  所沢市 小野まつ

※ 小野さん、おめでとうございます。わたしも心呼吸をします。マスクをかけて心呼吸を。

 俵万智選 {評} どの家庭も春を待ちかねていた様子が、たっぷり伝わってくる。垂れ下がる布団を、ハチミツとした比喩が見事。形状だけでなく季節とも響きあう。コンスタントに佳作を送ってくれた岩間さん。大きな景色を捉える視点やユニークな比喩が持ち味だが、この作品にも魅力があますところなく出ていた。

★ハチミツがあふれるやうに蒲団ほす大マンションの春のベランダ 仙台市 岩間啓二

※岩間さん、おめでとうございます。すごい比喩ですね。蜜蜂たちも驚きますよ。夜ごとハチミツのような蒲団で私は眠りたいです。年間賞のおふたりはこの一首だけでなく常に投稿している作品もも評価されているようですね。日頃の努力が大切なことがわかりました。
                            1月21日 松井多絵子


殻ちゃん⑮

2014-01-20 14:18:17 | 歌う

            「殻ちゃん ⑮」

★ 海原は空まで続いているような彼方のことは計り知れない  松井多絵子

 4か月ぶりに三陸に来たアキ、もっともっと此処にいたいが、3日いて明日は東京へ帰る。台所で夏ばっぱが昼食の後片づけをしている。殻ちゃんは夏ばっぱが洗った食器を拭いている。何か話しながら、ときどき笑いながら、ままごと遊びをしているような二人。アキは海が見たくなり外へ出る。冬の海は色が濃い。昼過ぎでよく晴れているのに藍色の海。ウニたちは元気だろうか。アキはまた桜の木の下に来ていた。今頃あの二人はどうしているか。3・11の後の年末、センパイが東京からやってきた。三陸復興支援のために。あの頃のユイのアキへの視線は鋭かった。

 ユイ◆「そわそわしてるね、アキ。今夜は海辺のデートか、センパイと」

 アキ✿「デートなんかしないよ。センパイはユイが好きなんだ。彼と海辺のデートをしなよ」

 ユイ◆「無理しなくっていいよ、アキ。今夜は星がきれいだよ」

 カンがいいな、ユイは。でもアキはなぜかセンパイにさほど会いたいと思わなかった。ユイが好きだとアキにはっきり言いながら、東京でアキがタレントとして少し人気がでてきたら、アキを好きになったと言い出して。気まぐれなんだ。彼は「アキ」と呼び捨てだが水口は「アキちゃん」だ。
「アキちゃん」と呼ばれると水口がアキを大切にしてくれる感じがする。彼は本をよく読んでいる。音楽もよく聞いている。いつものんびり話す。彼の言葉はときどき詩のようだ。しかし、仕事をはじめるとマラソンのランナーみたい、ゴールをめざしてひたすら走りつづける、水口は。

❤ アキが好きな林真理子の語録 ~やる気とパワーがあれば、それで十分さ~

       わたしもこの語録、大好きです。  1月20日  松井多絵子 


母という病

2014-01-19 14:30:12 | 歌う

             「母という病」

 ❤母という言葉は重荷というように聞こえてしまう思えてしまう  松井多絵子

 日曜の今朝の新聞の本の広告でひときわ目立つ『母という病』、新聞1頁の三分の一、広告代はさぞ高いことだろう。この広告を見て、「これは私のことか」と思う母親、「この本はママが読んで欲しい」子供たちも多いのではないか。韓国で「母」は「オモニ」というらしい。

 ~今この国を覆いつくそうとしているのは、甘くて怖い、母という病~
 子育てに全力投球している母親に、この広告は「残酷」だが、私は何度となく聞いている。ほとんどが20代の娘。「ワタシはママのロボットにされている。ママの支配から逃れたい」

 たとえば海外旅行。ヨーロッパの旅は母と娘のカップルが多い。母親は夫よりも娘と一緒のほうがはるかに楽しいらしい。しかし娘たちは楽しくない、始終グチを聞かされ、付き人にされ、買い物に付き合わされ、夜ごと母のいびきに悩まされる。ツアーでは観光バスも食事も母が隣席、旅の道ずれと交流しにくい。費用は母がかなり負担してくれるから我慢している25歳もいる。

 精神科医・岡田尊司が『母という病』の著者である。その岡田尊司が警告する。

  ✿「母という病」になると

♠ 器用に他人に甘えられない。

♠ 親の前で「良い子」を演じてしまう、親孝行である。

♠ いつも優等生で、人に反論することができない。

 「母」はとかく美化され、「母」を大切にする人も美化される。見せかけの愛情?淋しいなあ。

❤アザラシの母がその子と暮らすのは生後半月、そして別れる 

                           1月19日  松井多絵子


冷えた廊下を

2014-01-18 14:31:36 | 歌う

            真冬の歌を六首            

 桜の木は葉をすべて失い、もう花の咲くことのないような桜の並木路、氷の路のように歩く。

        ❤ 「冷えた廊下を」    松井多絵子

窓際の鏡のなかに立つ裸体、となりの庭の葉のなき朴の

週末を知らせるようにユニクロの「土日限定価格」のチラシ

ヒートテックヒートテックと歩くこの真冬の路は氷のようだ

セーターが24色このようにわれが変身できるなら、なれな

勝ち組を応援なんかするものか何も買わずにユニクロを去る

くたびれた足がくたびれた靴をぬぎ冷えた廊下を踏むマイホーム

   ✿ ユニクロさま   心まで温まる下着を作ってください。 
                           1月18日 松井多絵子


女の川柳

2014-01-17 15:01:16 | 歌う

        「おんなの川柳」

 新聞の川柳投稿入選はほとんど男である。今日の<朝日川柳>も男、男、男、しかし7人のなかに1人だけ女の作品があった。

✿マスクする風邪のふりしてノーメイク  (岐阜県) 三輪真理

 日暮麦人選者のコメントは 「そうだったのか」

※私も「そうだったのか」と思う。私だけではないのだ。風邪でもないのにマスクをして外出する。
のは。マスクは顔の半分を覆い冷気をへだてる。その上化粧をせず、素顔のままで気軽に外出できる。道ですれ違う女の多くがマスクをしているが、マスクの子供たちは少ない。女にとって化粧は一仕事である。すこしでも自分をキレイに見せなければならない。しかもメーク次第で顔が様変わりするのだ。自分の顔をキレイ描けることができる女は優れたアーティストだ。男にはわからない女のこの「お仕事」。

★自らが再生可能エネルギー (千葉県) 姫野康之 

 選者のコメントは 都知事選。細川氏76歳、軍師小泉72歳。

 ※作者は男である。私が利用している区立図書館の新聞コーナーはつねに男のたまり場だ。男の話題は政治や経済が多いのではないか。政治の派閥云々に疎い私には川柳は苦手だ。まして人苦笑させる川柳を作るのはむずかしい。今朝の新聞広告に黒柳徹子のまるで23歳のような写真。川柳どころじゃない。春になったらマスクを外さなければならない。「メーク」という仕事を徹子を見本にしながら続けなければ、老女は楽しく生きてゆけない。

      火のような早咲き椿に背をむける   1月17日 松井多絵子